今ではほとんど同じ車!? かつてプロボックスとサクシードは何が違ったのか?

昔は何でもバン!

サクシード バン UL“X パッケージ”

今でこそプロボックスとサクシードのみとなったトヨタのライトバンですが、かつてはフルラインナップメーカーらしく、あらゆる車種にライトバンが存在しました。高度経済成長期以前、家族のための4ドアセダンなどファミリーカーはまだまだ贅沢な時代で、"自動車"と言えば仕事兼用のライトバンが主流でした。

おかげで以前から存在した5ドアステーションワゴンが「変わらない外見なら、ライトバンの方が仕事に使いやすくて安い」と敬遠されていたくらいですから、今まで歴史に残る各車とも、ライトバンモデルを設定するのが普通でした。

それゆえトヨタでもパブリカ(後にスターレット)からマークIIやクラウンのライトバンまで数多く揃っていたのですが、高度経済成長期でバンより乗用車の販売が伸び、バブル景気の初期あたりからは、ライトバンのみモデルチェンジせず旧型を生産・販売するようになっていきます。

やがて車種そのものもスターレットバンとカローラバンを統合したカローラバン/スプリンターバンと、コロナバン、マークIIバン、クラウンバンを統合したカルディナバンに集約されました。

そして21世紀に入ると、初代ヴィッツと同じプラットフォームを使ったほぼ同型の「プロボックス」(カローラバン/スプリンターバン後継)、「サクシード」(カルディナバン後継)の、実質1車種に統合されていくのです。

「打倒!ADバン」に燃えるトヨタ(別にそれまでも負けていませんでしたが)は、「プロボックス対ADバンのゼロヨン勝負」などというプロモーションビデオまで作り、気合の入れ方が1台…2台でしたが。問題はハタから見るとこの両車、全くクラスの異なる車の後継モデルでありながら、ほとんど何も違わなかった事です。

前期型プロ/サクは後継車としての過渡期だった

そんなプロボックス/サクシードですが、ほぼ同じクルマとはいえそれぞれのルーツが異なった事から、一度に同型となったわけではありません。

カローラ店でカローラバンを、ネッツ店でスプリンターバン(その昔はパブリカバンやスターレットバン)を購入していた法人ユースにとっては、初代ヴィッツと同じNBCポラットフォームを採用していた「プロボックス」は、従来通りのサイズでビジネスユース向けに使い勝手の向上を極め、ADバンに対抗できるライトバンとしてプロボックスはすんなりと迎え入れられました。

問題は「サクシード」の方です。以前は比較的大きなライトバンを使っていたトヨタ店(かつてはクラウンバンやカリーナバン)やトヨペット店(かつてはマークIIバンやコロナバン)の顧客にとっては、大・中型ライトバンの後継がカルディナバンの1車種しかないというのも寂しい事実ですが、さらに車格の小さい「サクシード」ともなると、積載能力の面でやや難が出るのは確実でした。

性格の異なった前期の「プロ/サク」

プロボックス ワゴンF“エクストラパッケージ”

そのような事情から、かつての「プロボックス」と「サクシード」には、先代のキャラクターをある程度考慮した作り分けがなされていました。

すなわち、カローラ店やネッツ店ではミドルサイズとなる「プロボックス」に対し、トヨタ店やトヨペット店で「もっとも小型で安価」なサクシードには電動ドアミラーなどの快適装備が一部簡略化され、標準装備の内容が異なりました。

その代わり、サクシードは少し膨れ上がったような形状のリアハッチを採用し、プロボックスより荷室長を200mm稼いだのです。わずかな違いでしたが、それにより「サブロク」(三尺×六尺)と呼ばれるサイズで一般化していた、加工前の鉄板や木の合板、それに畳の積載を容易にしました。

さらに最大積載量もプロボックスの400kgに対し、サクシードはカルディナバンの500kgには及ばぬながら、それに近い450kg(2WDのみ。4WDは400kg)を確保していたのです。

他にも若干外装・内装の違いはあるものの、プロボックスとサクシードを一瞬で見分ける唯一のポイントがこのリアハッチであり、ノッペリしていればプロボックス、少し膨れていればサクシードとなります。

ナンバー付きレーシングベースにはプロボックスワゴンが最適!

また、外観的な違いでは無いのですが、5ナンバーバンの「プロボックスワゴン」には同「サクシードワゴン」には存在しないMT(マニュアルミッション)の設定があります。

そのため、「全日本プロボックス/サクシード選手権(JSPC)」などのレース用ベース車や走行会などに使用する際、4ナンバーの1年車検や任意保険が高額なのを嫌う場合には、プロボックスワゴンのMT車を探してベース車とするのが最適です。

今ではプロボックスとサクシードの違いが薄れている!?

そんな違いのあったプロボックスとサクシード。しかし、2013年に5ナンバーワゴンが両者とも廃止された後、2014年8月のビッグマイナーチェンジで車体が完全に統合されました。

外観が基本的にはキープコンセプトながらも大きく変わり、全車CVTとなるだけでなくプラットフォームすら変更されるというフルモデルチェンジ同然の変化でしたが、新型のBプラットフォーム自体が旧型のNBCプラットフォームのマイナーチェンジ版である事から、フルモデルチェンジ扱いとはならなかったようです。

しかし、その変更でサクシードの室内長や最大積載量はプロボックスと同一となり、トヨタ公式ホームページで両車のスペックを見比べても「間違い探し」レベルの違いしか無くなりました。

今や車名やエンブレム以外での唯一の違いは、カローラ店専売 (ネッツ店での取り扱いは2004年3月で終了)のプロボックスには1.3リッターエンジン搭載の廉価版が設定されているくらいです。

また、ライバルも次々と消滅し、今や唯一残った日産のライトバン(およびその各社OEM車)もやはりエンジンや一部装備以外はほぼ同じ「AD」と「ADエキスパート」のみとなってしまいましたが、たとえ仕事用のライトバンとはいえ、車種の極限で街の彩りが減ったように感じるのは残念ですね。

たまに輸入商用車の代表格な1台、ルノー カングーなどを見ると、少し嬉しくなります。

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