ラ・フェラーリに搭載の「アクティブエアロダイナミクス」とは?

ラ・フェラーリ

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自動車に限らず物体が高速で移動する場合、空気の抵抗を受けることになります。近年のハイパーカーの世界では、車体に働く抵抗を積極的に変化させる制御が採用されています。なぜそれが必要なのか、フェラーリ初の試みが多いラ・フェラーリを例に見てみましょう。

文・山里真元

山里 真元|やまざと まさゆき

日本スーパーカー協会 事務局 ライティングGT代表ライター。国内最大手IT社員→ITコンサルティング会社創業を経て、2010年より趣味の車好きが高じて主にスーパーカーやクラシックカーなどのニッチな車の売買相談を開始。インポーター各社とのパイプも太く、国内外新型クラシック問わず幅広く相談を受けている。趣味のツーリングでは、地域密着型のスーパーカークラブを運営し、日本スーパーカー協会事務局長としても活動中。

山里 真元
Chapter
ラ・フェラーリとは?
アクティブエアロダイナミクスについて|パワーを生かせるか?
アクティブエアロダイナミクスとは?
アクティブエアロダイナミクスについて|時代の進歩とともに技術が進化

ラ・フェラーリとは?

エンツォから約10年の開発期間を経て登場したラ・フェラーリは、フェラーリ社より2013年に登場したスペチアーレです。価格も億を超える高額車で、生産台数500台という希少車は、ファンの間でも高嶺の花的存在です。

フェラーリのレース活動で培ったテクノロジーを贅沢に反映したパッケージで、初のハイブリッドパワートレインを搭載。エンジンとモーターのシステム合計出力は、約1000馬力に肉迫し、通常のスーパーカーと比較して2倍近くのパワーで路面を蹴ることになります。

フェラーリに限らず各社のハイパフォーマンスカーは、青天井にハイパワー化がいちじるしい昨今ですが、それぞれパワーだけでは語れない優れた機能をあわせ持っています。

アクティブエアロダイナミクスについて|パワーを生かせるか?

0-100km/hが3秒以下、最高速度は350km/h以上というラ・フェラーリは、サーキットテストでも歴代モデルのラップタイムを大きく上回る動力性能をもっています。

その優れた性能を可能にしているのが、アクティブエアロダイナミクスです。自動車の動きは物理で成り立っていますが、なかでも空気抵抗は車体が高速で移動する際に切っても切れない関係にあります。

スピードを極めるほどに、物体はより大きな空気の抵抗を受けることになります。抵抗の大きさは速度の二乗に比例するため、車両を高速で移動させるためには、空気抵抗を削れば良いということになります。

しかし空気抵抗が無い車体は、タイヤを路面に押し付けるダウンフォースが足りなくて、コーナーを高速で曲がることができなくなります。その折り合いをどこでつけるかは、車両の性格によって変わります。

アクティブエアロダイナミクスとは?

フェラーリは、F1をはじめとするサーキットで獲得した技術と最新のシミュレーションや風洞実験で得られた空力に関するデータ、それらを基に、さまざまなシーンで最適な挙動を示すエアロダイナミクスをフィードバックすることでラ・フェラーリを開発しました。

その結果、フェラーリ市販車初となる「アクティブエアロダイナミクス」を搭載することにいたります。

ブレーキング、コーナリングなど走行状況に合わせてボディ下部に設けられたフラップやディフューザー、リアスポイラーをアクチュエータで可動させるデバイスを活用し、ダウンフォースや各部の冷却効果を制御しています。

目に見えない空気ですが、それを受け流すボディや構造物は必然と有機的な美しさをもたらします。カッコだけではない、そのエンジンパワーを使い切るために必要な機能として生まれたデザインなのです。

ラ・フェラーリに代表されるハイパーカーは、最新のカーボンファイバー成形技術で表現されたエクステリアや空力デバイスなど、目に映る機能美を裏切らないパッケージを持ち合わせています。

アクティブエアロダイナミクスについて|時代の進歩とともに技術が進化

エアロダイナミクスを可変制御するというアプローチは、じつは古くからありましたが、コンピュータの高速化による制御の高度化に、軽量な複合素材などが合わさることで、市販車でも実現が可能になりました。

エンジンコンパートメント冷却の他、ダウンフォースやグランドエフェクト効果を、市販車でも自在にコントロールできる時代になりつつあるということです。

パワートレインの進歩で出力が向上するなか、”得られるパワーを確実にドライバビリティに反映させるための機能”として、空気の流れの制御は大きな付加価値となっています。

もそも贅を尽くしたラ・フェラーリだからこその装備ではありますが、この先もハイパフォーマンスカーを支える重要な要素のひとつと言えるでしょう。

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