約2年1万キロ走ってわかった ルノー ルーテシアR.S.…特別なクルマ、だけどリーズナブル

ルノー・ルーテシアR.S. 工藤 貴宏

ちょうど2年前の春、10年乗ったポルシェ・ボクスターSを手放した僕はフランス製の特別なハッチバックを手に入れることになった。それが「ルノー・ルーテシアR.S.」。それから共に過ごした2年間で感じたことをお届けしよう。

文/写真・工藤貴宏

マニュアルではない。だけど運転が楽しい。

サーキット走行を中心に考えたスポーツカーのルーテシアR.S.だけど、意外なことにトランスッションはMTが選べない。昨年登場したピュアスポーツカーの「アルピーヌA110」もそうだが、DCTしか選べないのだ。MT派としてここは購入時に大いに悩んだが、ないものは仕方がない。受け入れることにした。

ルノースポールとしては「ハンドリングが楽しいから、ギヤチェンジなんかしていないで曲がる歓びを堪能しなさい」ということなのだろう。

DCTはノーマルモードだと「あれっ?」と思うほどルーズだが、スイッチを押して「R.S.」や「マニュアル」モードにするとバシュッ、バシュッとシフトアップもダウンもズバズバと決まっていく。そもそもMTのシフトアップ/ダウンは速度も遅いしシフトミスにもつながるので、現在では速く走るためのトランスミッションではない。そういう意味では、2ペダルのスポーツカーは理にかなっているのは間違いない。

日常はもちろん、峠道でもサーキットでも、気が付けば「やっぱりMTのほうがよかった」という後悔は感じることがなかった。

サーキットなどで全開加速をすると、素早いシフトアップと同時に排気管から「バババッ」という今どきのスポーツカーらしい音が聞こえてきてテンションを上げてくれる。そんな演出の巧みさも、さすがルノースポールだ。

曲がることが本当に楽しい

運転していて感じるルーテシアR.S.の真骨頂は、なんといっても旋回中だ。このクルマは本当に曲がるのが楽しい。ハンドルを切り始めるとドライバーの思い通りにスッと向きを変え、鋭い刃物のようにシャープに切り込んでいく。

そして旋回中は「アンダーステア」などという言葉とは無縁で、ライントレース性のよさはどこまでも曲がっていきたくなるほどだ。その時の爽快感と言ったら、地球上の多くのクルマでは体験できない領域と断言できる。峠道を走っていると、コーナリングが終わって直線になるのが残念で仕方がないほどだ。

もちろん、サーキットを走らせても驚くほどのコーナリング速度で回りを驚かせる実力である。

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時には、サーキット走行も