自動車チューニング用語&パーツ4つ|スポーツインジェクションなど
更新日:2024.09.09
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チューニングやドレスアップといったカスタマイズは、自動車趣味のひとつとして完全に市民権を得ている。それには合法チューンといわれる保安基準を満たしたカスタマイズが主流になってきたことも貢献していることだろう。とはいえ、日本でチューニングが盛んになりはじめた1970年代からしばらくはチューニングというのは暴走族と同義であって、その後もイリーガルな行為いうイメージが強かった。当時の手法というのは、いま考えると乱暴なものもあったが、そうしたチャレンジがあってこそ、洗練された現代のチューニングにつながっているという部分もある。そこで、オールドファンには懐かしさもある、いまでは、ほとんど聞かなくなったチューニングパーツや手法を振り返ってみよう。
文・山本晋也
文・山本晋也
自動車チューニング用語:「触媒アダプター」
*画像はイメージです。
現在の緻密なコントロールをされたエンジンを知っている人に「とりあえず触媒(キャタライザー)を取り外して、排気口率を上げよう」と言ったら驚くだろう。
触媒を外すほど排気の状態が変わったら燃調など制御プログラムは書き換えねばならないし、レーシングカーでさえキャタライザーを備えている時代に触媒レスというのは考えづらい。しかし、20世紀には自動車部品を取り扱う量販店でも「触媒アダプター」と呼ばれるパーツを手に入れることができた。
その名の通り、触媒をただのパイプに置き換えるためのアダプターである。さらにサイレンサーを外せば、直管(これも死語か?)になるといった具合の荒っぽいチューニングだった。
とはいえ、キャブレターが多く、ECUも現代に比べれば単純な制御だった当時は、触媒を外すだけでパワーアップは実感できた。もちろん、これは保安基準的には違反行為だが、車検のときにはアダプターを外して触媒を戻すといった手段でクリアしていた。
いまや「触媒アダプター」を耳にすることはなく、もし純正触媒を外すとしても保安基準を満たす「スポーツキャタライザー」を使うことが基本。こうしてチューニングは認められてきたのだ。
触媒を外すほど排気の状態が変わったら燃調など制御プログラムは書き換えねばならないし、レーシングカーでさえキャタライザーを備えている時代に触媒レスというのは考えづらい。しかし、20世紀には自動車部品を取り扱う量販店でも「触媒アダプター」と呼ばれるパーツを手に入れることができた。
その名の通り、触媒をただのパイプに置き換えるためのアダプターである。さらにサイレンサーを外せば、直管(これも死語か?)になるといった具合の荒っぽいチューニングだった。
とはいえ、キャブレターが多く、ECUも現代に比べれば単純な制御だった当時は、触媒を外すだけでパワーアップは実感できた。もちろん、これは保安基準的には違反行為だが、車検のときにはアダプターを外して触媒を戻すといった手段でクリアしていた。
いまや「触媒アダプター」を耳にすることはなく、もし純正触媒を外すとしても保安基準を満たす「スポーツキャタライザー」を使うことが基本。こうしてチューニングは認められてきたのだ。
自動車チューニング用語:「デスビ進角」
1980年代、ガソリンエンジンの燃料供給装置はキャブレターからインジェクションに変わっていったが点火系はコイルの電流をディストリビューターからプラグコードを介してスパークプラグに送るという仕組みだった。
現在のように各スパークプラグにコイルを配置し、ECUで点火タイミングを制御するようになるとは想像もできない時代だった。その当時、ディストリビューター(デスビの略称で知られるパーツ)の調整用ボルトをゆるめて、進角させる(点火時期を進める)ことがパワーアップにつながる手法として知られていた。
ずらして固定するだけなのでお金もかからず、プライベートチューン派がこぞって試していた。もっとも、いい加減に調整してしまうとエンジンを壊してしまうこともある。きちんと行なうなら、タイミングライトと呼ばれる点火時期を知る専用の工具が必要だった。
現在のように各スパークプラグにコイルを配置し、ECUで点火タイミングを制御するようになるとは想像もできない時代だった。その当時、ディストリビューター(デスビの略称で知られるパーツ)の調整用ボルトをゆるめて、進角させる(点火時期を進める)ことがパワーアップにつながる手法として知られていた。
ずらして固定するだけなのでお金もかからず、プライベートチューン派がこぞって試していた。もっとも、いい加減に調整してしまうとエンジンを壊してしまうこともある。きちんと行なうなら、タイミングライトと呼ばれる点火時期を知る専用の工具が必要だった。
自動車チューニング用語:「スポーツインジェクション」
*画像はイメージです。
キャブレターが主流だった時代、燃料系のチューニングといえばキャブの大型化。
ひとつのキャブを二つに増やすといった手法も取られていた。ウェーバーやソレックスといったブランドのキャブレターを装着したエンジンルームはあこがれの存在となり、空気を吸うためのファンネルが象徴となっていった。
そしてインジェクションが普及しはじめるタイミングで、憧れの存在となったのが「スポーツインジェクション」だ。各気筒にファンネル付きのスロットルバルブを与えた「スポーツインジェクション」はいわゆる●連スロットルと表現できるチューニングパーツだ。
1990年代までのエンジンには対応するアイテムも見かけたが、直噴が増えてきた昨今は見かける機会も減ってきている。
ひとつのキャブを二つに増やすといった手法も取られていた。ウェーバーやソレックスといったブランドのキャブレターを装着したエンジンルームはあこがれの存在となり、空気を吸うためのファンネルが象徴となっていった。
そしてインジェクションが普及しはじめるタイミングで、憧れの存在となったのが「スポーツインジェクション」だ。各気筒にファンネル付きのスロットルバルブを与えた「スポーツインジェクション」はいわゆる●連スロットルと表現できるチューニングパーツだ。
1990年代までのエンジンには対応するアイテムも見かけたが、直噴が増えてきた昨今は見かける機会も減ってきている。
自動車チューニング用語:「強化セルモーター」
エンジンの熱効率を上げるには圧縮比を上げる、というのはオットーサイクルの基本だが、いまどきのエンジンは自然吸気で12.0以上、過給機付でも10.0以上といった高い圧縮比となっていることは珍しくない。
しかし、20世紀のエンジンは圧縮比が低く、エンジンとヘッドの間に挟まれたガスケットを薄くすることで圧縮比を上げるというチューニングは、割合にメジャーな手法だった。
そして圧縮比を上げるとエンジン始動時のパワーも必要になる。そこで強化スターター(セルモーター)といったパーツへのニーズも高かったのだ。最近では圧縮比を変えるようなチューニングは珍しくなり、強化スターターへの交換といったメニューを耳にする機会も減っている。
余談だが、過給エンジンでは圧縮比を下げて、ブースト圧を上げるといったアプローチもある。必ずしも圧縮比は上げるものではないのだ。
しかし、20世紀のエンジンは圧縮比が低く、エンジンとヘッドの間に挟まれたガスケットを薄くすることで圧縮比を上げるというチューニングは、割合にメジャーな手法だった。
そして圧縮比を上げるとエンジン始動時のパワーも必要になる。そこで強化スターター(セルモーター)といったパーツへのニーズも高かったのだ。最近では圧縮比を変えるようなチューニングは珍しくなり、強化スターターへの交換といったメニューを耳にする機会も減っている。
余談だが、過給エンジンでは圧縮比を下げて、ブースト圧を上げるといったアプローチもある。必ずしも圧縮比は上げるものではないのだ。
山本晋也
自動車メディア業界に足を踏みいれて四半世紀。いくつかの自動車雑誌で編集長を務めた後フリーランスへ転身。近年は自動車コミュニケータ、自動車コラムニストとして活動している。ジェンダーフリーを意識した切り口で自動車が持つメカニカルな魅力を伝えることを模索中。