オールマイティに楽しめるオープンスポーツ。BMW 新型「Z4」

2019年3月25日より、BMWの新型「Z4」の日本での発売が開始された。この新型「Z4」はトヨタとの共同開発された「スープラ」と多くのコンポーネンツを共有している。果たして、この新型BMW「Z4」はどんな仕様なのだろうか。鈴木ケンイチがレポートする。

文・写真/鈴木ケンイチ

Chapter
「Z1」から続くロングノーズ&ショートデッキの歴史
「Z3」の後継モデルとして2002年に「Z4」が誕生
新型 BMW「Z4」は、スタイルを一新し、よりスポーティなテイストを強める
飛ばしても、ゆったり走っても、どちらも十分な楽しさがある
BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i

「Z1」から続くロングノーズ&ショートデッキの歴史

BMW Z1


BMWにとって「Z」の名称は、2座のオープンカーであるロードスターを意味しており、そのルーツは、1989年に発売された「Z1」にある。「Z1」は当時の3シリーズのエンジンなどを使ったコンパクトなロードスターであった。

「Z1」は1991年までの生産と短命に終わったが、次作として1995年に登場した「Z3」は大ヒットモデルとなった。

BMW Z1


「Z3」は、ロングノーズ&ショートデッキ(長いボンネットに対して、小さな乗員スペースがボディ後側に寄せられている)という、クラシカルなスタイルが特徴のライトウェイトなスポーツカーであった。

本気で飛ばすというよりも、ゆったりとオープンカーの解放感を楽しむようなキャラクターだ。そのヒットに続いて登場したのが、ゴージャスな「Z8」であった。こちらも「Z3」と同様に、非常にクラシカルなテイストを備えていた。


「Z3」の後継モデルとして2002年に「Z4」が誕生

BMW 初代 Z4


そして、「Z3」の後継モデルとして2002年に「Z4」が誕生する。数字が大きくなっているように、車格がアップされ、3リッターの直列6気筒エンジンが基本のエンジンとなった。それでも、ロングノーズ&ショートデッキというスタイルは踏襲。やはり、本気のスポーツカーというよりも、オープンエア走行の爽快感を楽しむのが主目的というキャラだ。

そして「Z4」は2009年に第二世代に世代交代する。二代目は、ロングノーズ&ショートデッキはそのままに、ルーフをリトラクタブル式に変更し、クローズ状態ではクーペとなった。クローズ時の快適性が高められたのだ。

新型 BMW「Z4」は、スタイルを一新し、よりスポーティなテイストを強める

BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i


新しい「Z4」は、先代モデルと大きく変わった。クラシカルなロングノーズ&ショートデッキをやめて、現在風なスポーツカーのスタイルを採用した。これは、トヨタの影響と言えるだろう。新しい「Z4」は、トヨタとの共同開発になり、トヨタ版は「スープラ」として発売される。つまり、本格的なスポーツカーを目指す「スープラ」としても成立することが求められた結果、「Z4」も、よりモダンなスタイルに変化したのだ。

ちなみに「スープラ」は通常のクーペとなり、「Z4」のルーフはソフトトップ(布製)となっている。ソフトトップは静粛性や耐候性に不利だが、軽量で低重心にできるというメリットもある。

ただし、デザイン面は、どこからどう見てもBMWだ。新型「8シリーズ」と同様に、新世代のBMWのデザイン・テーマが新型「Z4」には採用されている。インテリアのデザインも、新世代デザインになっており、新型「8シリーズ」などと同テイストとなっている。

BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i


搭載されるエンジンは2種類。最高出力197馬力の2リッター4気筒ターボと、最高出力340馬力の3リッター直列6気筒ターボ。トランスミッションはどちらも8速ATとなる。

自動ブレーキなどの運転支援系は、一通りそろっているが、新型「3シリーズ」や「8シリーズ」のような3眼カメラを備えた最新システムではないところが残念なところ。ただし「OK BMW」の掛け声で起動するBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントは搭載されている。

飛ばしても、ゆったり走っても、どちらも十分な楽しさがある

BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i


今回、試乗ができたのは直列6気筒エンジンを搭載する上級グレードの「Z4 M40i」であった。パワフルというだけでなく、電子制御ダンパーであるアダプティブMスポーツ・サスペンションとMスポーツ・ディファレンシャルが標準装備されているのが、上級グレードの魅力だ。

最初は、クルマに馴染むために、ゆっくりと走らせてみた。そこで気が付いたのは快適性の高さだ。ルーフを閉じた状態での静粛性が驚くほど高い。さらにルーフを開け放って走ったときも風の巻きこみが非常に少ない。

BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i


ちなみにルーフの自動での開け閉めは、時速50㎞までであれば走行中もOK。10秒ほどで終了する。これも便利な機能だ。乗り心地も、なかなかのもの。路面の凹凸を超えるときの振動のいなし方も上品だ。その上、直列6気筒エンジンはスムーズで、ふけ上がりが気持ちよい。オープン状態で景色を楽しみながら、ゆったりと流しているだけでも、楽しい気持ちになれる。こうしたフィーリングは「Z3」から続くよき伝統と言えるだろう。

次に、ペースを上げていけば、最高出力340馬力/最大トルク500Nmの力強さが十分に味わえた。よく動くサスペンションと賢いデフのおかげもあって、ロードホールディング性もトラクション性にも何も不満はない。サーキットに持ち込んでも十分に応えてくれるであろう、優れた俊敏性と瞬発力を見せてくれた。スポーツカーとしても「Z4」は一流であったのだ。

BMW Z4 鈴木ケンイチ

写真:BMW Z4 M40i


試乗して思うのは「Z4」は、オールマイティに楽しめるクルマだということだ。停めた状態で眺めていても嬉しいし、ゆったりと走っていても楽しい。そして飛ばしてもいい。ユーザーにさまざまな楽しみを提供してくれるクルマ。それが新型 BMW「Z4」であったのだ。