ロニー・ピーターソンに思いを馳せる店

ロン・ハワードが監督した話題の新作「RUSH」が、9月13日から英国で公開されている。この映画が描くのは、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダによってチャンピオンシップが争われた1976年のF‌1シーンだ。

 思えば、1970年代のF‌1シーンは、そのマシン・バラエティもさることながら、それらを操るドライバーたちの個性も際立っていた時代だった。自由奔放で刹那的なハント、理知的なラウダを筆頭に、長いもみあげが印象的なブラジルの英雄エマーソン・フィッティパルディ、加えタバコで表彰台に登るパトリック・ドゥパイエ、暴れん坊でありながら光る才能を見せるジョディ・シェクターなどなど、現代の管理されきったドライバーたちにはない、野性味溢れる闘う男の姿がそこにはあった。

text:藤原よしお photo:菅原康太 [aheadアーカイブス vol.131 2013年10月号]

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ロニー・ピーターソンに思いを馳せる店

ロニー・ピーターソンに思いを馳せる店


 そんな超個性の集団にあって「スーパー・スウェード」と呼ばれ、愛された男がいた。長身で金髪。甘いマスクでもの静かなスウェーデン生まれのこの男は、ひとたびステアリングを握ると豹変し、速いマシンはより速く、走らないマシンでもコース目一杯に振り回し、フィニッシュラインへと飛び込んだ。

 彼の名はロニー・ピーターソン。

 1970年にF‌1にデビューして以来、その派手なドライビングスタイルから、彼はグランプリに欠かせない役者のひとりになった。しかし、いまから35年前の1978年9月10日、悲劇は突然訪れる。モンザで行われたイタリアGPのスタートでのこと。スタートで彼の乗るロータス78は多重クラッシュに巻き込まれ、直後に炎上。その翌日F‌1界は稀代のアイドルを失った……。

 さる9月16日、東京・恵比寿にオープンしたモータースポーツをテーマとしたカフェ「Racers Cafe(レーサーズ・カフェ)」は、日本でロニー・ピーターソンに想いを馳せることができる貴重な場所のひとつだ。エスプレッソの薫りに包まれた店内に入り、壁際に設置されたショーケースに目をやると、そこに淡いブルーグレーのレーシングスーツがディスプレイされているのに気づく。

 これは、1976年頃に実際にロニー自身が着用していたレーシングスーツだ。持ち主はこのカフェのオーナーであり、1973年にロニーがドライブしたロータス72E/6を所有、ヨーロッパで開催されているヒストリックF‌1シリーズに参戦している久保田克昭氏である。

 もし貴方が遠く1970年代のF‌1シーンや往時のロニーの勇姿にシンパシーを抱くなら、ぜひ一度この場所を訪れてみることをお勧めする。なぜなら久保田氏は、もう1台の愛車であるマーチ761('76年にロニーがイタリアGPで優勝したそのもの)にロニー・カラーのヘルメットを被って乗り、ニュルブルクリンクで行われた「RUSH」の走行シーン撮影に参加した、唯一の日本人でもあるのだから。

Racers’ Café TOKYO EBISU

住所:東京都渋谷区恵比寿西2-11-9プラネックスボルタビル1階

電話:03(6809)0687 営業時間:15:00〜23:30

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