いまさらだけど、ランサーとランサー エボリューションの違いってなに?

三菱 ランサーエボリューション ファイナルエディション

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三菱自動車がかつて販売していたスポーツカー「ランサー エボリューション」。ラリーで活躍したスポーツカーというイメージが強いですよね。今回は、ベースモデルのランサーとランサー エボリューションの違いについてみていきます。

文・立花義人
Chapter
ランサーの歴史
「ランエボ」誕生とその後の進化

ランサーの歴史

1973年、三菱自動車は、ヨーロッパの騎士道においてエリートであった槍騎士にちなんだ、ランサーという名前を持つ小型車を発売しました。

空力特性に優れた低いノーズを持つボディに、強固なモノコック構造を採用したランサーは、同年9月にツインキャブの4G32エンジンを搭載した1600GSRを追加。排気量や馬力で勝るライバルを相手に、ラリーシーンで次々と勝利し、”ラリーの三菱”を、強烈に印象付けるモデルとなりました。

1979年には、2代目にあたるランサーEXがデビュー。「ランタボ」の愛称で親しまれる1800ターボは、1981年に登場。ラリーには、輸出仕様の2000ターボが投入されました。

後にインタークーラー付のモデルに変更される際、ブレーキや足回り、シャシーも同時に強化され、スポーツモデルの印象がより強くなりました。

しかし3代目は、同社が販売する小型自動車ミラージュをベースに、専用ボディをかぶせた5ドアハッチバックセダンとして開発されたこともあって、快適な居住空間と使い勝手、高い操縦安定性を目指した、高性能な小型車という位置付け。一時、モータースポーツから離れることになりました。

1991年、4代目となるランサーは、ボディ、エンジン、サスペンションを一新し、ボディを専用のデザインとすることによって、車格の変更を行いました。

エンジンは、量産世界最小の1.6L V6や、低燃費の1.5L MVV(三菱自動車が開発したリーンバーンエンジン)、1.5L DOHC、1.6L DOHC、1.8L インタークーラーターボなど豊富なラインナップを持ち、旧モデルより拡大されたホイールベースやトレッド、高剛性ボディによって、優れたハンドリングと乗り心地を実現していました。

この4代目をベースに、ランサー エボリューション(通称ランエボ)が誕生することになります。

「ランエボ」誕生とその後の進化

初代は、1992年に登場しました。当時のWRC(世界ラリー選手権)は、FIA(国際自動車連盟)が定めるグループA(量産車改造部門)がメインカテゴリーで、ベースとなる車両は年間2,500台以上生産されていなければならないという規定がありました。

三菱はこのカテゴリーでの活躍をにらみ、ベースモデルとしてランサーを選択。1.6L〜1.8L搭載を考えて設計されたコンパクトなボディに、2.0L インタークーラーターボエンジン(4G63型)を搭載することにします。

このエンジンは、すでにラリーで活躍していたギャランVR-4に搭載された実績のあるもので、軽量かつ小型のランサーに搭載して戦闘力を高める作戦に出たのです。

大パワーを発揮するエンジンをコンパクトカーに搭載するために、ボディ補強、サスペンションの剛性アップを図るとともに、ボンネットフードをアルミにして軽量化するなどの対策が施されていました。

ランエボは、ラリーのベース車両としての基本性能はもちろん、レカロ社製のスポーツシートやMOMO社製ステアリングなど豪華な装備が話題となり、発売後に即完売してしまうほどの人気が出ました。
その後1994年に発売されたランサー エボリューションⅡでは、リアのLSDを機械式に変更し、ホイールベースとトレッドを拡大。操縦安定性と回頭性を高める改良を行います。ミッションも1速と2速をローギヤード化して加速性能を高め、エンジンも過給圧アップなどのチューンで初代モデルよりも10psアップの260psでした。

ラリー競技に投入するため企画されたランサー エボリューションは、その後も進化を続け、Ⅳではベースモデルとなるランサーがモデルチェンジしたことにともない、エボリューションシリーズも第2世代へと移行します。
そして2001年登場のⅦからは、第3世代へと進化し、2007年に発売されたⅩが、シリーズ最終世代となります。

エンジン出力はランエボⅣ以降、当時の自主規制値である280psのままであったものの(Ⅹのマイナーチェンジによって300psとなる)、最大トルクやブレーキ性能、回頭性、操縦安定性、安全性能など、さまざまな面で改良がなされ、進化が確実に行われてきました。

もともとラリーシーンで活躍していたランサーは、エボリューションの登場によって、それぞれの立ち位置を明確にし、性能の向上を図ってきたことがわかります。

こうして、ランサーは快適で操縦安定性の高い小型セダンランサー エボリューションはラリー競技で勝つための運動性能を追求した高性能スポーツカーといった位置付けになりました。

2015年に1,000台限定の特別仕様車、ランサー エボリューション ファイナルエディションが発売され、同時にその販売終了をもってランサー エボリューションの終了がアナウンスされました。

ベースモデルのランサー(国内ではギャラン フォルティス)もラインナップから消え、三菱自動車のセダンモデルは消滅してしまいました。ミニバンやSUV、コンパクトカーが人気の国内市場とはいえ、高性能なセダンが少なくなるのは寂しい限りですね。

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文・立花義人
5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。

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