新型デリカD:5、全面改良ではなくビッグマイナーチェンジの理由と魅力とは?

三菱 デリカD:5 2018

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2007年1月に発売された三菱自動車のデリカD:5がビッグマイナーチェンジを受け、2018年11月21日から予約受注を開始した。発売は2018年度内(年内という表現をしていないことから2019年1月〜3月というのが想像できる)としていて、実質的には約12年ぶりの大幅改良といえる。12年経ってフルモデルチェンジではなく、ビッグマイナーチェンジというのは異例だ。その理由と新型デリカD:5の魅力を探ってみよう。

文・塚田勝弘
Chapter
「ミニバン+SUV+クリーンディーゼル」という特異な個性
新型デリカD:5は何が変わったのか?
安全性能もドライバー支援装備も大幅にアップデート
なぜフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジなのか?

「ミニバン+SUV+クリーンディーゼル」という特異な個性

デリカD:5は、ミニバンにSUVの要素を加えた、ほかにはない個性が特徴。岐阜にあるパジェロ製造で、パジェロやアウトランダーとともに製造されている。「リブボーンフレーム」と命名された肋骨を思わせるような環状骨格構造を採用し、アウトランダーやエクリプス クロスなどとプラットフォームを共有し、さらにパジェロなどで培われてきた4WD技術も投入されている(2WDモデルも設定してきた)。

ここ数年のミニバン市場は、新車販売全体のうち10%程度で、デリカD:5はミニバン市場うち、3〜4%というシェアにとどまり、ミニバンの中でもニッチなモデルになっていたのが現状だ。

デリカD:5の強みは、SUVのような高めの最低地上高と4WDによる高い悪路走破性(2WDの設定もあり)、ミニバン唯一のクリーンディーゼルの設定といったところだろう。

さらに、視界が良好で運転がしやすく、3列目も意外に広く、トヨタ ノア/ヴォクシー/エスクァイア、日産 セレナやホンダ ステップワゴンといった5ナンバーベースの箱型ミニバンよりも少し大きなボディサイズの利点、さらにボクシーなフォルムによる運転のしやすさ、使いやすさも美点だ。

しかし、先述したように販売面ではライバルとの差は大きい。そこで三菱自動車では、独自のポジションを確立しながらも、性能面や内・外装のデザイン面でもアウトドア色が強く、一般受けしにくいという分析をしたそうだ。

新型デリカD:5は何が変わったのか?

そこで新型では、フロントマスクとリヤのテールランプなどのデザインを大幅に改良。キャビンよりも上の部分は、マイナーチェンジなので変わらないものの、ボンネットなども含めてボディ下半分のデザインを大きく変えることで、より都市部でも似合う造形に変更している。

一方のインパネもクロカン風のテイストがなくなり、大型ディスプレイを中心にモダンな造形に変更。手動のパーキングブレーキから電動パーキングブレーキにチェンジされ、アダプティブクルーズコントロール作動時にブレーキが保持されるなど、ドライバーに優しい設計になっている。

さらに、課題であった静粛性も向上させるとともに、新型のディーゼルエンジン仕様は6ATから8ATに多段化させることで、よりスムーズな走り、静かな変速が可能になったという。この辺りは試乗してから確認する必要はあるが、都市部を中心に乗るユーザーにも十分納得してもらえるレベルだという。

今回のビッグマイナーチェンジの対象であり、新型となるクリーンディーゼルエンジン(ガソリンエンジン仕様の現行型は併売される)仕様は、さらに尿素SCRを三菱自動車として初めて採用することで、将来の排出ガス規制に先回りして対応している。

デリカ D:5

安全性能もドライバー支援装備も大幅にアップデート

安全性能も大幅にアップデートされ、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、レーダークルーズコントロール(アダプティブクルーズコントロール)、オートマチックハイビーム、後退時車両検知警報システム(上級仕様に標準)、後側方車両検知警報システム&レーンチェンジアシスト(上級仕様に標準)を用意することで、全車「サポカー」に該当している。

なお、最低地上高も210mmから185mmに低くなっているが、悪路走破性はミニバンの中でもトップを走っているのは変わらないだろう。グレード展開では、標準車に加えて、URBAN GEAR(アーバンギア)というエアロ仕様も設定されている。

予定される価格帯は約385万円~約425万円とされているが、価格アップになっているのは先述してきた安全装備やクリーンディーゼルの改良などが盛り込まれていることを考えると妥当といえるだろう。

デリカ D:5URBAN GEAR

なぜフルモデルチェンジではなくビッグマイナーチェンジなのか?

さて、今回の新型がフルモデルチェンジではなく、ビッグマイナーチェンジである点は、開発陣などに伺うと、「デリカD:5の美点を活かしながら、洗練された内・外装に仕立てたため」としている。

一般的にマイナーチェンジの場合は、フルモデルチェンジよりも開発に制約があり、全面改良の方が開発しやすいのは容易に想像できる。実質的に12年ぶりの改良となれば間違いなく全面改良であるはずだが、予算やほかのモデルラインナップとの兼ね合い、あるいは日産自動車とのアライアンスなど、いろいろな要素があった上で、「ビッグマイナーチェンジで開発する」という経営判断になったのではないだろうか。

また、現時点では、フルモデルチェンジの次期モデルがあるかどうかは不明だが、その際もこうした要件がクリアされる必要がある。さらに、三菱自動車に限らず国内専用モデルの場合は、次期型の行方が不透明になっている。これは、グローバル化が急速に進んだクルマという工業製品の宿命といえるかもしれない。

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