直噴エンジンのメリットとデメリットとは?仕組みや違いを解説
更新日:2024.09.09
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直噴エンジンという言葉、どこかで耳にしたことがありませんか?三菱自動車が『GDI(ガソリン ダイレクト インジェクション)』という名前で搭載し始めたのは、かれこれ20年以上も前の話です。その後、やや下火になった時期があったのですが、ここ数年、欧州メーカーがこぞって直噴エンジンを採用しています。その直噴エンジンを、あらためて見ていきたいと思います。
直噴エンジンとはなに?どこが違う?
エンジンの仕組みは、シリンダーと呼ばれる燃焼室に、空気と燃料を混ぜた状態の気体を入れ、そこに火をつけて気体を膨張させた圧力でピストンを押し下げ、クランクシャフトを回転させます。
ポイントは、”空気と燃料を混ぜた状態の気体に火をつける”こと。「事前に混合する」という意味で、この燃焼方法を『予混合燃焼』といいます。
従来のエンジンは、その予混合燃焼をしますが、それに対して直噴エンジンは、燃焼室に空気と燃料が別々に送り込まれ、燃焼室内で混ぜ合わされます。「燃焼室内に直接、燃料を噴射」するという意味で、『直噴燃料噴射方式=ダイレクト インジェクション』といいます。
ポイントは、”空気と燃料を混ぜた状態の気体に火をつける”こと。「事前に混合する」という意味で、この燃焼方法を『予混合燃焼』といいます。
従来のエンジンは、その予混合燃焼をしますが、それに対して直噴エンジンは、燃焼室に空気と燃料が別々に送り込まれ、燃焼室内で混ぜ合わされます。「燃焼室内に直接、燃料を噴射」するという意味で、『直噴燃料噴射方式=ダイレクト インジェクション』といいます。
直噴エンジンのメリットとは?
「混合した気体を燃焼させるのだから、予混合燃焼も直噴燃料噴射方式も同じなのでは?」とも思えますが、直噴エンジンのほうが大きなメリットがあります。
そのひとつが、大きな圧縮比による高パワー高トルク化です。「圧縮比」とは、吸入した混合気が燃焼室で圧縮されたときの比率を表したもので、圧縮比が高いほど、高パワー・高トルクのエンジンになります。
従来の予混合燃焼エンジン(ポート噴射式)では、圧縮比を大きくしようとすると圧縮時に発生する熱により、スパークプラグの火花で点火する前に燃焼してノッキングが発生してしまいます。そのため、圧縮比は一定以上高くすることが出来ませんでした。
一方、直噴エンジンの場合、シリンダーには混合気ではなく空気のみを吸入するため、圧縮時にノッキングが発生しにくく、ポート噴射のエンジンに比べて圧縮比を高めることが可能となるのです。したがって、直噴エンジンはパワーを大きくできる、というメリットがあります。
もうひとつのメリットは、低燃費です。パワーを大きくすると燃費が悪くなる、というイメージがありますが、低燃費を実現しやすいのも、直噴エンジンのメリットです。
空気を吸入後に、燃焼室に噴射された燃料は、液体から気体に気化します。この時、同時に周辺空気の熱を奪うことで燃焼室内の温度が下がり、さらに燃焼室内の空気の量を多くすることができます。これらのことから、直噴エンジンは高パワーと低燃費が実現できるというわけです。
そのひとつが、大きな圧縮比による高パワー高トルク化です。「圧縮比」とは、吸入した混合気が燃焼室で圧縮されたときの比率を表したもので、圧縮比が高いほど、高パワー・高トルクのエンジンになります。
従来の予混合燃焼エンジン(ポート噴射式)では、圧縮比を大きくしようとすると圧縮時に発生する熱により、スパークプラグの火花で点火する前に燃焼してノッキングが発生してしまいます。そのため、圧縮比は一定以上高くすることが出来ませんでした。
一方、直噴エンジンの場合、シリンダーには混合気ではなく空気のみを吸入するため、圧縮時にノッキングが発生しにくく、ポート噴射のエンジンに比べて圧縮比を高めることが可能となるのです。したがって、直噴エンジンはパワーを大きくできる、というメリットがあります。
もうひとつのメリットは、低燃費です。パワーを大きくすると燃費が悪くなる、というイメージがありますが、低燃費を実現しやすいのも、直噴エンジンのメリットです。
空気を吸入後に、燃焼室に噴射された燃料は、液体から気体に気化します。この時、同時に周辺空気の熱を奪うことで燃焼室内の温度が下がり、さらに燃焼室内の空気の量を多くすることができます。これらのことから、直噴エンジンは高パワーと低燃費が実現できるというわけです。
直噴エンジンのデメリットとは?
パワー、燃費ともに優れた直噴エンジンですが、デメリットや課題があります。
まず、コストが高いこと。直噴エンジンの場合、燃料を噴射してから点火までの時間が短いため、ポート噴射式のように、混合気を作るまでの時間に余裕がありません。そのため、ポート噴射用インジェクターと比較すると、霧化を促進させて素早く混合気を作る必要があるのですが、この燃料噴射システムが高額になります。
次に排ガス性能の悪化です。燃料を噴射してから燃焼するまでの時間が短いため、局所的に燃料が濃いところができやすく、ススの発生につながります。完全に気化されない、混合されなかった燃料が残ってしまいます。つまり、エンジン内部が汚れやすくなるため、オイル交換をマメにしなければならないという問題があります。
まず、コストが高いこと。直噴エンジンの場合、燃料を噴射してから点火までの時間が短いため、ポート噴射式のように、混合気を作るまでの時間に余裕がありません。そのため、ポート噴射用インジェクターと比較すると、霧化を促進させて素早く混合気を作る必要があるのですが、この燃料噴射システムが高額になります。
次に排ガス性能の悪化です。燃料を噴射してから燃焼するまでの時間が短いため、局所的に燃料が濃いところができやすく、ススの発生につながります。完全に気化されない、混合されなかった燃料が残ってしまいます。つまり、エンジン内部が汚れやすくなるため、オイル交換をマメにしなければならないという問題があります。
直噴エンジンは、パワーを高め、燃費を良くすることができる反面、高いコストや排ガス性能が悪化するという課題もあります。
30年先は、すべてのクルマがEVもしくは、ハイブリッドやレンジエクステンダーEVになるといわれております。用途を絞り、発電用のエンジンに採用するなど、この直噴エンジンが再度見直される日が来るかも知れませんね。
30年先は、すべてのクルマがEVもしくは、ハイブリッドやレンジエクステンダーEVになるといわれております。用途を絞り、発電用のエンジンに採用するなど、この直噴エンジンが再度見直される日が来るかも知れませんね。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。