ガソリンの移動販売がダメな理由とは?

ガソリンスタンド

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ガソリンは揮発性が非常に高く、小さな火源でも引火、爆発しやすいことで知られている。タバコなどの火気はもちろん、給油中の携帯電話(スマホ)の使用も禁じられている。携行時もガソリン用として性能試験をクリアした金属製の容器を使う必要がある。

それほどデリケートなガソリンの扱いだが、被災地や山間部などの一部では移動販売の例外もある。それでもガソリンの移動販売が一般化しない理由とは?

文・塚田 勝弘
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消防法によりガソリンの移動販売はNG
被災地や山間部では条件付でガソリンの移動販売も

消防法によりガソリンの移動販売はNG

消防法により、ガソリンや軽油に関する規制は細かく決まっていて、先述した携行時には、容器と容量の制限、販売の制限も設けられている。
携行(移動)の制限だけでなく、販売や貯蔵(200L以上はNG)の制限なども細かく決められている。

もちろん、貯蔵施設には耐火構造であることなど、「運搬・貯蔵・販売」の制限があり、移動販売はこうした消防法により、実質的にできない状態にある。

被災地や山間部では条件付でガソリンの移動販売も

しかし、震災などにより被災地での深刻な燃料不足は、支援や復興に大きな影響を及ぼす。緊急時だけでなく、山間部などの過疎地では、ガソリンのニーズ減少、後継者不足などにより、ガソリンスタンドが閉鎖され、給油するだけでもかなりの距離を走る必要があるなど、生活の足に大きな影響を及ぼしているのだ。

自治会などの住民による共同経営により、こうした危機を乗り越えようとする動きも出ているニュースも時々耳にするはず。とはいえ、こうした例は少数派そこで、年々減っていくガソリンスタンド対策として、地方では自宅で充電できるEV(電気自動車)もじわじわと人気を集めているという話も耳にする。生活の足であれば、長距離を走る必要はなく、中古のEVでも十分という声もあるという。

それでもガソリン車からEVに乗り替えられる人も少なく、経済産業省では「SS過疎地対策」として業界団体とSS過疎地対策協議会を設置。さらに、実証実験という形で限定的ではあるが、タンクローリーから給油機を通してクルマに給油するという試みも行われている。

災害発生から10日以内であれば、こうした移動販売も可能ではあるが、セルフでの給油はできず、移動販売という形式から考えても分かるように、販売時期や時間などには制約がある。
ガソリンスタンドの移動販売には、消防法の改正が不可欠で、ガソリンスタンドがなくなれば、「生活ができない」という理由から人口流出が増える可能性も否定できないだろう。過疎地では、バスや鉄道などの交通公共機関が脆弱化し、期待の「MaaS(マース)」と呼ばれる、クルマを持たないモビリティサービスの普及にはまだ時間がかかるのが現実。

もちろん、安全性を担保した上ではあるが、タンクローリーによる移動販売式ガソリンスタンドが実現すれば、生活の足を確保できるだけに、こうした声を上げるのも必要なのかもしれない。
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