エンジンを長持ちさせる方法とは?
更新日:2024.09.09
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車の心臓部であるエンジン。それを少しでも長持ちさせたいと思うのは、誰もが思うことです。そこで「エンジンにとって血液のような」エンジンオイルの面から、どのような使い方がエンジンにとって優しいのか、そして環境に優しいのかを、エンジンオイルのブランドMOTULで商品開発をする工学博士のMOTUL R&D 新井取締役にお話しを伺いました。
文/写真・栗原祥光
文/写真・栗原祥光
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- エンジンを長持ちさせる上で大切なことは…
エンジンを長持ちさせる上で大切なことは…
――エンジンにとってつらい使い方は?
「毎日渋滞の中を1時間で10kmしか走らないといった冷却ができない環境だけでなく、エンジンオイルが暖まる前にエンジンを切るような短距離移動の方、キャンピングカーを牽引する、荷台に農作物をたくさん積んで働く軽トラックなど、エンジンに負荷のかかる使い方は、オイルにとって本当に厳しいです。
このような使い方をした際にオイルがどれだけ頑張れますかといった時に、鉱物油と化学合成油では差が歴然と出てきます。その意味で化学合成油をお使い頂くことは、それなりにエンジンを守る上で有効な手段であることは間違いありません。」
――短い距離しか走らない車の方が厳しいというのは意外です。最近の自動車はアイドリングストップを搭載したり、ハイブリッド車の普及により信号待ちなどでエンジンが停止することが多いです。それらの車両でエンジンオイルは傷まないのでしょうか。
「僕らも心配していたのですが、ハイブリッドカーは意外と大丈夫です。ですが日本特有の乗り方として、家の近くへのおでかけでも車を使うのです。そういう乗り方は、エンジン種別に関わらずオイルにとってとても厳しいのです。
それはなぜかといいますと、燃焼ガスに含まれる水や燃えカスというのはオイルに入ってくるのですが、オイルが暖まっていない状態ですと溜まる一方になります。そういう乗り方は、首都圏に車を持っている方のほとんどだと思います。
油温が適切なところまで行かないうちにエンジンを切ってしまうのはよくありません。ですのでハイブリッド車を含めて、最近の自動車は、環境性能のため、つまり早く燃焼効率を上げたいため、エンジンをコールドスタートすると、結構な勢いでアイドリングします。アイドリングストップ機能も動き始めの頃は動作していないと思います。それは早く暖めないと燃料消費量が多い状態になっているからです。」
――となりますと、走行前に暖機運転をした方がよいということでしょうか。
「暖機運転はエンジンオイルにとってよろしくありません。暖機運転ではエンジンオイルが全然暖まらないのです。今の車のマニュアルには、暖気はいらないと書かれているものもあるくらいです。
昔は金属が暖まるまで、と言われていましたが、今はインジェクションですので冷えている時の燃料や点火マッピングがありますし、工作精度もよく、早く暖めた方が燃費がよくなりますし、環境に優しいのです。水温が低い時につくランプは『早く暖めて早く消せ』ということですね(笑)」
「余談ですが日本の車両は特にそうなのですが、エキゾーストマニホールドのすぐ近くに触媒がついていると思います。それは早く暖めて触媒を活性化したいからです。エンジンの中には暖まらないとダメな部品がたくさんあります。よくドライスタートになるのでは、という話もありますが、それも気にする必要はありません。今の車はよくできていますからね。」
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暖機運転は不要だけれど、いきなり急発進や急加速をして強引にエンジンを暖めるのではなく、人間でいえば準備運動のような暖機巡航がよいと新井さん。
ギアをはじめ、車体の各所の温度を上げながら、車を早く温める運転をこころがけた方が車が長持ちするようです。アイドリングは環境や車だけでなく、ご近所の迷惑になるので、やめましょう。
「毎日渋滞の中を1時間で10kmしか走らないといった冷却ができない環境だけでなく、エンジンオイルが暖まる前にエンジンを切るような短距離移動の方、キャンピングカーを牽引する、荷台に農作物をたくさん積んで働く軽トラックなど、エンジンに負荷のかかる使い方は、オイルにとって本当に厳しいです。
このような使い方をした際にオイルがどれだけ頑張れますかといった時に、鉱物油と化学合成油では差が歴然と出てきます。その意味で化学合成油をお使い頂くことは、それなりにエンジンを守る上で有効な手段であることは間違いありません。」
――短い距離しか走らない車の方が厳しいというのは意外です。最近の自動車はアイドリングストップを搭載したり、ハイブリッド車の普及により信号待ちなどでエンジンが停止することが多いです。それらの車両でエンジンオイルは傷まないのでしょうか。
「僕らも心配していたのですが、ハイブリッドカーは意外と大丈夫です。ですが日本特有の乗り方として、家の近くへのおでかけでも車を使うのです。そういう乗り方は、エンジン種別に関わらずオイルにとってとても厳しいのです。
それはなぜかといいますと、燃焼ガスに含まれる水や燃えカスというのはオイルに入ってくるのですが、オイルが暖まっていない状態ですと溜まる一方になります。そういう乗り方は、首都圏に車を持っている方のほとんどだと思います。
油温が適切なところまで行かないうちにエンジンを切ってしまうのはよくありません。ですのでハイブリッド車を含めて、最近の自動車は、環境性能のため、つまり早く燃焼効率を上げたいため、エンジンをコールドスタートすると、結構な勢いでアイドリングします。アイドリングストップ機能も動き始めの頃は動作していないと思います。それは早く暖めないと燃料消費量が多い状態になっているからです。」
――となりますと、走行前に暖機運転をした方がよいということでしょうか。
「暖機運転はエンジンオイルにとってよろしくありません。暖機運転ではエンジンオイルが全然暖まらないのです。今の車のマニュアルには、暖気はいらないと書かれているものもあるくらいです。
昔は金属が暖まるまで、と言われていましたが、今はインジェクションですので冷えている時の燃料や点火マッピングがありますし、工作精度もよく、早く暖めた方が燃費がよくなりますし、環境に優しいのです。水温が低い時につくランプは『早く暖めて早く消せ』ということですね(笑)」
「余談ですが日本の車両は特にそうなのですが、エキゾーストマニホールドのすぐ近くに触媒がついていると思います。それは早く暖めて触媒を活性化したいからです。エンジンの中には暖まらないとダメな部品がたくさんあります。よくドライスタートになるのでは、という話もありますが、それも気にする必要はありません。今の車はよくできていますからね。」
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暖機運転は不要だけれど、いきなり急発進や急加速をして強引にエンジンを暖めるのではなく、人間でいえば準備運動のような暖機巡航がよいと新井さん。
ギアをはじめ、車体の各所の温度を上げながら、車を早く温める運転をこころがけた方が車が長持ちするようです。アイドリングは環境や車だけでなく、ご近所の迷惑になるので、やめましょう。
栗原祥光|くりはらよしみつ
中央大学理工学部卒。通信機器メーカーにて回路設計をした後、長年の趣味であったオーディオへの夢を追い求めて専門雑誌の編集者へと転職。その後、一般誌の編集を経て現在フリーランスのカメラマン&ライターとして主にWeb媒体で活動する。モータースポーツのレポートや新車試乗記のほか、グルメやエンタメ系など幅広い分野で執筆中。