ベントレー コンチネンタルGT コンバーチブルを試乗レビュー!

ベントレー コンチネンタルGT コンバーチブル

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2018年11月に本国であるイギリスにて発表された、ベントレー コンチネンタルGT コンバーチブル。このクルマは、ベントレー コンチネンタルGTのオープンモデルに当たるクルマで、2019年1月、日本でも発表された。前回は、発表会の模様をレポートしたが、今回は試乗編。残念ながら雨での試乗となったが、ベントレー コンチネンタルGT コンバーチブルの魅力を武田公実がレポートする。


文・武田公実/写真・PBKK

武田 公実|たけだ ひろみ

かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。

武田 公実
Chapter
コンチネンタルGTの極上のスタイリングと快適性能
コンチネンタルGTはオープンとなっても、怒涛の動力性能は不変
20%に及ぶホワイトボディの軽量化に成功。MSBモジュールの完成度の高さに驚く

コンチネンタルGTの極上のスタイリングと快適性能

コンチネンタルGTコンバーチブルは、さらに前年たる2018年に正式発売された直後から、日本を含む全世界でヒットを博しているベントレー・コンチネンタルGTのオープン版。ポルシェ・パナメーラなどと基本を一にするFR基調のプラットフォーム「MSBモジュール」アーキテクチャーを使用するものとしては、初のオープンボディを持つモデルとなる。
ベントレー コンチネンタルGT
CarMeにおいては、一昨年の秋にテストレポートが掲載されたコンチネンタルGTクーペは、これまで新旧あらゆる世代のベントレーも運転する機会に恵まれてきた筆者もすっかり魅了させられてしまうほどに素晴らしい超高級グランドツアラーであった。中でも「コンチネンタル」の名を持つベントレーの開祖、1952~55年に197台が製作された「Rタイプ・コンチネンタルH.J.マリナー製プレーンバック・クーペ」のプロポーションを現代に昇華したスタイリングには、完全にノックアウトされてしまったのだ。
一方、こちらのコンチネンタルGTコンバーチブルでは、Rタイプ・コンチネンタルから継承された様式美を象徴するファストバックのルーフラインを失ったことで、スタイリングはいささか損なわれるかと危惧していた。ところが、実際に見てみるとそれはまったくの杞憂。小さなキャビンを形成するソフトトップは極めてスポーツカー的にスタイリッシュな形状で、むしろ新たな魅力を得たとも言えよう。
英国製コンバーチブルの伝統たるファブリック製ソフトトップは、ボタンひとつの操作で開閉可能。開閉に要する時間は19秒で、車速が50km/h以下であれば走行中でも操作可能とのことである。トップのカラーは全7色が用意され、英国の伝統的なツイード模様を再現したデザインも選択可能とのこと。今回の試乗車両にも、この「ツイード」トップが選択されていた。

またこのソフトトップは遮音性の高さも特徴とされ、一般的なクルージング領域での騒音は先代モデルより3デシベル低減しているとの由。今回の試乗は雨に見舞われてしまったのだが、スポーツカー的な形状の割には充分な内装材が詰め込まれているせいか、トップを叩く雨音もほとんど感じさせない。
ダッシュボード中央にあるメーターとナビは回転して出現するような仕掛けが備わる
ただ、この雨のためにソフトトップを開け放ってのテストドライブはかなわず、ヒーター付きコンフォートシートや、温かさと静粛性を高めた新開発のネックウォーマー。シートやステアリングホイール、果てはアームレストにもヒーターが装備されるという完全武装ぶりをオープンで体感することはかなわなかった。それでも、これらヒーター群の効用は、クローズド状態で汗ばんでしまうような温かさを体感することによって、その片鱗を味わうことができたのである。

コンチネンタルGTはオープンとなっても、怒涛の動力性能は不変

ベントレー・コンチネンタルGTとその係累たちは、 2003年に初代がデビューして以来、凄まじいまでのハイパフォーマンスが身上。快適に高速移動できる、いわゆる「グランドツアラー」ならが、その時々にライバルとなる2座席「スーパーカー」たちとも互角以上に亘りあうことのできる動力性能を誇ってきた。もちろんその特質は、新型コンチネンタルGTコンバーチブルでも不変。さらに言えば、より磨きがかけられている。
パワートレーンは、コンチネンタルGTクーペと同じく最高出力635ps/最大トルク900Nm を発生する6リッターW12ツインターボエンジンと8速DCTの組み合わせ。駆動システムには走行状況に応じて前後のトルク配分が変化する「アクティブフルタイム4WD」を採用しているのも、クーペ版と同じである。
ただしオープン化では不可避な車体補強のために、車両重量はクーペの2320kgから130kg増しの2450kgとなるものの、メーカー発表のデータによると0-100km/h加速ではGTクーペには0.1秒だけ届かない3.8秒。最高速ではクーペとまったく同等の333km/hという、当代最新のスーパーカー級としてまったく遜色のないパフォーマンスを誇る。

もちろん、都心を舞台に行われた今回のテストドライブで、新型コンチネンタルGTコンバーチブルの超絶的高性能をすべて引き出すことが不可能であるのは当然のことながら、一般道でも前方が開けた際に少しでもスロットルを強めに踏み込めば、今やおなじみとなったハスキーなW12サウンドを伴って、あっという間に制限速度一杯までスピードを上げてしまう。しかも、その加速は圧倒的にリニアかつスムーズ。エンジンが必要以上に声を荒げることも無いので、まるで「神の見えざる手」に強く引き寄せられるがごとき、独特の加速フィールを示すのだ。
ベントレー ミュルザンヌ スピード
間もなく生産終了となることが先ごろ発表された、旧き良き6³/₄リッターの「ベントレーV8」が辿った60年の歴史には及ばないが、こちらの6リッターW12ツインターボも、デビュー以来17年間の歴史の中で熟成が重ねられ、ここへきて素晴らしい完成度を見せてくれた。現代の社会情勢を鑑みると、たとえベントレーであっても6リッターW12という壮大な内燃機関を諦めざるを得なくなる日が、近い将来に来るかもしれない。そう思うと、ことさらに愛おしく感じられてしまう。

20%に及ぶホワイトボディの軽量化に成功。MSBモジュールの完成度の高さに驚く

さて、運動性能に関してはプラットフォームが新世代のMSBモジュールへと移行したことで、ねじり剛性が5%向上したほか、20%におよぶホワイトボディの軽量化に成功したとのこと。こと剛性については不利なオープンボディながら、都心のドライブていどのペースではコンチネンタルGTクーペとの乗り心地の違いは、ほとんど感じられない。また、以前CarMeで実現したGTクーペのテストドライブで筆者を感動させた、強烈なハンドリングとエレガントな身のこなしの完全両立が、オープンであっても損なわれていないことには、大きな感銘を受けたのである。
さる2019年には、11006台という記録的な販売台数をグローバルで達成したベントレーだが、その立役者となったのは、同社の最多販売モデルとなったコンチネンタルGTクーペに加えて、デビュー間もないコンチネンタルGTコンバーチブルも大きな役割を果たしたとのこと。既に日本国内でもオーダーを受け始めているという4リッターV8ツインターボモデルも併せて、ベントレー・コンチネンタルGTファミリーには今後も注目すべき、との思いを新たにするテストドライブであった。
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