F1の技術を注入した 大陸横断型フレンチGT、メガーヌ ルノー メガーヌ エステートGTライン
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
空港からパリ市内へと向かう高速道路を走っていると、うしろからやってくるコンパクトカーが元気に追い越し車線を駆け抜けていく。
ガッシリと路面に腰を据えて、無駄な動きもなく一瞬で小さくなっていく後ろ姿を見ていると、日本で見るコンパクトカーのそれとはひと味もふた味も違った印象で、「あぁ、ヨーロッパに来たんだなぁ」という実感が湧いてくる。
text:まるも亜希子 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.124 2013年3月号]
ガッシリと路面に腰を据えて、無駄な動きもなく一瞬で小さくなっていく後ろ姿を見ていると、日本で見るコンパクトカーのそれとはひと味もふた味も違った印象で、「あぁ、ヨーロッパに来たんだなぁ」という実感が湧いてくる。
text:まるも亜希子 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.124 2013年3月号]
F1の技術を注入した 大陸横断型フレンチGT、メガーヌ ルノー メガーヌ エステートGTライン
実は、メガーヌというクルマと初めて出逢ったのも、高速道路の上だった。私はパリからトゥールーズに行くために走っていて、真横をヒュンと抜きさって行ったリアデザインがとても個性的でカッコよく、一瞬で目に焼きついてしまった。
折しもその頃は、パリ中がモヌケのカラになるというフランスのバカンスシーズン。大荷物を積んでいたり、子供連れの楽しそうなファミリーだったり、中にはすでにビーチマットをふくらましているカップルまで、たくさんのメガーヌを目撃した。
フランスはヨーロッパ大陸のほぼ中央にあり、ベルギーやドイツ、スイス、イタリア、スペインと陸続きで接しているので国境を超えてバカンスに出かける人が多いという説がある。そうすると必然的にロングドライブとなり、クルマに求める性能はやはりロングドライブの快適性や耐久性、運転そのものの楽しさや安心感になるのは納得だ。
そんなフランス人が選ぶメガーヌの最新モデルが、メガーヌ エステートGTライン。そのデザインを見た時に、私の頭にすぐ浮かんだのは「これでどこか遠くへ旅に出たい」ということだった。全高を1490㎜と低めに抑えたゆえの美しいルーフラインが、空想の中の蒼い空や広がる海と重なり、心に風が吹き抜けた気がした。
サテン仕上げで艶めくルーフバーは、旅の荷物を詰めている時のワクワク感を呼び覚ましてくれた。そして、エッジの効いたリアゲートのラインや、相変わらず素敵な切れ長のヘッドライトに、LEDポジションランプが精悍な表情を加えている。まるで、どこまででも走っていきたい昂揚感が、ボディ全体から発散されているようだと思った。
さらに注目すべきは、このモデルの開発には、「ルノー・スポール」が関わっているという点だ。昨年のF1チャンピオン、レッドブル・レーシングへエンジンを供給し、フォーミュラマシンの生産台数世界1位でもあるルノー・スポールは、長い歴史と多くの栄光を持つルノーのモータースポーツ専門セクションだ。その技術が注がれているとなれば、やっぱり味わってみたいと興味津々。
2.0ℓエンジンと6速マニュアルモード付きCVTの出力は、140Ps/195Nmと大きな特色があるわけではないけれど、もともとルノー・スポールは数字にこだわるのではなく、クルマ全体でのトータルバランスを突き詰めている。
だから、走り出すととてもひと言では言い尽くせない、身体に染みわたる良さがある。決して数字には出てこないけれど、パーツひとつひとつが確実に良い仕事をしていると実感できる、丁寧で、しなやかで、踏み込めば爽快なドライビングが心ゆくまで味わえる。
いったい何がそうさせているのかというと、まずはコンパクトなボディからは想像がつかないほどの安定感。これは街中では軽快でキビキビとしているのに、高速道路に入るとドッカと路面に張りつくような逞しさで、ちょっとぐらいの横風や路面のうねりなんかじゃビクともしない。
そして、そんな足さばきを指揮するステアリングの扱いやすいこと。決して過敏な反応はせず、でも思った通りにボディを操ってくれるから、長時間の運転でも肩が凝らない。
さらに、失礼ながら一見すると普通のシートなのに、これが魔法のようにとてもラクで、長く乗れば乗るほどその座り心地のファンになる。なるほど、これなら1日に600㎞くらい走るというロングドライブだって、苦になるどころかバカンスのいい思い出になるはずだ。
最後に、もうひとつ大きな魅力は200万円台後半という価格。個性的で旅心を掻き立てるデザインに、ロングドライブが楽しめる走り、フラットで床下収納も便利なラゲッジなど、使い勝手まで揃うというのに、輸入車として見てもかなり希有な、アンダー300万円だ。
浮いた予算で、素晴らしいバカンスをもう一度、なんて計算はパリジャンの粋でもあるかもしれない。メガーヌ エステートGT ラインは、名実ともに本格的なヨーロピアン・グランドツーリングカーなのである。
折しもその頃は、パリ中がモヌケのカラになるというフランスのバカンスシーズン。大荷物を積んでいたり、子供連れの楽しそうなファミリーだったり、中にはすでにビーチマットをふくらましているカップルまで、たくさんのメガーヌを目撃した。
フランスはヨーロッパ大陸のほぼ中央にあり、ベルギーやドイツ、スイス、イタリア、スペインと陸続きで接しているので国境を超えてバカンスに出かける人が多いという説がある。そうすると必然的にロングドライブとなり、クルマに求める性能はやはりロングドライブの快適性や耐久性、運転そのものの楽しさや安心感になるのは納得だ。
そんなフランス人が選ぶメガーヌの最新モデルが、メガーヌ エステートGTライン。そのデザインを見た時に、私の頭にすぐ浮かんだのは「これでどこか遠くへ旅に出たい」ということだった。全高を1490㎜と低めに抑えたゆえの美しいルーフラインが、空想の中の蒼い空や広がる海と重なり、心に風が吹き抜けた気がした。
サテン仕上げで艶めくルーフバーは、旅の荷物を詰めている時のワクワク感を呼び覚ましてくれた。そして、エッジの効いたリアゲートのラインや、相変わらず素敵な切れ長のヘッドライトに、LEDポジションランプが精悍な表情を加えている。まるで、どこまででも走っていきたい昂揚感が、ボディ全体から発散されているようだと思った。
さらに注目すべきは、このモデルの開発には、「ルノー・スポール」が関わっているという点だ。昨年のF1チャンピオン、レッドブル・レーシングへエンジンを供給し、フォーミュラマシンの生産台数世界1位でもあるルノー・スポールは、長い歴史と多くの栄光を持つルノーのモータースポーツ専門セクションだ。その技術が注がれているとなれば、やっぱり味わってみたいと興味津々。
2.0ℓエンジンと6速マニュアルモード付きCVTの出力は、140Ps/195Nmと大きな特色があるわけではないけれど、もともとルノー・スポールは数字にこだわるのではなく、クルマ全体でのトータルバランスを突き詰めている。
だから、走り出すととてもひと言では言い尽くせない、身体に染みわたる良さがある。決して数字には出てこないけれど、パーツひとつひとつが確実に良い仕事をしていると実感できる、丁寧で、しなやかで、踏み込めば爽快なドライビングが心ゆくまで味わえる。
いったい何がそうさせているのかというと、まずはコンパクトなボディからは想像がつかないほどの安定感。これは街中では軽快でキビキビとしているのに、高速道路に入るとドッカと路面に張りつくような逞しさで、ちょっとぐらいの横風や路面のうねりなんかじゃビクともしない。
そして、そんな足さばきを指揮するステアリングの扱いやすいこと。決して過敏な反応はせず、でも思った通りにボディを操ってくれるから、長時間の運転でも肩が凝らない。
さらに、失礼ながら一見すると普通のシートなのに、これが魔法のようにとてもラクで、長く乗れば乗るほどその座り心地のファンになる。なるほど、これなら1日に600㎞くらい走るというロングドライブだって、苦になるどころかバカンスのいい思い出になるはずだ。
最後に、もうひとつ大きな魅力は200万円台後半という価格。個性的で旅心を掻き立てるデザインに、ロングドライブが楽しめる走り、フラットで床下収納も便利なラゲッジなど、使い勝手まで揃うというのに、輸入車として見てもかなり希有な、アンダー300万円だ。
浮いた予算で、素晴らしいバカンスをもう一度、なんて計算はパリジャンの粋でもあるかもしれない。メガーヌ エステートGT ラインは、名実ともに本格的なヨーロピアン・グランドツーリングカーなのである。
上:メガーヌ エステート GTライン
下:メガーヌ ハッチバック GTライン
下:メガーヌ ハッチバック GTライン
緩やかな凹凸のラインとエッジの効いたラインを組み合わせる。
丸みを帯びたリアゲートはフレンス車らしい独特のデザイン。
丸みを帯びたリアゲートはフレンス車らしい独特のデザイン。
スピードメーターの「RENAULT SPORT」の文字がF1の血筋を証明する。新型はフォグランプの周りにLEDを配列
ラウンド型のダッシュボード、赤いピンストライプが個性を演出。ホールド感に優れる疲れないシートはルノーの伝統でもある。
------------------------------------------------
text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。
text:まるも亜希子/Akiko Marumo
エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集者を経て、カーライフジャーナリストとして独立。ファミリーや女性に対するクルマの魅力解説には定評があり、雑誌やWeb、トークショーなど幅広い分野で活躍中。国際ラリーや国内耐久レースなどモータースポーツにも参戦している。