リアスポイラーとリアウイングの違いをわかりやすく解説

リアウイング

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クルマの車体後部に取り付けられている「スポイラー」と「ウイング」は、似ているようでじつは効果や機能が異なります。スポーツカー好きには人気の高いエアロパーツのひとつなので、しっかりと違いを理解した上で、目的にあったパーツを選択したいものです。

文・赤井福
Chapter
スポイラーとは何?
ウィングの役割は?
それぞれ異なる役割

スポイラーとは何?

スポイラーは、ボディに発生する空気の流れに沿うように取り付けられたパーツのことを指します。

クルマは、ボディに沿って、フロントからリアに向けて空気が流れていきます。この空気が、クルマのトランク後端やルーフから離れていく際に、回転する力を持った空気の「渦」となります。

これが気流の乱れやクルマを進行方向と反対方向に引っ張る力(負圧)を生み出し、走行速度の低下や燃費悪化、最悪の場合はハンドリングの乱れを引き起こすとともに、風切り音などの不快な音の原因となっています。

この車両後部で発生する渦を少なく、空気の流れを整えてくれるのがスポイラーです。整流をおもな役割とし、空気の渦の発生を抑制してくれるスポイラーは、静音や直進安定性の確保、燃費向上に効果があり、多くのクルマが純正パーツで採用しています。

ウィングの役割は?

対してウイングは、翼端板を持ち、車両の後方高いところに装着するパーツで、文字通りの翼です。通常はトランク部分に設けられた2本の支柱によって支えられています。フォーミュラーカーやGTカーなどにつけられているのは、ほとんどがウイングです。

整流の効果もありますが、ウイングが担うもっとも大きな役割は、ダウンフォースの発生です。飛行機が離陸する際に、翼の後ろ半分を下方向に傾けてより大きな揚力を得るのとは逆に、クルマのリアウイングでは上方向に傾け、車体を地面に抑える力を得ます。

後輪駆動のレーシングカーは、巨大なリアウィングを搭載し、車体を地面に押し付けて安定させる効果を狙っています。これにより、駆動する後輪のグリップ力も向上させています。

それぞれ異なる役割

一概に、スポイラーのほうが良いとか、ウイングのほうが優れているということは言えません。クルマのキャラクターや特性に合わせて、適したものを選ぶことが必要です。

日常でクルマを走行させる速度域で、ウィングの効果を体感することはほぼありません。一般道の法定速度では、体感できるほどのダウンフォースが得られないためです。高速道路に入れば多少は体感できますが、ありなしを比べてみて、ぎりぎりわかる程度。ウイングが真価を発揮するのはサーキットなどのスポーツ走行に限定されるでしょう。

またスポイラーも、整流効果を感じるということは少ないと思います。しかしながら、過去に私が風洞実験室でスポイラーの効果を見学した際には、時速50km程度からクルマ後方への空気の流れが明らかにスムーズになり、空気の渦が少なくなっていることが確認できたことを付け加えておきたいと思います。

最近ではサイドミラーの付け根部分やストップランプの側面などに「エアロスタビライジングフィン」という小さな突起物が付いており、空気の整流を行っています。一般的なクルマの速度域でもスポイラーの恩恵は受けているのです。


ウイングとスポイラーは、私たちの見えないところで空気を操って、クルマの挙動をコントロールしています。それぞれの特徴を理解して、ドレスアップだけではない、エアロパーツの奥深さを感じることができれば、ちょっとカッコいいですね。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
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