クルマを自作!公道を走ることはできるの!?

ミツオカ ヒミコ 2018

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昔からキットカーや自作のクルマを道で走らせるという文化は、イギリスやアメリカなどにあり、日本にも一部マニアの中には、スポーツカーなどの名車のレプリカもあるだろう(走行できるかは別にしても)。もし仮に自分でクルマを作れるとして、公道を走行できるのだろうか?

文・塚田 勝弘

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの記事を展開している。

塚田 勝弘
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個人で型式認定制度を受けられるか?

個人で型式認定制度を受けられるか?

かつて光岡自動車などがキットカーを発売していたこともあり、私も昔、某月刊誌でキットカー特集の執筆経験がある。

「クルマ=自動車メーカーが作るもの」という図式は、電気自動車(EV)の登場で最近崩れてきたのでは?という指摘があるが、ミニカーを作るワケではないのだからそう簡単にはいかない。テスラのような新規参入組のEVメーカーであっても公道を走るためには、型式認定などを受ける必要がある。

なお、輸入車の場合は、型式指定制度を受けるか、1型式当たり年間5,000台以下の輸入自動車特別取扱制度(PHP)の届け出もある。なお、自動車の黎明期においては、自転車やオートバイ、馬車を改良したようなクルマが多く、バックヤードで手作りするような時代もあったが、そもそも自動車の安全性などはほとんど考えられていなかった。

10番目の自動車メーカーとして、フルオリジナルカー「ゼロワン」で乗用車メーカーとして国から認められた光岡自動車は、最初はキットカーの修理の依頼から自動車製造に進むことになったという。
では、3Dプリンターなどを使ってクルマを自作して、公道を走行できる認可が得られるのだろうか。公道を走らせるためには、国土交通省の型式認定を受ける必要があり、そのハードルは個人でやるには相当に高く、実質的には不可能に近いかもしれない。

国土交通省によると、「型式指定制度」は、現車によるブレーキ試験などの基準適合性審査と品質管理(均一性)の審査の結果、指定された型式のクルマについて、新規検査時の現車提示が省略される制度であり、主に、同一モデルが大量生産される乗用車に利用される、とある。

流れとしては、「申請」、「審査(基準適合性審査、ブレーキ試験、排出ガス試験、灯火器試験など、品質管理審査)」、「型式認定」、「メーカーが行う完成検査」、「新規検査」とクリアする必要がある。

これだけ見ると簡単そうだが、膨大な量の試験データなどが必要で、人員と設備を考えても個人で行うには無理がある。
でもメーカーになるのではないのだから、車検にさえ通れば公道を走れるのでは?と考える人もいるかもしれない。陸運局で保安基準(道路運送車両の保安基準)を満たすためには、衝突試験や電気装置、最低地上高、ライト類、シートベルト、騒音防止、排気ガス(ガソリン車などの場合)など、こちらも膨大な項目をクリアする必要がある。
クルマ、乗用車ではなく、マイクロカーであればどうだろうか?公道を走るカートの安全基準が引き上げられたことで話題になった「マリオカート」の例もあるが、こうしたカートだけでなく、ミニカーやマイクロカーの保安基準も年々厳しくなっている。
自作のクルマを公道で走らせるのは、条件を満たせば可能だが、制度上は、非現実的と考えていいだろう。
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