プジョー 308 アリュールをレビュー評価!乗り心地は旧型と比べてどう?
更新日:2024.09.09
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今回試乗したのは、2014年11月から日本国内販売が開始された、プジョー308です。グレードはベーシックの「Allure(アリュール)」。前回の記事では、内外装デザイン、エンジンについて見ていきましたが、今回は、動力性能やハンドリング、乗り心地など、動的観点から308を解剖します。
文/写真・吉川賢一
文/写真・吉川賢一
プジョー 308の乗り心地:1.2Lエンジンとは思えないほどパワフル
1.2リッターのエンジンと聞くと、どうしても非力なイメージがありますが、プジョー308は、アクセルペダルを踏み込むと、エンジンのトルク不足など微塵も感じさせずに、軽々と加速します。
箱根湯本駅をスタートしてすぐに感じましたが、エンジンを1,500rpmほど回せば、1,290kgの車体であっても、山道をぐいぐいと登らせていきます。最終ゴール地点の十国峠にたどり着いた時には「ディーゼルエンジン版を間違えて借りてしまったか?」と疑うほどでした。
アイシン製の6AT(パドルシフト付き)も素晴らしく、変速ショックは一切なく、エンジン回転数を低く保つように1,500-2,500回転でシフトチェンジを繰り返しながら、すいすいと箱根の山を登っていく様には驚きました。
箱根の登坂であっても、エンジン回転がむやみに上がることが無いので、エンジンが回るガサツさを感じにくかったことも好印象でした。
山岳路ありの100kmを走行した実燃費は16.4km/L。カタログ燃費が18.1km/L(JC08モード)なので優秀といえますが、唯一ハイオク仕様なのが難点です。
箱根湯本駅をスタートしてすぐに感じましたが、エンジンを1,500rpmほど回せば、1,290kgの車体であっても、山道をぐいぐいと登らせていきます。最終ゴール地点の十国峠にたどり着いた時には「ディーゼルエンジン版を間違えて借りてしまったか?」と疑うほどでした。
アイシン製の6AT(パドルシフト付き)も素晴らしく、変速ショックは一切なく、エンジン回転数を低く保つように1,500-2,500回転でシフトチェンジを繰り返しながら、すいすいと箱根の山を登っていく様には驚きました。
箱根の登坂であっても、エンジン回転がむやみに上がることが無いので、エンジンが回るガサツさを感じにくかったことも好印象でした。
山岳路ありの100kmを走行した実燃費は16.4km/L。カタログ燃費が18.1km/L(JC08モード)なので優秀といえますが、唯一ハイオク仕様なのが難点です。
プジョー 308の乗り心地:操舵力はしっかり、軽快なハンドリング
ステアリングホイールの切り始めは、やや重ためな操舵力特性です。その反力を超えて操舵を切り込むと、クイッと軽やかにクルマは曲がっていきます。
操舵後に立ち上がるヨーレイトの大きさは、このクラスの平均的な性能に感じますが、小径のステアリングホイールの影響もあり、少ないハンドル操作でクルマの向きが変わる印象です。このカートのような動きは、プジョー308の魅力のひとつかもしれません。
操舵直後のフロント外輪側の沈み込みが大きいこと、そしてロールの動きが速いこと、また上下方向の動きがゆったりしていることから、足回りのセッティングについては、スプリングとショックアブソーバーの特性が緩めに設定されていると推測できます。
この良い意味での”足回りの緩さ”は、乗り心地をよく感じることにつながります。そのため、この足の動きを予見して、コーナー手前からゆっくりとステアリングホイールを操作できるようになれば、クルマがぐらつくこともなく、上手な運転ができるようになるな、と考えられます。
操舵後に立ち上がるヨーレイトの大きさは、このクラスの平均的な性能に感じますが、小径のステアリングホイールの影響もあり、少ないハンドル操作でクルマの向きが変わる印象です。このカートのような動きは、プジョー308の魅力のひとつかもしれません。
操舵直後のフロント外輪側の沈み込みが大きいこと、そしてロールの動きが速いこと、また上下方向の動きがゆったりしていることから、足回りのセッティングについては、スプリングとショックアブソーバーの特性が緩めに設定されていると推測できます。
この良い意味での”足回りの緩さ”は、乗り心地をよく感じることにつながります。そのため、この足の動きを予見して、コーナー手前からゆっくりとステアリングホイールを操作できるようになれば、クルマがぐらつくこともなく、上手な運転ができるようになるな、と考えられます。
旧型のプジョー308のセッティングが、ドイツ車的に引き締められていたことを覚えている評論家の方々は、「猫足が復活した」という方も多くいます。
仮に、ドイツ車系の性能を正解とするならば、”上屋がゆらゆらして足が緩すぎる、安心して飛ばせない”となりますが、なぜかプジョーだけは許されている(愛情がある)のは面白いものです。もし日本車ならば、間違いなく後者の評価が下されるでしょうけどね…。
小回り性能を表す最小回転半径のカタログ値は5.2mと、このサイズ感のハッチバックでは一般的な大きさです。駐車場での切り返しのやりやすさは、操舵力の重たさが影響し、平均点以下です。
据え切り操舵力は、EPS出力を上げてほしいところですが、力のあるフランス人にとっては十分なのかもしれません。あくまで想像ですが、日本人としては相手にしてもらえていないようで悔しいところです。
仮に、ドイツ車系の性能を正解とするならば、”上屋がゆらゆらして足が緩すぎる、安心して飛ばせない”となりますが、なぜかプジョーだけは許されている(愛情がある)のは面白いものです。もし日本車ならば、間違いなく後者の評価が下されるでしょうけどね…。
小回り性能を表す最小回転半径のカタログ値は5.2mと、このサイズ感のハッチバックでは一般的な大きさです。駐車場での切り返しのやりやすさは、操舵力の重たさが影響し、平均点以下です。
据え切り操舵力は、EPS出力を上げてほしいところですが、力のあるフランス人にとっては十分なのかもしれません。あくまで想像ですが、日本人としては相手にしてもらえていないようで悔しいところです。
プジョー 308の乗り心地:フランス人のセンスを満喫
路面のギャップを超える際、タイヤがたわみ、サスペンションがストロークして、しなやかにいなす308の足回りを一言で言えば、”柔らかい”となります。
やや荒れた路面でも、クルマはピョコピョコしたり、ブルンと震えたりすることもなく、「スー」と通過します。大きめの路面のうねりでは、上下のクルマの動きがやや大きく、「ふわん」と感じます。でも、これを”乗り味”と解釈して堪能することができれば、どなたでもきっと308の乗り心地を気に入ることでしょう。
ひとつだけ気になったのは、ロードノイズの大きさ。街中などの一般道路を流しているシーンや、高速道路などの車速が高めとなるシーンで、「ゴー」というロードノイズが目立ちます。
装着していたタイヤは、標準的な16インチタイヤですから、タイヤの縦ばねが極端に高かったり、接地幅が大きかったりするわけではありませんが、常にロードノイズが耳に入ってきます。このあたりはCセグメントのベンチマークとされるVW ゴルフとは、大きな差になってしまっています。
物理的には、乗り心地とロードノイズは、「加速度」と「音」として切り離すことができます。しかし、クルマの快適性を評価するうえでは、決して切り離すことができません。両者それぞれの水準を上げていかないと、車両トータルの評価を上げられない点が、乗り心地と音振の難しさでもあるのです。
プジョー308は、小気味良いハンドリングと当たりの柔らかい乗り心地。すっきりとした内外装デザインによって、フランス人のセンスを満喫できるクルマでした。
やや荒れた路面でも、クルマはピョコピョコしたり、ブルンと震えたりすることもなく、「スー」と通過します。大きめの路面のうねりでは、上下のクルマの動きがやや大きく、「ふわん」と感じます。でも、これを”乗り味”と解釈して堪能することができれば、どなたでもきっと308の乗り心地を気に入ることでしょう。
ひとつだけ気になったのは、ロードノイズの大きさ。街中などの一般道路を流しているシーンや、高速道路などの車速が高めとなるシーンで、「ゴー」というロードノイズが目立ちます。
装着していたタイヤは、標準的な16インチタイヤですから、タイヤの縦ばねが極端に高かったり、接地幅が大きかったりするわけではありませんが、常にロードノイズが耳に入ってきます。このあたりはCセグメントのベンチマークとされるVW ゴルフとは、大きな差になってしまっています。
物理的には、乗り心地とロードノイズは、「加速度」と「音」として切り離すことができます。しかし、クルマの快適性を評価するうえでは、決して切り離すことができません。両者それぞれの水準を上げていかないと、車両トータルの評価を上げられない点が、乗り心地と音振の難しさでもあるのです。
プジョー308は、小気味良いハンドリングと当たりの柔らかい乗り心地。すっきりとした内外装デザインによって、フランス人のセンスを満喫できるクルマでした。
試乗車/PEUGEOT 308 Allure
主要諸元:全長x全幅x全高:4,275x1,805x1,470mm/ホイールベース:2,620mm/ボディタイプ:5ドアハッチバック/乗車定員:5名/駆動方式:FF(前輪駆動)/車両重量:1290kg/エンジン種類:直列3気筒DOHC ターボチャージャー付 直噴ガソリンエンジン/総排気量:1199cc/最高出力:96kW(130ps)/5,500rpm/最大トルク:230Nm/1,750rpm/トランスミッション:6速オートマチック/燃料消費率:18.1km/L[JC08モード燃費]/サスペンション(前輪):マクファーソンストラット式、(後輪):トーションビーム式/タイヤ:205/55R16 ミシュランENERGY SAVER
車両本体価格:2,790,000円[消費税込]
主要諸元:全長x全幅x全高:4,275x1,805x1,470mm/ホイールベース:2,620mm/ボディタイプ:5ドアハッチバック/乗車定員:5名/駆動方式:FF(前輪駆動)/車両重量:1290kg/エンジン種類:直列3気筒DOHC ターボチャージャー付 直噴ガソリンエンジン/総排気量:1199cc/最高出力:96kW(130ps)/5,500rpm/最大トルク:230Nm/1,750rpm/トランスミッション:6速オートマチック/燃料消費率:18.1km/L[JC08モード燃費]/サスペンション(前輪):マクファーソンストラット式、(後輪):トーションビーム式/タイヤ:205/55R16 ミシュランENERGY SAVER
車両本体価格:2,790,000円[消費税込]
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。