Rolling 40's Vol.64 2014年最初の決意
更新日:2024.09.09
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東京モーターショーに行ったことがきっかけとなり、クルマやバイクに対する趣味嗜好がいつの間にか旧車や極端にマニアックなモノになっていることに猛省した。気がつくと前近代のレーシングキャブレターに萌えたり、量産車では不可能なコンセプトばかりが気になる。
text:大鶴義丹 [aheadアーカイブス vol.134 2014年1月号]
text:大鶴義丹 [aheadアーカイブス vol.134 2014年1月号]
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Vol.64 2014年最初の決意
ホビーとしてそれらを愛でるだけなら問題ないが、実生活でそればかりではいい加減問題だと思い始めた。世の中の乗り物はどんどん進化していくし、今のままでは見たり感じたりするべき進化に対してまでも、不勉強になる気がしたからだ。
時代と共に進んで行く流れを追いかけ回すだけで、自分の趣味嗜好を理解しないのは以ての外だが、その反対の厭世者も然りという結論に達したということだろう。オールドスクールな趣味嗜好はバイクで満喫し、クルマにおいては未来志向な在り方を考え始める時期に来たようである。
思い始めると極端な行動に出るのが私の性で、それならばいっそ、今までの自分を叩き壊すほどに最新鋭の車種を買ってみようと思った。
もちろん、予算があるので選択に限度はあるが、走行性能や出力にこだわらずそのメーカーが威信をかけたような、ハッキリとしたアイデンティティを持っている新型車を買うことにした。
国内外問わず幾つかのメーカーの目ぼしい車種をリストアップした。また今回の選択候補にスポーツカーは含まない。
今までの私の言動からは意外に思われるかもしれないが、この縛りは最初に思いついたことだ。私たちスーパーカー世代はスポーツカーというより、速そうなクルマに対してトラウマ的にまで執着してしまうのだが、いい加減その幼児性もコントロールする必要があると思う。
それを乗り越えないといつまで経っても、最高速度、最高出力といったスペック信仰から脱することが出来ない。ワクワクさせてくれる魔法の呪文も大事だが、数値化できない進化を知るためには違うアプローチをすべきだ。
その決断にのっとりながら、最新車種を調べていくと、やはり国産車という選択肢に落ち着いた。さらにその中でもドメスティックなコンセプトを大事にしようと思った。ある最新の軽自動車を運転したときに感じたことがその理由の一つだった。
言うまでもなく、軽自動車はドメスティックに特化した進化の果てのガラパゴス・モンスターである。それは外国人の方が冷静に分かっていて、あのサイズに詰め込んだハイテクと安全性は日本だけのものだと驚嘆する。
日本列島における使用状況において、軽自動車が最も適した進化と言っても過言ではない。ただ唯一、行政の軽自動車政策がその在り方に正しいブランド性を作らなかったことだけが問題だ。
それを一番的確に表しているのが、黄色ナンバーだろう。あれを見る度に、実務車なのだからデザインなどにはこだわらなくてよろしい、といったお役所ボイスが聞こえる。
真逆な物として、アメリカ車は素晴らしいと同時に日本の交通事情とは相性が悪い。それはあちらのスーパーマーケットの駐車場を一度でも見れば分かること。日本では小山にも思えるハマーH2でさえ軽トラに見える広さだ。そんな場所で生まれ育ったクルマを23区で乗ることの方が問題だ。
アメリカ車が悪いのではなく、広大な北米で使わないとその本質には絶対に触れることは出来ないというだけだ。ドイツ車も然り、ただ唯一、フランス車だけは少し気になったのだが、私の中にフランス文化に憧れる原動力が足りていないのでご辞退頂いた。
要はこの日本列島という、ある意味極端な特質のフィールドに特化したであろう国内専用モデルを買うということだ。
結局日本は日本、幾ら格好つけても新東名はアウトバーンのように速度無制限にはならない、ルート66のイージーライダーは保土ヶ谷の暴走族。アルプス越えは、貴方と越えたい天城越え。
それを肝に銘じた上で、この日本列島にドメスティックに暮らし、粋がっている中年男子が乗るべき最新鋭のクルマを現在探している。
極端な表現だが、「23区で毎日ストレスのない仕事の移動と普段使い+たまのレジャー」なのだから、強烈にデザインがアバンギャルド化し、少し肥大化したダイハツのタントが私の100点満点である。そんなクルマがあれば今すぐローンを組むだろう。
しかしどうしてか、そんなクルマはなかなか見つからない。幼児性や意味のない見栄、無駄なスペック信仰、それらから脱却した本当に選ぶべき選択を模索している。
それを見つけるということは、逆算的に46歳目前の自分の新しい在り方や新しい視線を再確認することでもあり、周りからの見られ方にも影響する。中途半端な選択をすることは出来ない。
この記事が出る頃には決まっているだろう。
時代と共に進んで行く流れを追いかけ回すだけで、自分の趣味嗜好を理解しないのは以ての外だが、その反対の厭世者も然りという結論に達したということだろう。オールドスクールな趣味嗜好はバイクで満喫し、クルマにおいては未来志向な在り方を考え始める時期に来たようである。
思い始めると極端な行動に出るのが私の性で、それならばいっそ、今までの自分を叩き壊すほどに最新鋭の車種を買ってみようと思った。
もちろん、予算があるので選択に限度はあるが、走行性能や出力にこだわらずそのメーカーが威信をかけたような、ハッキリとしたアイデンティティを持っている新型車を買うことにした。
国内外問わず幾つかのメーカーの目ぼしい車種をリストアップした。また今回の選択候補にスポーツカーは含まない。
今までの私の言動からは意外に思われるかもしれないが、この縛りは最初に思いついたことだ。私たちスーパーカー世代はスポーツカーというより、速そうなクルマに対してトラウマ的にまで執着してしまうのだが、いい加減その幼児性もコントロールする必要があると思う。
それを乗り越えないといつまで経っても、最高速度、最高出力といったスペック信仰から脱することが出来ない。ワクワクさせてくれる魔法の呪文も大事だが、数値化できない進化を知るためには違うアプローチをすべきだ。
その決断にのっとりながら、最新車種を調べていくと、やはり国産車という選択肢に落ち着いた。さらにその中でもドメスティックなコンセプトを大事にしようと思った。ある最新の軽自動車を運転したときに感じたことがその理由の一つだった。
言うまでもなく、軽自動車はドメスティックに特化した進化の果てのガラパゴス・モンスターである。それは外国人の方が冷静に分かっていて、あのサイズに詰め込んだハイテクと安全性は日本だけのものだと驚嘆する。
日本列島における使用状況において、軽自動車が最も適した進化と言っても過言ではない。ただ唯一、行政の軽自動車政策がその在り方に正しいブランド性を作らなかったことだけが問題だ。
それを一番的確に表しているのが、黄色ナンバーだろう。あれを見る度に、実務車なのだからデザインなどにはこだわらなくてよろしい、といったお役所ボイスが聞こえる。
真逆な物として、アメリカ車は素晴らしいと同時に日本の交通事情とは相性が悪い。それはあちらのスーパーマーケットの駐車場を一度でも見れば分かること。日本では小山にも思えるハマーH2でさえ軽トラに見える広さだ。そんな場所で生まれ育ったクルマを23区で乗ることの方が問題だ。
アメリカ車が悪いのではなく、広大な北米で使わないとその本質には絶対に触れることは出来ないというだけだ。ドイツ車も然り、ただ唯一、フランス車だけは少し気になったのだが、私の中にフランス文化に憧れる原動力が足りていないのでご辞退頂いた。
要はこの日本列島という、ある意味極端な特質のフィールドに特化したであろう国内専用モデルを買うということだ。
結局日本は日本、幾ら格好つけても新東名はアウトバーンのように速度無制限にはならない、ルート66のイージーライダーは保土ヶ谷の暴走族。アルプス越えは、貴方と越えたい天城越え。
それを肝に銘じた上で、この日本列島にドメスティックに暮らし、粋がっている中年男子が乗るべき最新鋭のクルマを現在探している。
極端な表現だが、「23区で毎日ストレスのない仕事の移動と普段使い+たまのレジャー」なのだから、強烈にデザインがアバンギャルド化し、少し肥大化したダイハツのタントが私の100点満点である。そんなクルマがあれば今すぐローンを組むだろう。
しかしどうしてか、そんなクルマはなかなか見つからない。幼児性や意味のない見栄、無駄なスペック信仰、それらから脱却した本当に選ぶべき選択を模索している。
それを見つけるということは、逆算的に46歳目前の自分の新しい在り方や新しい視線を再確認することでもあり、周りからの見られ方にも影響する。中途半端な選択をすることは出来ない。
この記事が出る頃には決まっているだろう。
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text:大鶴義丹/Gitan Ohtsuru
1968年生まれ。俳優・監督・作家。知る人ぞ知る“熱き”バイク乗りである。本人によるブログ「不思議の毎日」はameblo.jp/gitan1968
text:大鶴義丹/Gitan Ohtsuru
1968年生まれ。俳優・監督・作家。知る人ぞ知る“熱き”バイク乗りである。本人によるブログ「不思議の毎日」はameblo.jp/gitan1968