あまり見かけなくなった「逆スラントノーズ」…どんな車の採用されていた?

「逆スラントノーズ」とは?

フロントバンパーを頂点として、そこからフロントガラスに向けてボンネットまでも含め、なだらかな曲線を描くようなスタイルが「スラントノーズ」です。

最近の車はエコカーによくありがちな、Aピラー(フロントガラス両端の柱)まで、あるいはそのままリアテールまでを結ぶ「ワンモーションフォルム」が多く、時点で大きく直立したフロントグリルを持つ車が多いくらいでしょうか。

「逆スラントノーズ」の場合は先端がバンパーではなくボンネット先端、あるいはそう見えるようにデザインした上で、フロントグリルが上に行くに従い、前に傾斜するようなデザインがそう呼ばれます。

「スラント」とは「傾斜」の意味なので、逆に傾斜したノーズというわけですね。

外車の典型的な例で言えば1980年代までのBMW(写真上。BMW2002ターボ)、日本車だと、明らかにその影響を受けたような3ナンバーバブルカー、1990年デビューの初代・三菱ディアマンテ(写真下)などが代表的です。

スラントと逆スラントで揺れ動いた初代いすゞ・ジェミニ

中には長いモデルライフの中で流行やデザイン方針が変わってしまい、同じ車なのに年代でスラントノーズだったり、逆スラントノーズになった車もあります。

その典型的な例が初代いすゞ・ジェミニ(デビュー当初は「ベレットジェミニ」)で、GMグループの一員としてオペル・カデットベースの世界戦略車「Tカー」として1974年に生まれました。

「Tカー」のアジア・オセアニア担当として、「いすゞ・ジェミニ」、あるいはオーストラリアでは「ホールデン」ブランドで「ホールデン・ジェミナイ」(写真上)としていすゞで生産・販売された同車ですが、長いモデルライフの中でデザインが二転三転します。

当初はオペル・カデットと同じ逆スラントノーズに丸目二灯のヘッドライト、それがマイナーチェンジで角目ニ灯になり、1979年にはベースのカデットがFF化した後も継続生産・販売するためのビッグマイナーチェンジでスラントノーズの丸目ニ灯に。

最後はスラントノーズの角目ニ灯(写真下)となって、1985年にFFジェミニがデビューしてからも1987年まで生産されたのでした。

なお、FF車が市場に受け入れられるか不透明だった当時は、トヨタのコロナやカリーナなど、FRの旧モデルとFFの新モデルの併売は珍しくなかったのです。

最近の逆スラントノーズ車

以前と比べれば減少した逆スラントノーズですが、主にスポーツカーでは精悍なスタイルに役立つため、全く絶滅したわけではありません。残念ながら日本撤退を発表したため、今後は日本正規導入が見込めないフォード・マスタングGT(写真上)など典型的、かつ古典的な逆スラントノーズです。

マスタングのように「古き良きモデルの伝統を受け継ぐ」あるいは「リバイバルデザイン」のような車では、むしろ逆スラントノーズで有り続ける必要があると言ってもいいでしょう。

日本車では割と最近までギャランフォルティスやランサーエボリューションXで「ギャラン伝統の逆スラントノーズ」を守ってきた三菱ですが、相次ぐモデル廃止で今ではRVR(写真中)にその名残を残すくらいです。

意外なところでは、最近のマツダのアイディンテティとも言える、直立しているような五角形フロントグリル「シグネチャーウイング」があります。

その中でもCX-3などは、上端部分がやや突き出た逆スラント風ノーズとも言えるかもしれません。

走りのイメージかエコのイメージか

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逆スラントノーズは現在の車から減りつつある、という意見もありますが、端的に言えば過去のBMWが逆スラントノーズをやめた事や、採用していた車の絶版によって「何となく見かける事が減った」程度です。

現実には「走りを売りにするメーカーではデザインアクセントとして未だに有効」という魅力があります。

その逆に「エコを前面に打ち出したいメーカーとしては、いかにも空気抵抗が少なそうなスラントノーズを使ったワンモーションフォルムを好む」という程度の違いです。

他にも「歩行者衝突安全の観点からは、逆スラントノーズだと歩行者を串刺しにしそう」ですとか、「衝突時にボンネットが外れやすくて、そのままフロントシートの乗員に刺さりそう」というイメージもあったかもしれません。

しかし現実には安全性との両立が可能だからこそ今でも逆スラントノーズを採用しているメーカーがあるわけですし、空気抵抗についても、それこそ走りを売りにするメーカーが空気抵抗の大きいデザインを採用するか?という疑問が出ます。

そう考えると、昔のBMW635CSiほどではありませんが、同じBMWで「スポーツエコカー」の象徴とも言える最新のvが、逆スラントノーズに回帰している姿は興味深いものがあります。

結局のところ、メーカーや車の魅力を引き出すメリットこそあれど、「究極のエコカー」でも作ろうと思わない限りは、そうそうデメリットなど無い、と言えるでしょうね。

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