想像以上のイケメンぶりに変貌したデリカD:5を試乗チェック

輸出していない日本車、国内専用車といえば軽自動車があげられるが、もう一つジャンルがあることをご存知だろうか。それはミニバン。海外でバンは人を乗せるものではなく荷物を乗せるもの。日本で販売されているミニバンの姿を見かけることは殆どない。しかし、日本において一番売れているのは軽自動車。コンパクトカー、ミニバンがその後を続く、世界から見るとかなり特殊な市場、ガラパゴスだ。そのミニバンの中で他社とは一線を画し、そのメーカーでなければ出来ない技術を搭載した根強い人気を誇るモデルがある。三菱自動車のデリカD:5だ。そのデリカD:5が今春ビッグマイナーチェンジを果たしたので、さっそくチェックした。

文/写真・栗原祥光

Chapter
イケメンに変貌したフロントデザイン
質実剛健の感あるインテリア
驚くほどのトルクフルな走り
ミニバンという枠にはまらない車

イケメンに変貌したフロントデザイン

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

デリカD:5が登場したのは、2007年の1月のこと。D:5はデリカ(DELICA)の5代目という意味でつけられた。その後、2012年まで毎年マイナーチェンジを繰り返し機能を拡充。それに併せて唯一無二の存在に惚れこんで、デリカを愛する人が増えた。

そして、この春ディーゼル車のみとなるが、久しぶりとなるビッグマイナーチェンジ。果たしてどのような車に仕上げられたのか、熱狂的なファンでなくても気になるところだ。

まず目につくのは、「ダイナミックシールド」と呼ぶフロントデザインだ。ヘッドライトは縦型形状のLEDマルチとなり、上部にLEDポジションランプを搭載。この見た目には賛否両論あるが、写真で見るより実物はかなりのイケメン。写真を撮った身としては、後で写真を見返しながら「こんなんだったっけ?」と思うほど。

このダイナミックシールドで好感なのは、対向車に対する配慮がなされていること。ミニバンの多くはヘッドライトの位置が高く、対向車や前走車にとっては眩しい時が多い。まして最近の「ハイビーム」敢行令に従われてしまうと、直撃された方はたまったものではない。

だがライトの位置を大きく下げたことにより低減されるのではないだろうか。またライトの照射範囲も広がっているように感じ、ドライバーにとっても嬉しいのではないだろうか。

質実剛健の感あるインテリア

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

マイナーチェンジといってもフロントマスク変更にとどまらない。

エンジンは2.2Lの新型ディーゼルターボエンジンを搭載。新開発の8速スポーツモードATの採用でパワフルでよりシフトチェンジが滑らかなシフトフィールと、より幅の広いギアレシオとした。また、尿素SCRシステムの搭載で燃費が良くなり、Noxの低減も実現しているという。

また予防安全技術「e-Assist」を新採用。衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)や車線逸脱警報システム(LDW)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などによって、より安全性を高めているという。

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

室内もよりラグジュアリーな方向へシフト。ラグジュアリーといっても華美なものはなく質実剛健の感が強いのが三菱自動車らしい。重箱の隅をつつくように見ると、隅の隅、二列目の下側、運転席のコンソールボックス付近に100Vのコンセントを発見。これは他社ミニバンではなかなか見かけないものだ。

個人的に「家族や人を乗せることが多いミニバンやSUVは全席USB充電ポートが必要」と思うのだが、100Vなら変換アダプターがあればスマホは何台でも充電できるし、その母艦であるノートPCまで充電可能だ。

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

運転席はミニバンだけれど、ミニバンにあらず、といった雰囲気が漂う。それは普通のミニバンに比べて「重厚」「質実剛健」な感じを受けるから。そして、なぜか運転席に座ると自分が強い男になった、そんな気分になる。

操作系で目を惹くのは、センターコンソールの二駆と四駆の切り替えスイッチ。そのつまみの大きさもまた質実剛健な印象を与え、それは他のミニバンにはない唯一無二の装備といえるだろう。

驚くほどのトルクフルな走り

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

デリカD:5を一言で言い表すと「トルクの塊」だ。ミニバンとは思えないほどのトルクフルな走りには驚くばかり。ラフにアクセルを踏むとリアがグッと沈み込み猛発進をする。不整地ではホイールスピンをしそうになりトラクションコントロールがかかるほど。この力強い挙動を見せたミニバンはちょっと他に記憶がなく、頼もしさを覚える。

それはきっとよりワイドなギアレシオとした8速ATのおかげかもしれない。ギアチェンジ時におけるショックは皆無で、まるでCVTのような滑らかさ。トルクフルなエンジンと相まって車から苦しい唸り声を聞くことがなく、グイグイと登坂する。

エンジンブレーキもかなり強め。下り坂などでアクセルペダルをポンと離すと、ハイブリッド車のような制動を感じる。ブレーキを頻繁にかけずに、ダウンヒルできる頼もしさ、さすがと言わざるをえない。

ハンドリングも上々なのだが、どしっと構えて運転する、という気分になるゆえか、峠を頑張る、という気にはならない。なにより安心感と安定感は特筆すべきものだ。ミニバンでこのような気分になるのは、そうそうない。

ミニバンという枠にはまらない車

三菱 デリカD:5(栗原祥光撮影)

走行中の車内は想像以上の快適で文句を言う人は多くはいないだろう。ロードノイズも少なめだし、引き締まった乗り心地に好印象。なにより五感を通じて頼もしさ、安心感、といったものをヒシヒシと感じる。

ミニバンは家族を移動するだけの乗り物、という考えの人こそ、デリカD:5に乗って頂きたい。大切な家族に安心感を与えることの重要性を感じるハズだ。

同社の本格SUVと同等の登坂性能を有するというデリカD:5。その頼もしさは、必ず帰れるという気分にさせるに十分だし、その性能を有している。それでいて快適なのだから言うことはない。個性的なルックスに唯一無二の車両性能。ファンがいるのも納得だ。ミニバンという枠にはまらない車、そんな印象を受けた。