「シトロエンSM」解説!ナンバープレートがガラスで覆われた幻のクルマ
更新日:2024.09.09
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1970年にシトロエンが発表したSMは、独創的なデザインにハイパフォーマンスなエンジンを積んだスポーツカーでした。しかし、日本に輸入されたのは、正規並行を合わせても150台前後とされる幻のクルマです。今回はそんなシトロエンSMについて、紹介していきます。
文・赤井福
文・赤井福
流麗なデザインは現代にも通じる
シトロエンSMのボディは、空気抵抗を極限まで低くするため、とても流麗なシェイプが採用されました。ピストルから放たれた弾丸をイメージさせる水滴型のデザインは、ボディ後部に向かって絞り込まれ、リアのタイヤハウスにはスパッツまで装備されています。
さらにフロントデザインは、バンパー下にグリルを配置、リアはハッチゲートの大半をガラスで成形するなど、革新的なものでした。
大きさこそ違いますが、フロントからリアに向かって絞り込まれ、テールがスパっと切り落とされたボディ形状や空力を高めるスパッツなど、1999年にホンダが発表したハイブリッドカー、初代インサイトのルーツとも言える空力デザインを、シトロエンは30年前に実現していたというわけです。
さらにフロントデザインは、バンパー下にグリルを配置、リアはハッチゲートの大半をガラスで成形するなど、革新的なものでした。
大きさこそ違いますが、フロントからリアに向かって絞り込まれ、テールがスパっと切り落とされたボディ形状や空力を高めるスパッツなど、1999年にホンダが発表したハイブリッドカー、初代インサイトのルーツとも言える空力デザインを、シトロエンは30年前に実現していたというわけです。
ナンバープレートの取り付け位置が独特
デザインのなかでも面白いのは、フロントマスクの処理でしょう。
片側3灯の角型6灯ヘッドランプだけでも十分に個性的ですが、ナンバープレートを左右のヘッドランプの間に配置、さらにヘッドランプからナンバーまで、ガラスのカバーで覆うという斬新なものでした。こんな発想は、後にも先にもシトロエンSMだけです。
ただ、このデザインは、フランス本国やヨーロッパ諸国で使われている横長のナンバープレートを考えたもので、日本や北米のナンバープレートをでは、下部が見えなくなってしまうという問題がありました。
このようにナンバープレートにまでデザインがおよんでいると、ナンバーの形状が変わっただけでも台無し感が出てしまいます。
最近、日本では、ご当地ナンバーやカラーデザインなども出てきましたが、それよりもベースとなる形状を見直してくれたほうがクルマ好きとしては嬉しい。できれば欧米のような、横長でスリムなナンバーデザインを実現してほしいものです。
ちなみに、本国仕様の角型6灯ヘッドライトは、内側の2灯がステアリングに連動して動く機構を備えていましたが、当時の日本の法律ではステアリング連動が認められておらず、輸入された角型6灯のSMは固定ヘッドライトでした。
片側3灯の角型6灯ヘッドランプだけでも十分に個性的ですが、ナンバープレートを左右のヘッドランプの間に配置、さらにヘッドランプからナンバーまで、ガラスのカバーで覆うという斬新なものでした。こんな発想は、後にも先にもシトロエンSMだけです。
ただ、このデザインは、フランス本国やヨーロッパ諸国で使われている横長のナンバープレートを考えたもので、日本や北米のナンバープレートをでは、下部が見えなくなってしまうという問題がありました。
このようにナンバープレートにまでデザインがおよんでいると、ナンバーの形状が変わっただけでも台無し感が出てしまいます。
最近、日本では、ご当地ナンバーやカラーデザインなども出てきましたが、それよりもベースとなる形状を見直してくれたほうがクルマ好きとしては嬉しい。できれば欧米のような、横長でスリムなナンバーデザインを実現してほしいものです。
ちなみに、本国仕様の角型6灯ヘッドライトは、内側の2灯がステアリングに連動して動く機構を備えていましたが、当時の日本の法律ではステアリング連動が認められておらず、輸入された角型6灯のSMは固定ヘッドライトでした。
当時のFF最速モデル
1955年に発表された4ドアサルーン、DSのスポーツ版として企画されたSMは、DSのシャシーをベースに作られています。
それに最高出力170ps、最大トルク23.5kgmの、マセラティ製2.7L V6 DOHCエンジンを搭載。駆動方式はなんとFFで、DSから受け継がれたハイドロニューマチックと、車速によってアシスト量が変化するパワーステアリング、さらに油圧によって舵角をセンターに戻すセルフセンタリングなどを備えていました。
この初期のSMは、当時のFF量産モデルの最高速度だった217km/hをマーク。1972年にインジェクション化されたモデルでは、229km/hに到達しました。
FRスポーツが当たり前の時代に、FFでスポーツカーを開発してしまうところに、シトロエンというメーカーの独創性が現れています。
それに最高出力170ps、最大トルク23.5kgmの、マセラティ製2.7L V6 DOHCエンジンを搭載。駆動方式はなんとFFで、DSから受け継がれたハイドロニューマチックと、車速によってアシスト量が変化するパワーステアリング、さらに油圧によって舵角をセンターに戻すセルフセンタリングなどを備えていました。
この初期のSMは、当時のFF量産モデルの最高速度だった217km/hをマーク。1972年にインジェクション化されたモデルでは、229km/hに到達しました。
FRスポーツが当たり前の時代に、FFでスポーツカーを開発してしまうところに、シトロエンというメーカーの独創性が現れています。
自動車史に残るFFスポーツは、シトロエンの経営悪化が影響して、プジョーの傘下に収まった1974年の翌年に生産が終了。それ以降、シトロエンから、このようなスポーツモデルが販売されることはありませんでした。
しかし、現在も独創的なクルマを多く輩出するシトロエン(DS)において、SMはデザイン、パッケージ、その他において、土台となっていることは間違いないでしょう。
しかし、現在も独創的なクルマを多く輩出するシトロエン(DS)において、SMはデザイン、パッケージ、その他において、土台となっていることは間違いないでしょう。
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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。
文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。