メルセデス・ベンツ Aクラスに待望のディーゼルエンジンが登場!"新しい相棒"となり得るのか?

メルセデス・ベンツ Aクラス A200d 宮越孝政

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「新しい時代に新しい相棒」をキャッチコピーに2018年10月、新型Aクラスがデビューしました。AI機能付き音声認識が注目され話題になったAクラスですが、プラットフォームを一新し、エンジンも1.6リッター直列4気筒直噴ターボエンジンから1.4リッター直列4気筒直噴ターボエンジンへとダウンサイジングされ、新しいパッケージングで登場しました。そして2019年3月、2.0リッター直列4気筒直噴ディーゼルターボを搭載したA200dが日本にも導入されました。このディーゼルエンジンは2020年施行される予定の排ガス規制、ユーロ6D NOEMの基準を満たすクリーンディーゼルです。その性能はいったいどのようなものなのでしょうか。

文・斎藤 聡/写真・宮越 孝政

斎藤 聡|さいとう さとし

モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。

斎藤 聡
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AI技術だけがトッピクスではない。クルマとしての進化にも驚愕
"ダウンサイジング"ではなく、"ライトサイジング"

AI技術だけがトッピクスではない。クルマとしての進化にも驚愕

AIが注目されるAクラスなので、クルマのほうは先代からの軽いアップデート程度かなと思っていたのですが、これは大きな間違いでした。フルモデルチェンジと言うに相応しい大きな進化が図られていました。

ボディがカッチリしており、そこに組みつけられたサスペンションの出来がまた素晴らしいものでした。

Cセグメントと呼ばれるクラスは、俗に"ゴルフクラス"といわれるくらいフォルクスワーゲンゴルフが頭一つ抜けた存在としてあるのですが、新型はこれに勝るとも劣らないで気といっていいと思います。
新型Aクラスは、先代のコンサバティブな(でもメルセデスらしい)デザインから、シャープで精悍なものに変わっています。ボディサイズも全長を120mm、ホイールベースを約30mm延長することで伸びやかさも加わっています。(Aクラス A200d:全長4,436mm、全幅1,796mm、全高1,440mm、ホイールベース2,729mm)

サスペンション形式は、先代が(前)ストラット式、(後)4リンク式だったものを、(前)ストラット式独立、(後)トーションビーム式となっています。

一般的には固定式より独立式のほうが高級で優れたサスペンションという認識をしているため、このサスペンションの採用には少なからず違和感がありました。ところが実際に乗ってみると、リヤサスペンションの動きがとてもしなやかで、しかもタイヤの位置決めがしっかりできているようなカチッとした精度感があります。プラットフォームを一新した前・ストラットサスペンションも従来とは比べものにならないくらいピタリときれいにタイヤを路面に接地させている感覚があります。

プラットフォームやボディの出来が良いのでしょう。総じて滑らかで質感の高い乗り味に仕上がっていました。
ちなみに、「ハイ、メルセデス」で起動するAIを用いた音声認識が可能な新しいインフォテーメントシステム“MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)”を実際に試してみると、取扱い説明書を読まなくても簡単に操作できましたが、音声認識は「メルセデス」という語句に反応するようで、動画用に一人車内で話していたら、やたらメルでセデスという語に敏感に反応してくるので、ちょっと面倒に思う場面もありました....。

"ダウンサイジング"ではなく、"ライトサイジング"

日本に導入されてきたAクラスのエンジンは、1.4リッター直列4気筒直噴ターボエンジン(136PS/20.4kgm)でした。

フリクション感が極めて少ない滑らかン吹き上がりや回転感と、ダウンサイジングを感じさせない全域にトルクの厚みのある扱いやすいエンジンで、Aクラスにピッタリのエンジンという印象でした。

新たに追加されたディーゼルエンジンは2.0リッター直列4気筒直噴ディーゼルターボエンジンで、最高出力150馬力、最大トルク320N・mを発揮します。スペックもさることながら、このディーゼルエンジンは2020年施行予定のユーロ6d MARMの基準をクリアしたクリーンディーゼルでもあります。

印象としてはやや過剰なパワーユニットといった印象なのですが、かえってそれがドライバーに余裕をもたらし、ストレスなくゆったりスムーズに走らせることができるのです。アクセルを踏み込んだ瞬間から分厚いトルクが感じられますから、ことさらアクセルを深く踏み込む必要がありませんし、また踏み込もうとも思わないのです。
結果的に力強く、それでいてスムーズにクルマが加速してくれます。このディーゼルエンジンはメルセデスベンツC200dにも搭載されているユニットを横置きにしたもので、滑らかさに定評のあるエンジンです。こんなエンジンに乗るとダウンサイジングじゃなく、ライトサイジングと言ったらいいでしょうか。適切な排気量のエンジンをゆったり使って走らせる心地よさの魅力を改めて実感することができます。

この滑らかで心地よいエンジンと、スムーズな乗り味のサスペンションの組み合わせは“絶品”と言いたくなるくらいの出来栄えです。

ダイナミックセレクトと呼ばれる走行モードは、モードによってエンジン、トランスミッション、ステアリングアシストが変化します。市街地でコンフォートが滑らかでスムーズで心地よいと思いますが、スポーツにしてもダンパーを突っ張っているような硬さがなくショックはやや強めですがスッと収束するのでこれはこれで歯切れがよく心地よい乗り味です。このあたりからもボディの剛性の高さがうかがえます。

あのクルマをベンチマークに、徹底的にクルマを作り込み、乗り味を磨いて仕上げてきたことがありありと感じられます。

大人げないと思えるほど本気で作ったCセグメントのコンパクトカー「Aクラス」です。特にA200dは無視することのできない魅力的なパッケージングのクルマ だと思います。蛇足ですが、ディーゼルエンジン代+30万円という設定も大いに興味のそそるところです。
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