「the STR」が日本での輸入販売開始!
更新日:2024.09.09
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先ごろ東京都墨田区にガレージをオープンした「ジェイブランディング:UK CLASSIC FACTORY」では、英国リスターベル社が開発・製作するランチア・ストラトスのレプリカ「the STR」および、同じく英国AKスポーツカーズ社が製作するACコブラ427のレプリカ「AK427」の日本国内での輸入販売を開始した。
文・武田公実
文・武田公実
「the STR」と「AK427」
型式認定や法規のクリアが困難な日本ではあまり例を見ないレプリカ車ながら、片や欧米ではかつて憧れた名車たちを比較的気軽に楽しめることから、けっこうな人気を誇るという。
特に、アマチュアリズムが尊重されるイギリスにおいては数多くのレプリカ車が製作されているのだが、数多い英国製レプリカの中、UK CLASSIC FACTORY代表の勝見祐幸氏がクオリティやパフォーマンスの面で吟味を重ねて選んだのが「the STR」と「AK427」だったとのことである。
特に、アマチュアリズムが尊重されるイギリスにおいては数多くのレプリカ車が製作されているのだが、数多い英国製レプリカの中、UK CLASSIC FACTORY代表の勝見祐幸氏がクオリティやパフォーマンスの面で吟味を重ねて選んだのが「the STR」と「AK427」だったとのことである。
2019年モデルのランチアHFストラトスがあったなら?
まず「the STR」のモデルとなったランチアHFストラトスは、1970年代のスーパーカー世代には懐かしい一台と言えるだろう。名門ランチア社がWRC(世界ラリー選手権)制覇を唯一最大の目的として開発し、FIAのホモロゲーション(認証)を取得するべく1974~75年に約500台を生産したモデルである。
1974-75-76年シーズンにWRC製造者部門三連覇を果たし、生来の目的を達成したHFストラトスは、そのスーパーカー的資質も相まって1970年代のアイコンとしての評価を獲得。英国では複数の小規模コンストラクターがレプリカを販売してきた。
ところがリスターベル社代表のクレイグ・ホワイト氏は、若き日からそれらレプリカ車の開発にも関与しつつ、既存のストラトス・レプリカには満足できなかったという。そこで、レーシングドライバーを志したのちにエンジニアに転向した彼は、2010年に独立。自身が理想とする「2019年モデルのHFストラトス」として開発し、2013年に発表したのが「the STR」とのことなのだ。
そのシャシーは、スチール製センターモノコック+サブフレーム構造を採るオリジナルHFストラトスに対して、ホワイト氏が自ら設計したというロールケージ一体型鋼管スペースフレーム。現代のレーシングカーと同様のスペックで製作される炭素鋼性アップライトに軽合金製アームを組み合わせた、高度なサスペンションも採用する。
1974-75-76年シーズンにWRC製造者部門三連覇を果たし、生来の目的を達成したHFストラトスは、そのスーパーカー的資質も相まって1970年代のアイコンとしての評価を獲得。英国では複数の小規模コンストラクターがレプリカを販売してきた。
ところがリスターベル社代表のクレイグ・ホワイト氏は、若き日からそれらレプリカ車の開発にも関与しつつ、既存のストラトス・レプリカには満足できなかったという。そこで、レーシングドライバーを志したのちにエンジニアに転向した彼は、2010年に独立。自身が理想とする「2019年モデルのHFストラトス」として開発し、2013年に発表したのが「the STR」とのことなのだ。
そのシャシーは、スチール製センターモノコック+サブフレーム構造を採るオリジナルHFストラトスに対して、ホワイト氏が自ら設計したというロールケージ一体型鋼管スペースフレーム。現代のレーシングカーと同様のスペックで製作される炭素鋼性アップライトに軽合金製アームを組み合わせた、高度なサスペンションも採用する。
筆者は英国の私有地内で少しだけステアリングを握る機会に恵まれたが、トリッキーな挙動で知られるHFストラトスと共通のディメンジョンながら、実に安定したハンドリングに驚かされた。
またホワイト氏の操縦で工房周辺のカントリーロードに出ると、さすが元レーサーらしく、あっという間に200km/h超(!)までスピードを上げられてしまったのだが、そんな強烈なドライブでもFRP製のボディはミシリとも言わない。
英国の権威「AUTOCAR」誌の元名物記者、スティーヴ・サトクリフ氏がそのハンドリングを絶賛したというのも、さもありなんと納得させられてしまったのである。
今回、お披露目された「the STR」日本上陸第一号車には3リッター版、アルファ166用のアルファロメオ製V6エンジンが搭載されるが、ほかにも2.5リッター版や3.2リッター版。あるいは注文主の希望によっては3リッター/3.2リッターのフェラーリV8も搭載できるとのこと。
また、エアコンディショナーも装備できるなど、実用性の点でもオリジナルのHFストラトスから大幅に向上していると言えるだろう。
またホワイト氏の操縦で工房周辺のカントリーロードに出ると、さすが元レーサーらしく、あっという間に200km/h超(!)までスピードを上げられてしまったのだが、そんな強烈なドライブでもFRP製のボディはミシリとも言わない。
英国の権威「AUTOCAR」誌の元名物記者、スティーヴ・サトクリフ氏がそのハンドリングを絶賛したというのも、さもありなんと納得させられてしまったのである。
今回、お披露目された「the STR」日本上陸第一号車には3リッター版、アルファ166用のアルファロメオ製V6エンジンが搭載されるが、ほかにも2.5リッター版や3.2リッター版。あるいは注文主の希望によっては3リッター/3.2リッターのフェラーリV8も搭載できるとのこと。
また、エアコンディショナーも装備できるなど、実用性の点でもオリジナルのHFストラトスから大幅に向上していると言えるだろう。
最もクオリティの高いコブラ・レプリカを目指して
一方、発表会では二台が展示された「AK427」は、ジョン・フリーマン氏とその家族で運営されるAKスポーツカーズ社が改良を施しつつ、実に30年にも亘って綿々と製作してきたACコブラ427レプリカである。
ACコブラ427、別名「シェルビー・コブラ427」は、1953年にデビューしたイギリスの2リッター級スポーツカー「ACエース」に、1959年のル・マンで優勝したアメリカ人ドライバー、故キャロル・シェルビーのプロデュースで北米フォード製V8エンジンを詰め込んだ、こちらも伝説的なスーパースポーツである。
ACコブラ427、別名「シェルビー・コブラ427」は、1953年にデビューしたイギリスの2リッター級スポーツカー「ACエース」に、1959年のル・マンで優勝したアメリカ人ドライバー、故キャロル・シェルビーのプロデュースで北米フォード製V8エンジンを詰め込んだ、こちらも伝説的なスーパースポーツである。
搭載されるエンジンは、当初「260(約4.2リッター)」でスタート。ほどなく「289(約4.7リッター)」を経て、最強の「427(約7リッター)」まで進化し、主目的であったアメリカのみならず、本場ヨーロッパのGTレースでも大活躍。1970年代のランチアHFストラトスと同等かそれ以上に、1960年代スポーツカーのカリスマ的存在となった。
それゆえ、コブラは最もレプリカ化された事例の多いクルマとして知られ、アメリカやイギリス、さらにはヨーロッパ大陸や南アフリカなどでも作られてきたとの由だが、フリーマン氏は自身のAK427が、少なくとも英国製レプリカの中では最もクオリティが高いと胸を張る。
もともとFRP専門業者であったフリーマン氏の父、ケン・フリーマン氏がコブラ・レプリカの製作を始めたのは1988年のこと。それまでボディ製作の委託を受けていたものを含めて、既存のコブラ・レプリカたちのボディラインやクオリティに不満を抱き、自ら開発・生産に乗り出したという。
息子であるジョン氏に代替わりしたのちは、サーキット走行を趣味とする同氏が自らテストドライバーとして、メカニズムをブラッシュアップ。現在では自社製の鋼管スペースフレームに自慢のFRP製ボディを組み合わせ、シボレー・コルベットなどにも搭載されるシボレーLS3エンジン(6.2リッターV8・430ps)を搭載した最新世代に進化を遂げている。
それゆえ、コブラは最もレプリカ化された事例の多いクルマとして知られ、アメリカやイギリス、さらにはヨーロッパ大陸や南アフリカなどでも作られてきたとの由だが、フリーマン氏は自身のAK427が、少なくとも英国製レプリカの中では最もクオリティが高いと胸を張る。
もともとFRP専門業者であったフリーマン氏の父、ケン・フリーマン氏がコブラ・レプリカの製作を始めたのは1988年のこと。それまでボディ製作の委託を受けていたものを含めて、既存のコブラ・レプリカたちのボディラインやクオリティに不満を抱き、自ら開発・生産に乗り出したという。
息子であるジョン氏に代替わりしたのちは、サーキット走行を趣味とする同氏が自らテストドライバーとして、メカニズムをブラッシュアップ。現在では自社製の鋼管スペースフレームに自慢のFRP製ボディを組み合わせ、シボレー・コルベットなどにも搭載されるシボレーLS3エンジン(6.2リッターV8・430ps)を搭載した最新世代に進化を遂げている。
AK427については、既に日本上陸を果たしていたAKスポーツカーズ社の元デモカー、オプションのスーパーチャージャー付LS3ユニット(600ps!)を搭載したメタリックブルーの個体に試乗する機会を得たが、非常にコントロールしやすいことに感銘を受けた。
ただし、スーパーチャージャーのフルパワーを不用意に解き放たない、という条件付きではあるのだろうが、それでもシャシーの剛性感とサスセッティングの巧みさ、そしてFRPボディの圧倒的とも言いたくなるクオリティと作りの良さは特筆に値すると思われる。
リスターベル社、AKスポーツカーズ社ともに、英国内では税制上有利なキットカーとしてのフォーム販売が多くを占めるとされるが、年間数台ていどはコンプリートカー(完成車)として製作されるそうで、日本総代理権を獲得したUK CLASSIC FACTORYではその一部を輸入することになるという。
日本での販売価格は装備やオプション、あるいは契約時の為替などによって変動するものの、UK CLASSIC FACTORY勝見代表によると現状での「the STR」は1200万円~、「AK427」は1350万円~で設定しているとのこと。ご興味を持たれた方は、UK CLASSIC FACTORYまで問い合わせされることをおすすめしておきたい。
ただし、スーパーチャージャーのフルパワーを不用意に解き放たない、という条件付きではあるのだろうが、それでもシャシーの剛性感とサスセッティングの巧みさ、そしてFRPボディの圧倒的とも言いたくなるクオリティと作りの良さは特筆に値すると思われる。
リスターベル社、AKスポーツカーズ社ともに、英国内では税制上有利なキットカーとしてのフォーム販売が多くを占めるとされるが、年間数台ていどはコンプリートカー(完成車)として製作されるそうで、日本総代理権を獲得したUK CLASSIC FACTORYではその一部を輸入することになるという。
日本での販売価格は装備やオプション、あるいは契約時の為替などによって変動するものの、UK CLASSIC FACTORY勝見代表によると現状での「the STR」は1200万円~、「AK427」は1350万円~で設定しているとのこと。ご興味を持たれた方は、UK CLASSIC FACTORYまで問い合わせされることをおすすめしておきたい。
武田公実|Takeda Hiromi
かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。