昔と今、日本車各メーカーの大衆車はどう変わった?

トヨタ カローラ 1970

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現代の私たちにとって、クルマは生活に欠かせないものとなっています。その土台となっているのは、戦後、急速に自家用車が普及するきっかけにもなった各メーカーが作る大衆車ですが、時代の変遷とともに、大衆車も変化を遂げています。日本の主な自動車メーカーが販売してきた大衆車には、どんなクルマがあったのでしょうか?

文・立花義人
Chapter
大衆車とは?
トヨタ カローラ→アクア
日産 サニー→ノート
ホンダ シビック→フィット

大衆車とは?

自動車メーカーが、開発に一番頭を悩ませるのが大衆車です。良いクルマを安価で作るためには、高級車のように凝った装飾や装備を際限なく採用するわけにはいきません。さらに大量販売を前提とした生産体制を整えることなど、厳しい条件のもとで徹底的に市場を調査し、確実にヒット作を作らなければならないのです。

その時代の社会情勢の変化にともなって、人々の生活スタイル、好みも変化し、受け入れられる大衆車も変わっていきました。

では、おもなメーカーの大衆車の移り変わりを見てみましょう。

トヨタ カローラ→アクア

1966年に発売されたカローラは、現在でもブランドが続く乗用車です。基本はセダンであり、1969年から2001年までの33年間日本国内販売台数で第1位を守った、いわば日本を代表するモデルとなりました。

しかし国産セダンの人気は、90年代半ばを境に徐々に低迷。セダンよりも空間効率が有利で、かつ経済的なハッチバックのコンパクトカーに人気が集まるようになります。

そのようななか、世界に衝撃を与える量産ハイブリッドカー、プリウスが1997年に誕生します。 その後、2011年にはハイブリッドコンパクトカーの「アクア」が誕生し、つねに年間乗用車売り上げランキングで上位にランクインする人気車種となりました。

200万円を切る価格の乗用車に、高価なハイブリッドシステムを採用できるのは、トヨタがハイブリッドカーを量産できる強い企業力を持っているからです。アクアは、燃費性能と車両価格によるコストパフォーマンスが最大の魅力となっており、現在ではトヨタの主力車種となっています。

日産 サニー→ノート

日産は、トヨタ カローラのデビューより数ヶ月早い1966年4月にサニーを発売しました。早々に”大衆車元年”という言葉が誕生し、カローラVSサニーの図式が一般的となりました。

経済成長著しい日本において販売競争も激化し、排気量やボディサイズ、バリエーションなどの面で、大衆車として、カローラとしのぎを削りました。

その後バブル景気の崩壊した1993年以降は、より小型のハッチバックボディを持つマーチやキューブが日産の稼ぎ頭になります。それと並行して、サニーは2004年に登場したティーダ・ラティオと入れ替わり、販売を終了します。

その後日産は、しばらくマーチを大衆モデルとして据えていましたが、「ノート」にシリーズハイブリッド(エンジンで発電し、モーターで走行する)であるe-POWERを採用するやいなや、2018年の上半期には登録者販売ランキングで1位を獲得。大衆車としての地位を得ることになりました。

ホンダ シビック→フィット

ホンダは1972年に、世界戦略を担う大衆車としてシビックを発売しました。1973年には、どのメーカーも対応が不可能とまで言われた厳しい排ガス規制(マスキー法)をクリアする低公害エンジンCVCCを搭載したモデルが追加され、世界的な大ヒットになりました。

セダンや5ドアのハッチバック、スポーツモデルのタイプRなど、ホンダらしいラインナップを作って国内市場の活性化につなげてきましたが、新車販売の人気車種が軽自動車やミニバンへとシフトし、2010年に8代目を持って日本市場での販売が一旦終了となります。

それよりも前の2001年に、ホンダはシビックの後継車として「フィット」を発売しています。センタータンクレイアウトという独自のプラットフォームを用いた新しい車種で、他メーカーのコンパクトカーよりも広い室内空間を実現し、コンパクトカークラス市場の人気を牽引するモデルとなりました。2002年には、日本の大衆車代表であったカローラを販売台数で上回り、トップの座を獲得しています。

現在ではハイブリッド仕様も設定される、ホンダの最量販モデルとなっています。


ここでは紹介しきれませんでしたが、他メーカーも魅力的な大衆車を市場に投入すべく開発を行ってきました。日本の自動車産業を牽引してきた大衆車は、今後どのように変化していくのか、楽しみですね。

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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
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