ガソリンはギリギリまで給油しても大丈夫?超満タン給油の危険性【2025年最新情報】

ガソリンスタンド

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まだタンクに入りそうなのに、給油が自動停止してしまった… セルフ式ガソリンスタンドでこんな経験をしたことがある方は多いでしょう。一度止まっても、せっかくだからギリギリまで入れたいと思い、もう一度ノズルを差し込んで継ぎ足し給油したくなるかもしれません。しかし、超満タン給油は思わぬ危険を招く行為です。

CARPRIME編集部

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Chapter
揮発性の高いガソリンは取扱注意
超満タン給油が危険な理由その1:ガソリンが吹きこぼれて引火・火災の恐れ
超満タン給油が危険な理由その2:温度上昇で燃料が膨張し後からあふれるリスク
超満タン給油が危険な理由その3:最新車両の蒸発ガス排出装置(キャニスター)への悪影響
超満タン給油が危険な理由その4:燃料ポンプ周辺やタンク破損のリスク
ガソリンスタンドでの正しい給油方法と安全対策
給油機の自動停止を厳守する
給油ノズルは深く差し込んで使用する
給油前の準備と周囲への注意
まとめ — 超満タン給油はしないのが賢明

揮発性の高いガソリンは取扱注意

ガソリンは非常に揮発性・引火性が高い危険物です。ガソリンの引火点は極めて低く、静電気程度の小さな火花でも簡単に燃え広がるほど危険性があります。

そのためガソリンスタンドは火気厳禁であり、給油中の喫煙はもちろん、携帯電話の使用も禁止されています。給油前には備え付けの静電気除去シートに触れて静電気を逃がすことが徹底されています。セルフ式給油機の案内表示にも「給油中は車から離れない」「静電気除去パッドに触れてから給油してください」などと並び、自動停止したら追加給油をしないでくださいと明記されています。

また、ガソリンは灯油のようにポリタンクでの保管・持ち運びが法律で禁止されています。どうしても持ち運ぶ必要がある場合は金属製のガソリン携行缶を使用しなければなりません(※消防法により、セルフスタンドでは利用者自身で携行缶へ給油することは禁止)。

これらはすべてガソリンの危険性を踏まえた基本的なルールです。では、なぜ満タン以上に入れる行為、いわゆる継ぎ足し給油・超満タン給油は危険なのでしょうか。次から詳しく見ていきます。

超満タン給油が危険な理由その1:ガソリンが吹きこぼれて引火・火災の恐れ

オートストップ後に継ぎ足すと、まず懸念されるのは給油口からのガソリン溢れ(吹きこぼれ)です。燃料タンクいっぱいまで入れようとして加減を誤ると、ガソリンが給油口からあふれて車体にこぼれてしまうことがあります。石油業界などの調査によれば、セルフスタンドの多くで年間に何らかのガソリン吹きこぼれ事故が発生しており、その多くはオートストップ後の継ぎ足し給油が原因と報告されています。

ガソリンがこぼれると塗装面を傷めるだけでなく、地面に撒き散らばった燃料に引火し大きな火災事故につながる危険性があります。ごく少量のガソリン蒸気でも空気中で広がり、そこに静電気火花やたばこの火などが加わると一瞬で燃え広がります。

つまり、給油機が自動停止した時点ですでにタンク内は満タンであり、ノズル先端のセンサー穴に燃料が触れたことでストップしています。その状態で無理に継ぎ足せば、タンクから燃料が給油口やインレットパイプ内に逆流し、溢れ出してしまう可能性が高いのです。ガソリンスタンドのスタッフも満タンになってからの追加給油は非常に危険なので絶対にやめてくださいと警告しています。

超満タン給油が危険な理由その2:温度上昇で燃料が膨張し後からあふれるリスク

仮に「こぼさない程度に」と慎重に継ぎ足し給油を行い、一見うまく満タンギリギリまで入れられたとしても安心はできません。ガソリンは温度によって体積が増える性質があるからです。例えば涼しい朝方に目一杯まで入れてしまうと、日中気温が上がった際に燃料が膨張し、タンク容量を超えて溢れ出す危険があります。

ガソリンの体積膨張率は小さいように見えても無視できません。40リットル給油した場合、気温が10℃上昇すると数百ミリリットル単位で体積が増える計算になります

わずかな増加量に思えるかもしれませんが、タンクに全く空きスペースがない状態では、この増加分の行き場がありません。その結果、燃料がキャップや排気口から漏れ出したり、最悪の場合は車両下に滴下して走行中に火花で引火するリスクも考えられます。

特に夏季は給油時と後で気温が大きく変化することがあり、満タンギリギリまで入れることは温度変化による思わぬ燃料漏れを招く点でも危険です。

超満タン給油が危険な理由その3:最新車両の蒸発ガス排出装置(キャニスター)への悪影響

環境対策のため、近年のガソリン車には燃料蒸発ガス排出抑止装置(キャニスター)が搭載されています。

これは燃料タンク内で発生するガソリン蒸気(揮発ガス)をそのまま大気放出せず、一旦チャコールキャニスターと呼ばれる活性炭フィルター付きの容器に吸着させ、エンジン稼働時に吸気経路へ導いて燃焼させる装置です。ところがタンクに燃料を入れすぎると、本来は気体だけ通すはずの経路に液体のガソリンが流れ込んでしまう恐れがあります

実際に満タンにしたらエンジン不調になり警告灯が点いたという事例もあります。原因はキャニスターへのガソリン混入でした。

液体がキャニスターに達すると、本来なら薄い濃度の蒸気だけ送りエンジンで燃やすはずが、高濃度のガソリンが直接エンジンに送られて異常燃焼を起こすため、アイドリング不良や加速不良などの不調を招くのです。最悪の場合、エンジンがかからなくなったり、火花プラグの失火・カーボン蓄積による故障にもつながりかねません。

さらに、一度ガソリンで浸されてしまったキャニスターは再起不能で交換が必要になります。しかもメーカー保証の対象外(ユーザーの誤使用扱い)となるケースがほとんどで、修理代は数万円以上の自己負担になる可能性があります。こうした費用面から見ても、継ぎ足し給油は決して得にはなりません。

超満タン給油が危険な理由その4:燃料ポンプ周辺やタンク破損のリスク

近年の自動車は軽量化のため樹脂製の燃料タンクを採用する車種が増えています。樹脂タンクは腐食しにくく耐久性もありますが、金属タンクに比べて内圧による変形を受けやすい面があります。

通常、燃料タンク内には燃料膨張や蒸気の逃げ場として適度な空間(エアスペース)が確保される設計になっており、オートストップもその余裕を持たせた段階で作動します。しかし継ぎ足しでその空間まで液体で満たしてしまうと、蒸発したガスが逃げ場を失い内圧が異常に高まることがあります

特にタンク上部に取り付けられているフューエルポンプやセンサー類の周辺は構造上弱い部分であり、過剰圧力でシール部が破損したり、極端な場合タンクそのものが割れてしまうケースも報告されています。

実際、継ぎ足し満タンを常態化していた車でタンクに亀裂が入り、タンク交換費用が高額になって車両が廃車同然になった例もあります。燃料漏れは車両火災に直結する深刻な事態です。安全面からも経済面からも、タンクを極限まで満たす行為は避けるべきです。

ガソリンスタンドでの正しい給油方法と安全対策

給油機の自動停止を厳守する

オートストップが作動したら、その時点で給油を終了します。レンタカー会社でも「自動停止で給油ストップ」の注意書きを掲示しているほど重要なルールです。

どうしても満タンになっているか不安な場合は、一呼吸おいてからもう一度ノズルを奥まで差し込み、自動停止するまで給油し直してみる程度に留めましょう(それでもすぐ停止するなら満タンになっています)。決して何度もノズルを差し直して継ぎ足すようなことはしないでください。

給油ノズルは深く差し込んで使用する

ノズル先端のセンサー穴が正しく作動するよう、給油口の奥までしっかり差し込みます。ノズルが浅いとオートストップが機能しない恐れがあります。ゆっくり注ぐ「チョロチョロ継ぎ足し」も避け、常にレバーを目一杯引き、一定の流量で給油しましょう。

給油前の準備と周囲への注意

エンジン停止静電気除去は給油の基本です。給油キャップを開ける際も周囲に火気がないか十分確認しましょう。セルフスタンドでは給油中に車から離れない、給油が終わったら確実にキャップを閉める、といった事項も守ります。万が一ガソリンをこぼしてしまった場合は、スタンド備え付けの吸油剤や店員に速やかに報告して処置してもらいましょう(石油系油は水で洗い流すよりも砂や専用の吸着剤で処理するのが望ましいです)。
以上のポイントを押さえていれば、セルフスタンドでも安全に給油できます。逆に少しでも多く入れたい、端数を切りよくしたいなどの理由で危険な継ぎ足し給油を行うメリットは皆無です。消防当局も毎年の危険物安全週間に合わせ満タン後の継ぎ足し給油は禁止と注意喚起しています。ドライバー自身の安全と愛車のコンディションを守るためにも、適正な給油方法を守ってください。

まとめ — 超満タン給油はしないのが賢明

ガソリンをギリギリまで入れれば給油回数を減らせる気もしますが、実際には得られる走行距離はごくわずかで、その代わりに大きなリスクを背負うことになります。現代の車は満タンまで入れなくても効率よく走れるよう設計されており、燃費管理もトリップメーター等で十分可能です。今回解説したように、超満タン給油は火災事故や車両故障を招く危険な行為であり、ユーザーにもスタンド側にもデメリットしかありません。

これからも安全で快適なカーライフを送るために、給油は自動停止で止めるという基本ルールを忘れないでください。少しでも不安な点があれば遠慮なくガソリンスタンドのスタッフに相談し、正しい方法で給油すれば何の心配もありません。安全第一で、楽しいドライブを!
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