高級車ブランドが続々とSUV市場に参入する理由
更新日:2024.09.09
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ひと昔前、クルマと言えば、ボンネットとトランクの間にキャビンがあるセダンこそがもっとも典型的なものでしたが、いまではすっかり少なくなりました。その一方で、勢力を伸ばしているのがスポーツ ユーティリティ ビークル(SUV)です。
クロスカントリー系と呼ばれる、いわゆる本格的な悪路走破性能に重点を置いた4WD車と異なり、乗用車をベースに設計されているSUVは、スポーティなエクステリアと広い室内空間を持ち、なおかつコストパフォーマンスにも優れているということで、現在ではどのブランドのなかでも売れ筋モデルとなっています。
※ 2018年4月時点
クロスカントリー系と呼ばれる、いわゆる本格的な悪路走破性能に重点を置いた4WD車と異なり、乗用車をベースに設計されているSUVは、スポーティなエクステリアと広い室内空間を持ち、なおかつコストパフォーマンスにも優れているということで、現在ではどのブランドのなかでも売れ筋モデルとなっています。
※ 2018年4月時点
2015年、ベントレー ベンテイガの登場
SUVの歴史において、1990年代にクロスオーバーSUVというカテゴリーを切り拓いたトヨタ RAV4やスバル フォレスター、2000年代に高級クロスオーバーSUVとして登場したポルシェ カイエンや、SAVとして登場したBMW X5などは欠かすことのできない重要なモデルですが、2015年のフランクフルトモーターショーで発表されたベントレー ベンテイガもまた、触れずにはいられない1台と言えるでしょう。
ベンテイガは、447kW(608ps)を発揮する6.0LのW12気筒エンジンを搭載し、SUVとしては前代未聞の最高時速301km/hを実現したまさにモンスターマシンです。しかし、そのパフォーマンスもさることながら、本当に重要なことは、ベントレーがSUVを発表したことそのものなのです。
ベンテイガは、447kW(608ps)を発揮する6.0LのW12気筒エンジンを搭載し、SUVとしては前代未聞の最高時速301km/hを実現したまさにモンスターマシンです。しかし、そのパフォーマンスもさることながら、本当に重要なことは、ベントレーがSUVを発表したことそのものなのです。
1919年に創設されたベントレーは、長い歴史の中では、ロールスロイス社との合併と分裂、そしてVWグループ参加への吸収など紆余曲折を経ていますが、世界最高峰のブランドのひとつであるという評価は変わってはいません。
一方で、そのラインナップは非常にシンプルで、フラグシップモデルのミュルザンヌ、クーペモデルのコンチネンタルGT、そしてコンチネンタルGTの4ドアバージョンであるフライングスパーの3モデルを基本として、それぞれの派生モデルが用意されているのみです。
時代によってラインナップに多少の変化はありますが、ベントレーのモデルにSUVが用意されたのは、ベンテイガが登場した2015年が初めてのことだったのです。
2017年にはスーパーカーブランドの代表格であるランボルギーニから同ブランド初のSUVであるウルスが登場し、2018年にはベントレーと並ぶ超高級車ブランドのロールスロイスからもカリナンというSUVが登場すると言われています。
この流れを見ていると、超高級ブランドにおけるSUVは単なるブームではなく、より大きな潮流のなかに位置づけられると言って間違いないでしょう。では、なぜ、超高級車ブランドはSUVを発表するのでしょう?
一方で、そのラインナップは非常にシンプルで、フラグシップモデルのミュルザンヌ、クーペモデルのコンチネンタルGT、そしてコンチネンタルGTの4ドアバージョンであるフライングスパーの3モデルを基本として、それぞれの派生モデルが用意されているのみです。
時代によってラインナップに多少の変化はありますが、ベントレーのモデルにSUVが用意されたのは、ベンテイガが登場した2015年が初めてのことだったのです。
2017年にはスーパーカーブランドの代表格であるランボルギーニから同ブランド初のSUVであるウルスが登場し、2018年にはベントレーと並ぶ超高級車ブランドのロールスロイスからもカリナンというSUVが登場すると言われています。
この流れを見ていると、超高級ブランドにおけるSUVは単なるブームではなく、より大きな潮流のなかに位置づけられると言って間違いないでしょう。では、なぜ、超高級車ブランドはSUVを発表するのでしょう?
新興国の台頭で新たな価値観が出現
最大の理由は、新興国の経済成長です。BRICsと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国を筆頭に、ネクスト11と呼ばれる東南アジア諸国などの国々は2000年代以降急激に経済が発展し、先進国に匹敵するほどの富裕層が登場しました。そして同時に平均所得も上昇したことで、自動車を購入できる層が増え、自動車市場が拡大していったのです。
一方で、経済力を手に入れたとはいえ、先進国で販売されていたモデルがそのまま受け入れられるということはありません。それは、物理的な理由と文化的な理由の2つの要因があります。
物理的な理由としては、交通インフラの未整備が挙げられます。圧倒的な成長速度で経済発展したことで、新興国の多くは交通インフラが整っていない場合も多く、郊外では未舗装の路面もいまだに多くあるのが新興国の特徴です。
そうした路面環境では、ロードクリアランスが高いSUVの高級車が求められるのです。もう1つの文化的な理由については、各国ごとに多少事情が異なりますが、共通しているのは、既存の先進国的価値観とは異なるという点です。
伝統と格式を重んじる高級ブランドであっても、既存の製品、すなわち欧米向けの製品をそのまま展開するだけではならないのが、新興国市場の難しいところなのでしょう。
一方で、経済力を手に入れたとはいえ、先進国で販売されていたモデルがそのまま受け入れられるということはありません。それは、物理的な理由と文化的な理由の2つの要因があります。
物理的な理由としては、交通インフラの未整備が挙げられます。圧倒的な成長速度で経済発展したことで、新興国の多くは交通インフラが整っていない場合も多く、郊外では未舗装の路面もいまだに多くあるのが新興国の特徴です。
そうした路面環境では、ロードクリアランスが高いSUVの高級車が求められるのです。もう1つの文化的な理由については、各国ごとに多少事情が異なりますが、共通しているのは、既存の先進国的価値観とは異なるという点です。
伝統と格式を重んじる高級ブランドであっても、既存の製品、すなわち欧米向けの製品をそのまま展開するだけではならないのが、新興国市場の難しいところなのでしょう。
超高級車ブランドにもビジネス視点
より大きな視点で言えば、たとえ超高級車ブランドであったとしても、常に新市場を開拓し、販売台数を増やしていかなければならないのです。
ベントレーも、成り立ちこそレーシングカーの製作という、ある意味で趣味のようなところからスタートしていますが、VWグループの傘下となったいま、利益の最大化を図ることもまた重要な社会的責任といえるでしょう。
各ブランドは、より大きなブランドの傘下になることで生き残ってきた歴史があるのもまた事実です。そうした経験があるからこそ、各ブランドは、新興国市場に果敢に参入するのです。
また、ベンテイガはベントレーのラインナップにおいて初めてのSUVであると述べましたが、じつは、ベントレー製のSUVは過去にも存在します。自動車エンスージアストとして有名なある東南アジアの国家元首が、当時のセダンをベースに、ベントレーにオーダーして作らせたモデルがそれです。
特注車両のためラインナップに数えることはありませんが、新興国の経済成長によってそのようなニーズが増えた結果、ベンテイガというモデルが登場したと言えるでしょう。
このような背景から登場した超高級車ブランドのSUVですが、結果的には新興国以外の市場でも新規顧客の獲得に貢献しているようです。文化は違えど、良いものが評価されるという点は、万国共通なのかもしれません。
ベントレーも、成り立ちこそレーシングカーの製作という、ある意味で趣味のようなところからスタートしていますが、VWグループの傘下となったいま、利益の最大化を図ることもまた重要な社会的責任といえるでしょう。
各ブランドは、より大きなブランドの傘下になることで生き残ってきた歴史があるのもまた事実です。そうした経験があるからこそ、各ブランドは、新興国市場に果敢に参入するのです。
また、ベンテイガはベントレーのラインナップにおいて初めてのSUVであると述べましたが、じつは、ベントレー製のSUVは過去にも存在します。自動車エンスージアストとして有名なある東南アジアの国家元首が、当時のセダンをベースに、ベントレーにオーダーして作らせたモデルがそれです。
特注車両のためラインナップに数えることはありませんが、新興国の経済成長によってそのようなニーズが増えた結果、ベンテイガというモデルが登場したと言えるでしょう。
このような背景から登場した超高級車ブランドのSUVですが、結果的には新興国以外の市場でも新規顧客の獲得に貢献しているようです。文化は違えど、良いものが評価されるという点は、万国共通なのかもしれません。