W型12気筒6リッターツインターボ、635馬力を誇る、新型 ベントレー・フライングスパーをレビュー

今年611日にオフィシャル写真と概要が初公開されたのち、7月上旬に開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にてワールドプレミアに供されたベントレー新型フライングスパー。もちろん、日本国内にはまだ上陸していない期待のニューカマーを、ベントレーの100周年記念イベントにて、いち早く目にする機会に恵まれた。

文/写真・武田公実

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エクステリアとインテリアはさらにスタイリッシュへ進化
「チョップされた」かのように低められたルーフからはクーペのような造形美
新型コンチネンタルGT譲りのメカニズム

エクステリアとインテリアはさらにスタイリッシュへ進化

ベントレー フライングスパー 武田公実

実質的な初代「コンチネンタル・フライングスパー」から数えて三代目となる新型フライングスパーは、これまでの二世代と変わらず、ベントレーのグランドツアラー「コンチネンタルGT」の4ドアセダン版と言えるモデル。それゆえ、メカニズムの多くを新型コンチネンタルGTと共用する。

ベントレー フライングスパー 2019

たとえばスポーティな操縦性を得るために、車体の根幹をなすアーキテクチャーが初代・二代目と踏襲されたFF由来の4WD用から、FR由来の4WDMSBプラットフォームへと刷新されたのも、新型コンチネンタルGTと同様のトピックと言えよう。この結果として、ノーズセクション内におけるフロントアクスルの位置を前方に130mm移動させたのだが、このロングノーズのプロポーションは「元祖フライングスパー」、1957年から65年まで名門コーチビルダー、H.J.マリナーによって少数製作された「Sタイプ・コンチネンタル・フライングスパー」により近いものとなった。

「チョップされた」かのように低められたルーフからはクーペのような造形美

ベントレー フライングスパー 武田公実

 

ベントレー フライングスパー 2019

また、ボンネットとフロントグリルは天地が高められるとともに、ヘッドライトともども屹立したスタイルへと変更することにより、ベントレーのプレステージサルーンに相応しい威厳を表現。特に前方からのアピアランスは、ベントレーのフラッグシップ「ミュルザンヌ」系と見まごうばかりの迫力を身に着けたと言えるだろう。 ただしボディサイドからリア側に回ってみると、ルーフが「チョップされた」かのように低められるとともに、Cピラーはクーペのごとくなだらかな曲線を描くことで、新型コンチネンタルGTの兄弟であることも明白に感じさせてくれる。つまりは、存在感とスタイリッシュさの双方で先代から格段に進化を遂げたことが、外観からも見受けられるのだ。

新型コンチネンタルGT譲りのメカニズム

ベントレー フライングスパー 2019

パワーユニットは初代・二代目から継承されたW12気筒6リッターツインターボながら、こちらも新型コンチネンタルGTと同系となる最新世代のものへとリニューアル。最高出力は先代の高性能版「W12S」にも匹敵する635PS、最大トルクも900Nmに向上した。そして新型コンチネンタルGTで初採用されたの8速デュアルクラッチ式シーケンシャル変速機との組み合わせで、0100km/h発進加速はGTより0.1秒だけ遅い3.8秒。最高速度に至ってはまったく同等の333km/hという超高性能セダンとなった。

ベントレー フライングスパー 2019

さらに新型フライングスパーでは、既に新型コンチネンタルGTで高い評価を得ている「ベントレー・ダイナミックライド」と名づけられたサスペンションシステムが投入されたことも、とても重要なトピックと言えるだろう。

これは48Vシステムが電子アクチュエーターユニットを制御し、そのユニットがアンチロールバーの硬さをシームレスに変化させることでコーナリングフォースを抑えるとともに、エアスプリングとともにボディを水平に保ちつという。このエアスプリングは、ドライバーが選択したモードに応じ、スポーツ走行向きの硬めのセットから重厚かつ快適な乗り心地まで、幅広く対応するとのことである。

ベントレー フライングスパー 2019

今回のベントレー創業100周年記念イベントでは、クルー本社工場の見学もプログラムされていたが、新型フライングスパーについては、まだ生産準備が進められている段階であった。聞くところによると、2019年秋から本国での受注がスタート。2020年からデリバリーが開始されると言われている。

これまでにも増して魅力的になった、ベントレー新型フライングスパー。その続報が待ち遠しいところである。

武田公実|Takeda Hiromi

かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。

武田公実|Takeda Hiromi