フィアット パンダの歴史とは? 初代から解説

フィアット パンダ 1980

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日本では上野のパンダの“シャンシャン”が話題を呼んでいますが、そのジャイアント・パンダから車名を取っているのが「フィアット パンダ」です。1980年に生まれべくして生まれたパンダが、今日の話の主役です。

文・山崎友貴
Chapter
フィアット パンダはオイルショックで生まれた名車
フィアット パンダは2代目以降より実用度を高めた

フィアット パンダはオイルショックで生まれた名車

コンパクトで運転しやすく、室内ユーティリティも十分に確保されたフィアット パンダ。この車が生まれたのは、1980年です。1970年代前半から世界を震撼させたオイルショックは、自動車業界にも深刻な影響を与えました。ガソリンなど燃料が高騰したことから、市場では低燃費の車が求められたのです。

イタリアの名門フィアット社も、燃費のいいコンパクトカーの開発に迫られました。そして誕生したのが初代のパンダです。初代は有名カーデザインナーのジウジアーロに意匠設計が委ねられ、平面を多様した特徴的なデザインとなりました。エンジンは652cc空冷2気筒と、903cc水冷4気筒の2タイプ。日本には後者のモデルが導入されました。

ボディは3ドアハッチバックの他、スライド式のソフトトップやリア観音扉などが設定されていました。また途中から4×4(4WD)モデルも追加。このモデルはFFをベースにした4WDでしたが、なんとパートタイム式を採用。ワイヤー式のレバーを引くと、直結4WDに切り替わるというもので、前置きエンジンでパートタイム4WDは世界初のメカニズムでした。

ちなみにこの4×4モデルは多くの車種に影響を与え、昨今のコンパクトクロスオーバー車はパンダ4×4が原点と言っても過言ではありません。
デザインやサイズ感がおおいに受けて、初代パンダは大ヒット。1986年にはマイナーチェンジを実施し、エンジンは769ccと999ccの直4エンジンに変更。1301ccのディーゼルエンジンも一部の国で販売されていました。

また、リーフスプリングだったリアサスペンションはトーションビーム式に変更し(4×4を除く)、運動性能を向上させています。1991年には富士重工製のCVTを搭載し、ドライブフィールを改善させました。

そして初代は1999年まで生産。同じジウジアーロがデザインしたゴルフⅠと並んで、20世紀の名車のひとつになりました。ちなみにパンダという車名はその見た目から取ったのではなく、メインの市場を中国と考えていたからなのだそうです。

フィアット パンダは2代目以降より実用度を高めた

2003年に登場した2代目パンダは、大きく様変わりしました。コンパクトカーというコンセプトは変わりませんが、小型ハッチバックというよりは、フランスの小型貨物車ライクなエクステリアに変貌。特に1997年に登場して好評を博していた、ルノー・カングーを意識したデザインになったのです。

それでいて、今のクロスオーバーを彷彿させる意匠は、イタリアの名門カロッツェリア・ベルトーネの手によるものです。なぜ初代とここまで違う雰囲気になったかというと、当初はこのモデルは別の車種として発売する予定だったのだとか。しかし、商標の問題が発生して、結局パンダとして発売されたというのが、大変身の理由です。

エンジンは1.2ℓ直4で、シャシー同様にランチア・イプシロン、フィアット・500と共用。2007年には100PSを発生する1.4ℓ直4エンジンが「100HP」というグレードに搭載されています。4×4も継続して販売されましたが、このモデルからはビスカスカップリングをセンターデフに用いたフルタイム4WDになっています。
そして2011年には3代目が登場。このモデルはキープコンセプトデザインで、またシャシーも先代同様に500やクライスラー(ランチア)・イプシロンと共用していましたが、サイズは拡大。室内のユーティリティを向上させています。

日本に導入されたモデルには900ccの2気筒ターボエンジンが搭載されており、これも500と共用のユニットです。

日本では、2014年から発売されている4×4は、電子制御式のフルタイム4WDとなり、センターデフロックが追加されて悪路走破性を大幅に向上させています。ただし、日本ではカタログモデルではなく限定車として売られており、また6速MT車しか導入されていません。
現行型の魅力は実用性もさることながら、ドライブフィールにあると言ってもいいでしょう。ツインエアと名付けられた2気筒ターボのエンジンは、とにかくドライブプレジャーに溢れています。

アクセルをゆっくり開ければ、まるで単気筒エンジンのようにパタパタとのどかに走り、踏み込めばターボが過給してバイクのようにダッシュします。どことなく暢気が感じがするパンダに、まさにぴったりのエンジンです。

500も同じエンジンを搭載していますが、貨客両用車らしく低速トルクはパンダの方が上。扱いにくい印象があるツインエアエンジンですが、慣れてくるとドライブプレジャーを感じさせてくれます。

ここ数年、小型SUVがブームとなっていますが、ありきたりの車には乗りたくない…という人には、まさにうってつけなのではないでしょうか。

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