自転車レーンでうっかり駐車はNG!自転車専用通行帯の正しい停車マナー

自転車専用通行帯

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最近、都市部で青く塗られた自転車専用通行帯(いわゆる自転車レーン)をよく見かけるようになりました。 しかし道路の端にあるため、クルマを一時停止させてもいいのか迷った経験はないでしょうか。本記事では自転車専用通行帯の定義や役割、駐車・停車のルール、標識の見分け方、緊急車両やバイク・歩行者との関係、違反時の罰則、そして知っておきたい豆知識まで幅広く解説します。それでは順に見ていきましょう。

CARPRIME編集部

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Chapter
自転車専用通行帯とは?都市部で増える「青いレーン」の正体
自転車専用通行帯の標識と路面表示の特徴
自転車専用通行帯でクルマの駐停車はOK?ルールを解説
自転車専用通行帯での「駐車」ルール
自転車専用通行帯での「停車」ルール
左折や敷地への出入り時は例外
緊急車両・バイク・歩行者は通行できる?――気になるケース別対応
緊急車両が来た場合の対応
オートバイ・原付バイクは走行禁止
歩行者の通行ルール
自転車利用者自身のルールと義務
違反するとどうなる?罰則とトラブル事例
駐車違反
停車違反
通行帯違反(車両通行帯違反)
その他の違反
誤解しやすいポイントQ&A
Q1: 青く塗られた道路=すべて自転車専用通行帯なの?
Q2: 「自転車専用通行帯」と「自転車道」は何が違うの?
Q3: 停車と駐車の境目は? ハザードをつけていれば停車扱いになる?
Q4: 原付やオートバイなら自転車レーンを走っても良い?
Q5: 緊急車両に道を譲るときもレーンに入ってはいけないの?
豆知識:海外の自転車レーン事情と日本の展望
まとめ

自転車専用通行帯とは?都市部で増える「青いレーン」の正体

自転車専用通行帯とは、道路交通法第20条第2項に定められた「普通自転車(一般的な自転車)が通行しなければならない車両通行帯」のことです。

名前の通り、自転車のために指定された車線であり、クルマやオートバイなどの自動車は原則立ち入ることができません。また車道の一部なので、歩行者が歩くことも禁止されています。つまり、自転車専用通行帯は「自転車が通行しても良い場所」ではなく「自転車が通行しなければならない場所」なのです。

自転車専用通行帯は近年、特に都市部の道路で設置が増えています。その背景には、自転車利用者の安全確保と、自動車との分離による交通事故防止があります。

道路の幅に余裕がなく歩道上に自転車道(柵などで物理的に区切られた専用道路)を作れない場合でも、自転車専用通行帯であれば車道上にペイントで設置できるため、多くの生活道路や幹線道路で採用されています。

実際、国土交通省と警察庁が2012年にガイドラインを策定して以降、全国の自治体で整備が進み、2018年時点約200か所に急増したとの報告があります。

ただし日本全国の自転車専用レーン延長は約850km程度と欧州に比べるとまだ少なく、幅も1.0~1.5m程度と狭いため、安全性向上の余地が指摘されています。

自転車専用通行帯の標識と路面表示の特徴

自転車専用通行帯は、路面表示と道路標識の両方で示されます。

路面は主に青色に塗られ、白い矢羽根(やばね)模様自転車マークが連続して描かれています。さらに、道路脇には「自転車専用」と書かれた青地に白文字の標識(自転車のシンボルマークと「専用」と上向き矢印が描かれたもの)が設置されます。

このペイント標識の両方が揃って初めて法令上の「自転車専用通行帯」と認められます。どちらか一方が欠けている場合、それは単なる「自転車ナビマーク」に過ぎません。例えば、道路に自転車マークと矢印があるものの標識が立っていない場合は、それは法定外表示であり、法令上の効力(自転車を保護する規制力)はありません。

運転者は、標識の有無を確認することで「本当の専用通行帯」かどうかを見分けることができます。

ちなみに、物理的に車道と分離された「自転車道」というものも存在します。これはガードレールや柵などでクルマと空間的に分けられた自転車専用道路で、道路構造上は歩道側に作られることが多いです。
自転車道を設置するには条例で定められた幅員などの条件を満たす必要があり、十分な道路幅がない既存道路では簡単には導入できません。

一方、青いペイントの自転車専用通行帯既存の車道幅を利用して比較的導入しやすいため、都市部ではまずはこちらが緊急対策的に整備されているという背景があります。

自転車専用通行帯でクルマの駐停車はOK?ルールを解説

自転車専用通行帯での「駐車」ルール

まず「駐車」とは、運転者が車から離れている、または継続的に車を止める行為を指します。例えば、ハザードランプをつけて近くのお店に行ってしまうような場合は「駐車」にあたります(運転者不在のため)。また運転者が乗っていても5分を超える荷物の積み下ろしなど、継続的な停止も駐車扱いです。

結論から言うと、自転車専用通行帯上への駐車は、ほとんどの場所で禁止されています。

自転車専用通行帯のある道路は、基本的に「駐車禁止」の道路標識や標示が設置されている場合がほとんどであり、そうした場所では当然ながら駐車すれば違反になります。実際、東京都内の幹線道路など自転車専用通行帯を設置している箇所の多くは駐車禁止規制がかかっており、事実上そこに車を長時間止めることはできません

一方で、仮に駐車禁止の標識がない場所であれば、自転車専用通行帯上でも「道路の左側端に沿う」など正しい方法で駐車する限り、自転車専用通行帯があること自体を理由とした駐車違反にはならないのが法律上の原則です。しかし、現実問題としてそのようなケースは稀であり、自転車レーンを塞ぐ形で駐車すれば自転車の通行に大きな支障を及ぼすため、安全面から強く非難されます。警察も自転車専用通行帯上の違法駐車は、取り締まりを強化しています。

自転車専用通行帯での「停車」ルール

次に「停車」とは、人の乗り降りのための一時停止や、5分以内の荷物の積み下ろしなど、すぐに運転再開できる状態で短時間とどまることを指します。運転者は車内に留まり、必要に応じてすぐ発進できる状況が条件です。例えばタクシーが乗客を乗降させるため数十秒停まるのは「停車」に該当します。

自転車専用通行帯での停車については、その場所が「駐停車禁止」の区間でなければ法律上は認められています。つまり、人の乗降や荷物の積み下ろしのためであれば、一時的に車を停めること自体は直ちに違法とはなりません

とはいえ、停車中の車があると自転車は進路を塞がれ、車道側へ大きくはみ出して迂回しなければならなくなります。これは非常に危険で事故の原因にもなりかねません。そのため、「たとえ法律上許される停車であっても、やむを得ない場合以外はできるだけ避ける」のが望ましい対応です。実際に地域によっては、自転車レーン内での停車時間を5分以内と厳密に運用するよう指導している例(石川県金沢市など)もあります。

ドライバーとしては、自転車の安全走行スペースを奪わないよう、どうしても必要な場合以外はレーン上での停車はしない方が賢明でしょう。

左折や敷地への出入り時は例外

「自転車専用だから車は一切レーンに入ってはいけないのか?」というと、そうではありません。

道路交通法では左折時にできる限り左端に寄って徐行することが定められており(第34条)、左折の際は30m手前からウインカーを出しつつ徐行し、自転車専用通行帯に入って左折してOKとされています。これは、自転車の左側方からの追い越し(巻き込み)事故を防ぐためにも必要な動きです。

また、道路沿いの建物や駐車場に入る場合など、「レーンを横切らなければならないやむを得ない場合」には、車は徐行しながら自転車専用通行帯に進入して構いません。

要は、進路変更や左折のために一時的にレーンを横断・走行することは許可されているのです。ただし、その際も直進してくる自転車を妨害しないよう十分注意する必要があります。

緊急車両・バイク・歩行者は通行できる?――気になるケース別対応

緊急車両が来た場合の対応

緊急車両(救急車・消防車など)が接近してきた場合、車は自転車専用通行帯に入って道を譲っても問題ありません。道路交通法第40条では、緊急車両の通行を妨げないよう進路を譲ることが定められており、そのためにやむを得ず自転車専用通行帯に入って停止することは認められています。

むしろ左端に寄せて停止する際には自転車レーン上までしっかり寄ることが推奨されています。緊急時には自転車レーンの専有より人命救助が優先されるのは言うまでもありません。

オートバイ・原付バイクは走行禁止

ではオートバイや原付バイクなど二輪の自動車はどうでしょうか。

一見、車幅が狭いので自転車レーンを走れてしまいそうですが、法律上は禁止されています。自転車専用通行帯はあくまで「普通自転車」のための通行帯なので、たとえ二輪車であってもエンジンの付いた車両は走行してはいけません。

知らずに走行すると「通行区分違反」となり、後述するように反則切符を切られるケースもあります。実際「バイクで青い自転車レーンを走っていたら取り締まられた」という事例も報告されています。狭い道路で渋滞しているとつい入りたくなるかもしれませんが、絶対にやめましょう。

歩行者の通行ルール

歩行者についても、自転車専用通行帯を歩くことは禁止されています。歩行者は本来歩道を通行すべきであり、自転車レーンは車道の一部です。歩行者が入り込めば自転車との接触事故につながり危険です。

ただし、歩道のない道路で子どもや高齢者がやむを得ず通行する場合などは例外的に歩道以外の部分を歩ける旨が法律で定められています。しかし自転車専用通行帯が整備されている道路の多くは歩道も併設されていることがほとんどなので、基本的に歩行者は歩道を利用し、自転車レーン内を歩かないのが原則です。

自転車利用者自身のルールと義務

最後に自転車利用者自身ですが、専用通行帯が整備されている区間では自転車は原則としてそのレーンを通行しなければなりません。

自転車が専用通行帯を無視して車道の中央寄りを走る「通行区分違反」に問われる可能性があります。

もっとも、レーン上に障害物があったり危険を感じる場合には、一時的にレーン外に出て回避するのはやむを得ないでしょう。その場合も再度安全なタイミングで自転車専用通行帯に戻り、走行を続けることが望ましいです。

違反するとどうなる?罰則とトラブル事例

駐車違反

自転車専用通行帯が駐車禁止の指定を受けている場所で駐車した場合、通常の路上駐車違反として扱われます。

放置駐車で確認されれば、車の使用者に放置違反金の納付命令(反則金と同程度の金額:約10,000~18,000円程度)が来たり、運転者が特定されれば違反点数(違反点数2点)と反則金の支払いを科せられる可能性があります(一般的な駐車禁止違反の罰則です)。

特に都市部では駐車監視員等による取り締まりも厳しいため、「ちょっとだけ」と思っても違反ステッカーを貼られるリスクが高いでしょう。もちろん、駐車によって自転車の通行を妨げ事故を誘発した場合は、民事上の賠償責任も問われかねません。

停車違反

駐停車禁止の場所で停止した場合は「駐停車違反」となり、これも通常の違反として反則切符が切られます。反則金は普通車で12,000円、違反点数は2点が科せられます。

自転車レーンで停車違反になるケースは主に「駐停車禁止」の標識があるにも関わらず停まってしまった場合です。前述のように駐停車禁止でなければ停車自体は許容されていますが、例えばバスレーンなど特別な理由で停車禁止指定されている区間では注意が必要です。

通行帯違反(車両通行帯違反)

自転車専用通行帯を本来通行できない車両(自動車、バイクなど)が走行した場合の違反です。反則金は普通車・自動二輪車で6,000円、原付で5,000円、違反点数は1点が科されます。

例えば渋滞中にオートバイが自転車レーンをずっと走って先頭に出ようとしたり、普通乗用車が自転車レーンを追い越し車線代わりに走行したりすればこれに該当します。取り締まりに遭えば確実に切符を切られるので注意しましょう。

その他の違反

自転車側にもルールがあります。自転車が専用通行帯を無視して歩道を走ったり(歩道通行可の条件を満たさないのに)、逆走した場合などは「通行区分違反」となり、こちらも3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金といった刑事罰が規定されています(※14歳以上で悪質な違反を繰り返すと安全講習の受講義務なども生じます)。

違反をすると罰則以上に事故やトラブルのリスクが高まります。

例えば、自転車レーン上に違法駐車した車を避けようとした自転車が車道にはみ出し、後方から来た車と接触するといった事故が起きかねません。

大阪市に寄せられた市民の声でも「レーンを塞ぐ駐停車車両のせいで、自転車がやむなく車道側にはみ出して走らざるを得ず大変危険」という訴えがありました。

また、自転車専用レーン上に違法駐車する車に腹を立てた自転車利用者が故意に車にぶつかった場合どうなるか、といった物騒な議論さえネット上で見られます。

違法駐車車両に自転車が衝突した場合、基本的には車側にも管理責任が問われる可能性があり(道路交通法違反が背景にあるため)、トラブルに発展すれば双方にとって不利益です。

ドライバーは絶対に専用通行帯を違法に塞がない自転車も無理なすり抜けや意図的な接触はしない。お互いがマナーとルールを守ることで余計な揉め事や事故を避けられるでしょう。

誤解しやすいポイントQ&A

Q1: 青く塗られた道路=すべて自転車専用通行帯なの?

A: 必ずしもそうではありません。青や白の自転車マークと矢印だけがある場合は、「自転車ナビマーク」と呼ばれる案内表示で、法律上の効力はありません。標識が立っていて初めて「自転車専用通行帯」となります。現場では標識の有無を確認しましょう。

Q2: 「自転車専用通行帯」と「自転車道」は何が違うの?

A: 自転車道は歩道などと明確に分離された専用の道路部分で、柵や段差で車道と隔てられています。一方、自転車専用通行帯は車道上にペイント等で設けられた専用レーンです。自転車道は設置に十分な幅が必要で限られた場所にしかありませんが、専用通行帯は既存車線を調整して設けられるため都市部で広く導入されています。

Q3: 停車と駐車の境目は? ハザードをつけていれば停車扱いになる?

A: 運転者がすぐ運転できる状態で短時間止まるのが停車、運転者が離れたり長時間留め置くのが駐車です。ハザードランプの有無は関係なく、例えばドライバーが車外に出て近くの店に行けばそれは駐車になります。乗降や5分以内の荷物の積み下ろしといった正当な理由なく長時間留まれば駐車違反と判断されます。

Q4: 原付やオートバイなら自転車レーンを走っても良い?

A: ダメです。 エンジン付きの車両(軽車両でないもの)はたとえ二輪でも自転車専用通行帯を通行できません。誤って走行すると通行帯違反で違反点数1点・反則金6000円(原付は5000円)の罰則があります。

Q5: 緊急車両に道を譲るときもレーンに入ってはいけないの?

A: そんなことはありません。 緊急車両が来た際は自転車レーンに寄せて停車してOKです。むしろ道路の左端にできるだけ寄る義務がありますので、レーンを塞ぐ形で停止して構わないのです(この場合は「やむを得ない」正当な行為です)。

豆知識:海外の自転車レーン事情と日本の展望

日本の自転車専用通行帯はまだ発展途上であり、海外の事例が参考になります。

例えば自転車大国オランダでは、街中に幅広い自転車専用道路網が張り巡らされ、自転車が2台並んで追い越しできるほど十分な幅が確保されています。多くの先進都市では自転車インフラを都市計画の初期段階から組み込み、広いレーンの整備や信号・交差点での自転車優先措置が取られています。

日本でもようやく2010年代から自転車レーン整備が進み始めましたが、その総延長は前述の通り欧州に比べて圧倒的に短く(850km程度)、幅も狭いため安全面で課題があります。また、多くの自転車レーンが道路の端に青ペイントをしただけで物理的な分離はなく、駐停車車両に占有されてしまう問題も指摘されています。

今後の展望として、日本でもレーン幅の拡大や物理的遮蔽の導入が検討課題です。

自転車利用者の安全と快適性を高めるため、駐車車両を遮るポールや柵の設置、専用信号の導入など欧州の成功事例を取り入れる動きも見られます。また法整備の面でも、自転車レーン内の駐停車禁止をより厳格化する提言もなされています。

日本は高齢社会でもあり、自転車は健康増進や環境にも寄与する移動手段です。安全で快適に自転車が走れる環境づくりは、これからの重要な街づくり課題と言えるでしょう。

まとめ

自転車専用通行帯について理解が深まったでしょうか。自転車も車両の一員として道路を走っています。ドライバーの皆さんも、自転車に乗る人も、安全運転を心がけましょう。お互いがルールとマナーを守り、安心して道路を共有できる社会を目指したいですね。
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