昔と今、欧州各自動車メーカーの大衆車はどう変わった?

Volkswagen beetle タイプ1

いつの時代も庶民の味方は大衆車です。小さくてキビキビと走り、パッケージングの工夫によって居住スペースやラゲッジ空間もしっかりと確保。整備性に優れ、燃費もよく、ランニングコストも控えめで、実用性も走行性能にも優れています。そんな名車と呼ばれる大衆車が、ヨーロッパには数多く存在しており、これからも生み出され続けていくでしょう。今回は欧州自動車メーカーが手がけた、大衆車の今昔物語をお届けします。

文・西山昭智

ルノーの昔と今

昔:ルノー 4(キャトル)

ボディサイズ:全長3,665mm×全幅1,485mm×全高1,470mm
ホイールベース:2.395mm
車両重量:600kg
エンジン:水冷直列4気筒OHV
排気量:750cc
乗車定員:4名

ルノーの大衆車として大ヒットを記録したのが4(キャトル)です。1961年の登場から1992年まで生産が続けられたロングセラーモデルで、その生産台数は累計800万台を超えています。フォルクスワーゲン タイプ1、T型フォードに続き、単一車種の量産車として世界第3位の販売記録を樹立しています。

4枚のドアに跳ね上げ式のテールゲートを組み合わせたいわゆる5ドアハッチバックで、実用性の高さも人気の秘訣になっていました。

現在:ルノー カングー

ボディサイズ:全長4,280mm×全幅1,830mm×全高1,810mm
ホイールベース:2.700mm
車両重量:1,450kg
エンジン:水冷直列3気筒DOHC
排気量:1197cc
乗車定員:5名

ルノー4にも存在していたフルゴネットと呼ばれるボディスタイルを、現代風にリファインしたのが、ルノー カングーです。小型車の後ろに貨物車を組み合わせたような小型のボンネットバンで、ユニークな見た目と想像以上の使いやすさが特長です。

1997年に初代カングーがデビューすると、乗用車とトラックのメリットを組み合わせた使い勝手と乗り味で大ブレイク。ヨーロッパだけでなくアジアでも人気となり、マレーシアでノックダウン生産が行われたほど。シートアレンジが自在で日本でも高い人気を誇りました。

2007年には2代目カングーがデビューしており、欧州の積載規格に合わせて横幅を広げ、用途に応じた多彩なボディのラインナップがさらに人気を集めました。

カングーよりも小さなモデルはルノーにもありますが、実用性を兼ね備えた大衆車であり、キャトルの系譜を受け継ぐという点においてはカングーが現代版の大衆車といえるでしょう。

シトロエンの昔と今

昔:シトロエン 2CV

ボディサイズ:全長3,830mm×全幅1,480mm×全高1,600mm
ホイールベース:2.400mm
車両重量:560kg
エンジン:空冷対向2気筒OHV
排気量:375cc
乗車定員:4名

20世紀を代表する1台として、カー・オブ・ザ・センチュリーにも選出された大衆車の傑作。シトロエンが1948年に発売したFF方式の小型乗用車です。

フランスの農村部で乗ることを前提につくられたのが開発のきっかけで、農作物を運ぶための積載能力と運転のしやすさ、燃費などに重点を置かれており、スタイリングは二の次とされていました。そのため発売当時からそのスタイリングには、賛否両論さまざまな意見が飛び交いました。

しかし結果的に、2CVは商業的に大成功をおさめ、あらゆるフランスの家庭に受け入れられることになりました。

現在:シトロエン C3

ボディサイズ:全長3,995mm×全幅1,750mm×全高1,495mm
ホイールベース:2,535mm
車両重量:1,160kg
エンジン:水冷直列3気筒DOHC
排気量:1,199cc
乗車定員:5名

2002年の初代C3登場以来、全世界で200万台を超える売り上げを記録するC3。3代目となる現行C3は、C4カクタスで話題を集めたエアバンプとピカソのようなフロントマスクが特長です。

ボディサイズや車両価格などあらゆる面でバランスがよく、フランスだけでなくヨーロッパでも大衆車として人気があり、日本ではデザイン性の高さで同じく人気を集めています。


ただコンパクトなだけでなく、実用性と経済性も兼ね備えているのが大衆車の条件。それらを意識して多くのエンジニアがこの難しい課題に挑戦し、歴史に残る傑作車を数多く輩出してきました。それらの遺伝子を受け継ぎながら、21世紀版の大衆車が同じように作られ続けているのです。