マクラーレンGTを解説|620馬力、最高速度326km/h、2,645万円
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
「スーパーカー」のカテゴリーでは明らかに新興勢力でありながらも、既に確固たる地位固めに成功している英国の雄、マクラーレンから、新たなグランドツーリングカーとしての再定義を提唱するモデル、その名も「マクラーレンGT」が日本でも正式にリリースされることとなった。
文・武田公実
写・CarMe[カーミー]編集部
文・武田公実
写・CarMe[カーミー]編集部
新次元のグランドツアラーを目指す
まずは新型車マクラーレンGTのお披露目に先立ち、マクラーレン・オートモーティブ・アジア日本支社代表の正本嘉宏氏が登壇。
マクラーレンにとって日本が世界第3位の重要マーケットであること、日本の販売実績は前年対比64%アップに成功したこと、そして今年5月の時点で国内累計販売台数は1000台に達したことなど、現在のマクラーレンの活況ぶりが誇らしげに語られた。
マクラーレンにとって日本が世界第3位の重要マーケットであること、日本の販売実績は前年対比64%アップに成功したこと、そして今年5月の時点で国内累計販売台数は1000台に達したことなど、現在のマクラーレンの活況ぶりが誇らしげに語られた。
そして正本代表がプレゼンターとなって、お待ちかねのアンベール。
その後、今回のジャパンプレミアのために来日したマクラーレン・オートモーティブ本社のチーフデザイナー、ゴラン・オズボルト(Goran Ozbolt)氏から、モデル解説が行われることになった。
*McLaren Speedtail
オズボルト氏はマクラーレンGTについて、同社のトップクラスを担うアルティメットシリーズの最新作、超高速ハイパーカーたる「スピードテール(Speedtail)」のD.N.A.を受け継ぎ、グランドツアラーと呼ばれるに相応しい快適性を備えながら、これまでのマクラーレン各モデルと同様、エアロダイナミクスと軽量化にこだわったモデルと説明した。
その特質を最も顕著に示しているのは、ミッドシップ車でありながら大容量のトランクを確保していることだろう。
フロントとリアのエンジン上部に設けられたラゲッジスペースは、前後合計で570リッターを実現。容量420リッターのリア側には、ゴルフバッグなどの長尺物を搭載できる。
この日のプレゼンでは、ステージを飾るGTに実際に積み込まれていた、フロント2個のバッグとリアのゴルフバッグ、そして同じくリアの大型バッグ1個を取り出して見せるパフォーマンスにより、その搭載能力を披露した。
フロントとリアのエンジン上部に設けられたラゲッジスペースは、前後合計で570リッターを実現。容量420リッターのリア側には、ゴルフバッグなどの長尺物を搭載できる。
この日のプレゼンでは、ステージを飾るGTに実際に積み込まれていた、フロント2個のバッグとリアのゴルフバッグ、そして同じくリアの大型バッグ1個を取り出して見せるパフォーマンスにより、その搭載能力を披露した。
ちなみに、これまでのマクラーレン製グランドツアラー、570GTがシート後方に設けられた「ツーリングデッキ」で220リッター。
フロントフード下のラゲッジスペースと合わせると370リッターのトランク容量だったことからすれば、大幅な進歩と思われる。加えて、570GTでは横開きだったリアハッチが、コンベンショナルな縦開きとされ、荷室へのアクセスが大幅に改善されたのも、実用性という観点では重要な進化と言えよう。
フロントフード下のラゲッジスペースと合わせると370リッターのトランク容量だったことからすれば、大幅な進歩と思われる。加えて、570GTでは横開きだったリアハッチが、コンベンショナルな縦開きとされ、荷室へのアクセスが大幅に改善されたのも、実用性という観点では重要な進化と言えよう。
その傍ら後部荷室の真下、リアミッドシップに搭載されるM840TE型V8ツインターボエンジンは、排気量4リッター。
つまり、マクラーレンにとっては「スーパーシリーズ(720S/720Sスパイダー)」に搭載されるM840T型を、GTカーの適性に合うようディチューンしたものと考えられる。ただし、ディチューンされたとはいえ最高出力は620ps、最大トルクは630Nmを発生。
カーボンファイバー製パーツをふんだんに使用することにより、同じGTカテゴリーに属するライバル車たちと比べて200kg以上も軽量に仕上がったと標榜する1530kgの車体を、最高速度で326km/h、0→100km/h加速では3.2秒で走らせるとのこと。
このスーパーカー級のパフォーマンスは、マクラーレンの定義するGTが新次元にあることを意味するようだ。
つまり、マクラーレンにとっては「スーパーシリーズ(720S/720Sスパイダー)」に搭載されるM840T型を、GTカーの適性に合うようディチューンしたものと考えられる。ただし、ディチューンされたとはいえ最高出力は620ps、最大トルクは630Nmを発生。
カーボンファイバー製パーツをふんだんに使用することにより、同じGTカテゴリーに属するライバル車たちと比べて200kg以上も軽量に仕上がったと標榜する1530kgの車体を、最高速度で326km/h、0→100km/h加速では3.2秒で走らせるとのこと。
このスーパーカー級のパフォーマンスは、マクラーレンの定義するGTが新次元にあることを意味するようだ。
「第4のシリーズを構築するか?」
従来のマクラーレン各モデルは、カーボンモノコックを基本構造とするスパルタンな成り立ちながら、同時に驚くほど快適性が高いことを身上としてきた。
しかし、さらにマクラーレン GTでは、こちらもスーパーシリーズ由来となると思われる新設計のカーボンモノコック(モノセルII-T)を基本構造体とする上に、新たな「プロアクティブ・ダンピング・コントロール・システム」を搭載することで、これまでを遥かに上回る快適性を実現。大陸横断レベルのロングツーリングにも適したクルマであると主張する。
その思想は、デザインについても現れているかに思われる。
しかし、さらにマクラーレン GTでは、こちらもスーパーシリーズ由来となると思われる新設計のカーボンモノコック(モノセルII-T)を基本構造体とする上に、新たな「プロアクティブ・ダンピング・コントロール・システム」を搭載することで、これまでを遥かに上回る快適性を実現。大陸横断レベルのロングツーリングにも適したクルマであると主張する。
その思想は、デザインについても現れているかに思われる。
*570S Spider & 720S
540C/570Sなどのマクラーレンのボトムレンジとなる「スポーツシリーズ」。720Sなど量産モデルでは最上位となる「スーパーシリーズ」。
*McLaren P1, Bahrain
*McLaren Senna
そしてP1やSenna、新たなスピードテールなど、究極の限定モデル「アルティメットシリーズ」など、既存のマクラーレン各モデルはスーパースポーツとしての資質を徹底追及し、そのキャラクターを体現したデザイン哲学のもとに作られてきた。
しかし、既存のシリーズのいずれにも属さない独自路線のモデルとなる新生マクラーレンGTは、同じミッドシップモデルながらも独自のエレガンスを目指した、新たなデザイン言語を構築していることが垣間見られるのだ。
しかし、既存のシリーズのいずれにも属さない独自路線のモデルとなる新生マクラーレンGTは、同じミッドシップモデルながらも独自のエレガンスを目指した、新たなデザイン言語を構築していることが垣間見られるのだ。
このモデルのデザインワークを自ら主導したオズボルト氏は、スピードテールのデザインも担当していた人物。
それだけに、現代マクラーレンの方法論に則りながら、そして徹底してエアロダイナミクス性能にこだわりながらも、新たなGTシリーズの美学を創造しつつ、機能性を高めることに努めたという。
それだけに、現代マクラーレンの方法論に則りながら、そして徹底してエアロダイナミクス性能にこだわりながらも、新たなGTシリーズの美学を創造しつつ、機能性を高めることに努めたという。
例えば720Sなどではアグレッシブさを前面に押し出していたノーズの形状も、フロントのトランク容積を獲得するため、あるいは路面の段差を超える際などに要求されるクリアランスを確保するために高められるとともに、より温和かつ典雅な表情となっている。
加えて、インテリアでもマクラーレンの考えるGT像を体現。これまでの各モデルよりも快適性を重視するととともに、マテリアルやデザインでも、これまでのGTモデルとは一線を画した新感覚を目指しているとのこと。
しかし、1950年代に端を発する「GT」という世界観のロマンティシズムは、たしかに体現できているかに見えるのである。
しかし、1950年代に端を発する「GT」という世界観のロマンティシズムは、たしかに体現できているかに見えるのである。
「スポーツシリーズ」「スーパーシリーズ」。そして「アルティメットシリーズ」に続く、第4のシリーズとなる可能性を秘めたマクラーレンGT。
日本での販売価格は、2645万円(登録が今年10月以降となるため10%の消費税込み)と、マクラーレンとしてはベーシックレンジに当たる「スポーツシリーズ」に属するGTモデル、「570GT」の2752万7000円(現行消費税込み)と比べても、実に戦略的なプライスと言えるだろう。
この注目すべき新作は、国内発表された6月20日から予約受付がスタート。デリバリー開始は2019年10月ごろからを目標としているとのことである。
日本での販売価格は、2645万円(登録が今年10月以降となるため10%の消費税込み)と、マクラーレンとしてはベーシックレンジに当たる「スポーツシリーズ」に属するGTモデル、「570GT」の2752万7000円(現行消費税込み)と比べても、実に戦略的なプライスと言えるだろう。
この注目すべき新作は、国内発表された6月20日から予約受付がスタート。デリバリー開始は2019年10月ごろからを目標としているとのことである。
マクラーレンGTのスペック
エンジン形態:M840TE、4.0リッターV型8気筒ツインターボ・エンジン/3,994cc
ドライブトレイン・レイアウト:縦置きミッドシップエンジン、RWD
最高出力:620@7,500rpm
最大トルク:630Nm@5,500-6,500rpm
ステアリング:電動油圧式パワー・ステアリング
ホイール(インチ):フロント8j x 20、リア10.5J x 21
タイヤ:フロント Pirelli P ZERO 225/35/R20、リア 295/30/R21
全長:4,683mm
ホイールベース:2,675mm
全高:1,213mm
全幅(ミラー展開時):2,095mm
全幅(ミラー収納時):2,045mm
トレッド:フロント1,671mm、リア1,663mm
乾燥重量:1,466kg
燃料タンク容量:72L
荷室容量:570L
ドライブトレイン・レイアウト:縦置きミッドシップエンジン、RWD
最高出力:620@7,500rpm
最大トルク:630Nm@5,500-6,500rpm
ステアリング:電動油圧式パワー・ステアリング
ホイール(インチ):フロント8j x 20、リア10.5J x 21
タイヤ:フロント Pirelli P ZERO 225/35/R20、リア 295/30/R21
全長:4,683mm
ホイールベース:2,675mm
全高:1,213mm
全幅(ミラー展開時):2,095mm
全幅(ミラー収納時):2,045mm
トレッド:フロント1,671mm、リア1,663mm
乾燥重量:1,466kg
燃料タンク容量:72L
荷室容量:570L
マクラーレン&ロータスを直撃インタビュー!マクラーレンの今後の展望は?ロータスは日本市場が大事?【東京オートサロン2020】
武田公実|Takeda Hiromi
かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。