現在の軽自動車のチューニング効果が低い理由とは?昔と何が変わった?

ホンダ S660

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私たちの日常の大切な移動手段である軽自動車。アルトワークスやミラ ターボと言ったホットハッチな軽自動車で走り回っていた方も少なくないかもしれません。

以前の軽自動車は、コンピューターのチューニングや吸排気の改造によりハイオク仕様にできたり、パワーアップさせることが比較的難しくない車でした。東京モーターショー2015に登場した新型アルトワークスのように現代にも「速さ」を売りにした車種はラインナップされていますが、以前のモデルとは異なり、手を加えてエンジンを速くする、といった事は難しい様子。これらの軽自動車は昔と今で、どのように異なるのか?
Chapter
速い軽…アルトワークスやミラターボ達
低燃費で環境に良いエンジンとは?
一般化されたCVTはどうなのか?
新時代の軽スポーツ達

速い軽…アルトワークスやミラターボ達

20年近く前、軽自動車にも「新規格」が導入された頃から車体の強度も高まり、ATも4速化されるなどそれまでの安っぽさから脱却した変化がありました。この頃の軽自動車はアルトワークスやミラターボなどに代表されるように、ホットハッチと呼ぶにふさわしい速さを持ち合わせていました。

これらのモデルは、エンジン本体に旧来からのシンプルな構造を引き続き搭載しており、コンピューターのセッティングを変更したり、吸排気パーツを取り付ける事で見違えるほどの速さを実現する事が出来ました。ターボエンジンですら10,000回転近くまで回ってしまうようなハイパフォーマンスな車がこのころはまだ流通している時代だったのです。

コンパクトで軽量な車体にどっかんターボともいえるエンジンを搭載した当時の軽自動車は、トルクステアやスタビリティ不足も楽しさの一部と捉えられる様な独自の楽しさを持ち合わせていました。

低燃費で環境に良いエンジンとは?

時は流れて、現代では20年前と異なり環境への配慮を強く意識する時代となりました。当時よりも値上がりしたガソリン代による経済的事情と相まって、燃費が良いということも改めて軽自動車の大きな強みと再認される様になったのです。

こうなってくるとメーカーも、新車のエンジン設計を効率重視にシフトせざるを得ません。

例えば、スズキの代表的な「K6Aエンジン」のヘッド部分は、よくよく見てみると燃焼室の形状がハート形になっています。
この様な形状は低速トルクを太くすることで、省燃費へとつながるため、現代の軽自動車においてはほぼ採用されています。

つまり、トルク重視の設計になっており、部品の加工やワンオフ作成を行うなら、ベースエンジンは旧来のものを乗せ換えてしまった方が手っ取り早いというのが現状です。
(現行車に対してスワップを行うと、次は排ガス検査などが障害となります※2016年時点)

引き換えに高回転時にはノッキングが発生しやすく、旧来の10,000回転まで回るエンジンからみるととてもマイルドな仕上がりに。この複雑な形状と燃費効率からコンピューターも専用に設計され、昔の様に簡単にいじれば効果が出るというモノでも無くなってしまいました。

一般化されたCVTはどうなのか?

エンジンだけでなく、省燃費装置として普及が進んだCVTもパワーアップさせ難い要因の一つです。MTや一般のATの様に歯車同士を組み合わせるトランスミッションでは、エンジンからタイヤに伝わる動力伝達率がおおむね93~98%程度と効率が良いです。

それに対し、空走で燃費を稼ぐCVTは下限が60%代から最大でも90%強と伝達率に大きな幅があります。
また構造的にベルトという事もあり、システム全体を燃費効率向けとしたCVTは高出力にはマッチングの良くないトランスミッションなのかもしれません。

実際に殆どが660ccの純正馬力に合わせて作られており、チューニングに対する許容は非常に少ないでしょう。

高級車などにおいてもCVTを採用するのは国産モデルがほとんどで、輸入車だとアウディA4のエントリーモデルくらいしかCVTを見かける事はありません。この事からもCVTは高出力への耐久性はやや苦手であると考えられます。

新時代の軽スポーツ達

そんな中でも2015年にデビューしたホンダ S660やスズキからもすでに発売されているアルトターボRS、モーターショーでお披露目となったアルトワークスは現代におけるスポーツモデルとしてこれからのマーケットを支えていくでしょう。

S660はオートマモデルにCVTを採用しながらもマニュアルは軽乗車初の6速を搭載。アルトもターボRSではシングルクラッチのAGSを搭載しています。新型アルトワークスにも待望のマニュアルが設定されることでしょう。

燃費効率や環境性を重視したエンジンは過去のモデルのようにちょっとパワーアップ!という訳にはいかないかもしれません。

しかし、ドライバーが任意でギアを選択しながら車とのコミュニケーションを図ったドライビングができるのが軽スポーツの良いところです。痛快などっかんターボを味わえなくなった点は残念かもしれませんが、新しい軽スポーツモデルで現代の楽しみ方を開拓していくことも重要なことかもしれませんね。

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