完全自動運転時代のシートアレンジ!室内はもっと自由にもっと広くなる!?

TMS2019 ハナレ

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自動車の専門家が集う非営利団体、SAE(Society of Automotive Engineers)によって、自動運転技術にはレベル分けがなされている。その中でも最高レベルの「レベル5」では、運転時に発生する全ての操作をシステムが行ってくれるというもの。

このレベルに達するクルマは本当に現れるのか?という疑問は別にして、完全自動運転や電動化(バッテリーEV)が実現すると、エクステリアデザインはもちろん、インパネやシートがガラリと変わる可能性がある。そんな中、自動車メーカーやサプライヤーなどが新時代のコクピット・シートを提案している。

文・塚田 勝弘

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの記事を展開している。

塚田 勝弘
Chapter
「シートの自由化」には前提条件がある
完全自動運転時代が到来すればベッドに寝たまま移動が可能?

「シートの自由化」には前提条件がある

スズキは「東京モーターショー2019」で、左右対称のエクステリアデザインが目を惹く「HANARE(ハナレ)」というEVコンセプトカーを出展した。インホイールモーターを搭載しているため、左右に平行移動することが可能で、車内にインパネ(コクピット)やシートベルトは見当たらない。

部屋(離れ)のように自由な室内アレンジが可能なのだ。こうしたコンセプトカーはいまでは珍しくなく、電動化や自動運転を前提にすると、従来の「クルマ」とはカタチやコンセプトが異なり、自由なシートアレンジも可能になるということだ。
 
今回のお題は、「新時代のシートアレンジ!室内はもっと自由にもっと広くなる!?」だが、中には事故が起きないことも前提にした新時代のシートアレンジが多く提案されている。
 
現在のクルマは道路交通法により、「走行時」はシートベルトをする必要がある。また、シートにはヘッドレスト(レストは拘束という意味で、休ませるという意味ではない)という安全を担うパーツが不可欠だ。さらに、サイドエアバッグが内蔵されている物もあるので、シートとは乗員を拘束し、時に保護する重要な装備でもある。
 
それでも多様な工夫により、前後左右方向へのスライド・リクライニング・シートリフト、さらにはチップアップや前倒し(シングルフォールディング/ダブルフォールディング)・横向き・脱着機構・助手席背もたれの完全前倒しなどを実現してきた。

最近のミニバンには、ニーズが減ったためほとんど見られなかったが、新幹線のように回転対座できるシートもかつてはよく採用されていた。シートマッサージも高級車では当たり前になっている。
 
現在のシートは、車いすも含めて走行時にきちんとロック(固定)する必要もある。ダイハツ タントに採用された世界初の運転席ロングスライドが、シフトポジションが「P」時にのみ作動するのも安全を考慮しているためだ。

完全自動運転時代が到来すればベッドに寝たまま移動が可能?

完全自動運転時代の到来や、燃料パーツを運転席下に収納できることから室内レイアウトがより自由になるEVが普及すれば、こうしたシートの安全の役割は現在よりは減るだろう。ステアリングやコクピットは不要になり、シートベルトも要らない。
 
しかし、当面は「100%ぶつからない」ということは考えにくく、ある程度安全性を担保した上での設計になるはず。つまり、ソファやベッドに寝そべったまま走行するには、100%ぶつからないという条件が必要になるのだ。
 
自動運転が部分的に可能になったら、万一の際の衝突安全性能を有したシートになるはずだ。そうなると、現在のシートよりも自由度が高まった形状やアレンジになる、と考えるのが自然ではないだろうか。スライドやリクライニング、回転機構などが進化し、よりくつろげるシートにはなるはず。

先述したように、100%ぶつからない完全自動運転時代が到来すれば、家のソファやベッドと同じようなシートやシートアレンジも可能になる。だが、ベッドに寝ながらロングドライブもできるという夢のような時代が来るかは分からない。
運転技術の発達が進めば、次はいかに乗り心地の良いクルマを発明するかということに焦点が当てられるだろう。その際には、今以上にシートアレンジのあり方がそのクルマの価値を大きく左右するポイントになるのではないだろうか。
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