高回転を実現するロータリーエンジン…その最高回転数の限界はどれくらい?

ロータリーエンジンにおける「回転数」

無題

時々誤解されますが、ロータリーエンジンにおける「エンジンの回転数」とは、「ローターの回転数」ではなく、ローターにギアを介して接続された「エキセントリックシャフトの回転数」です。

それが普通の自動車用ピストンエンジンにおけるクランクシャフトの回転数に相当します。

ローターが1回転する間にエキセントリックシャフトは3回転していますので、ローターの回転数は大した事が無いようにも思えます。

しかし、ローターの先端3箇所にあるアペックスシールの移動速度は、マツダ13Bロータリーの場合でもF1のピストンスピードすらも大きく上回り、1.3倍から2.2倍程度の速度で動いているので、回転数の増加というのは容易ではありません。

こと「エンジン出力軸の回転数限界」という意味では、ロータリーエンジンはほぼ頭打ちと言えます。

エンジン回転数におけるロータリーエンジンの特性

それではロータリーエンジンが高回転に強い、気持ち良いというのは都市伝説かと言えばそうではありません。「燃焼回数の増加に対するトルク変動が小さい」…つまり高回転まで回した時、滑らかに吹け上がっていきます。

それが「ロータリーエンジンはモーターのように回っていく」と言われるフィーリングの要因です。

ピストンエンジンのようにバルブやカムシャフトと言った複雑な機構を持たないので、同じ出力を発揮するのに部品点数は少なく、エンジン本体に限って言えば小型軽量なのも魅力です。現状で最後のロータリーエンジンを主機関とした「マツダRX-8」の13Bロータリーでも、フロントミッドシップにコンパクトに収めているにも関わらず、純正で9000回転からレッドゾーンという高回転を実現しているのです。

ロータリーの回転数限界はどこに?

一般的に、ロータリーエンジンの限界回転数はターボ車で9250回転、NAで11000回転程度と言われています。前述した通り、ローターの回転数はその3分の1ではありますが、アペックスシールの速度がピストンエンジンよりはるかに速い事から、市販エンジンと比べてそれほど回転数を上げられるわけではありません。

ル・マン24時間レースで優勝した事で知られる「マツダ787B」はNA4ローターのR26Bロータリーを搭載し、10000回転で800馬力を目指しましたが、そこまでの高回転を多用した上で24時間レースを完走できるだけの耐久性を持ったミッションが無かったので、9000回転で700馬力までチューンしています。

単純に高回転まで回せればいいというものではないですが、耐久レース以外のスプリントレースで闇雲に高回転を狙う事も無いのです。

ピストンエンジンであればバルブなど動弁系の強化で12000回転や15000回転と言った超高回転のレーシングエンジンもある一方で、9000~10000回転までを得意としながら、それ以上の高回転ハイパワー化が難しいというのが、ロータリーエンジンの限界と言えます。

ハイパワーと環境性能の両立のために

「限界はあるが、高回転が得意」なロータリーエンジンは、ピストンエンジンと比べれば低回転での燃焼安定性が悪く、トルクも低いのが弱点です。

ピストンエンジンのように固定された燃焼室を持たず、ローターの回転によって常に移動し続けるため燃焼温度が上がらないため、排ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度が低いという利点はあるものの、出力に対する熱効率が良くない、つまり燃費が悪いという欠点もあります。

マツダの次世代ロータリーエンジンはローターの厚みを増して排気量を上げ、トルクを増すという対策を採用しているという話ですが、その方式ですと燃焼室の拡大でさらに冷却損失が発生します。構造が簡単なので、レーシングカーやスポーツチューニングロータリーでは4ローターや6ローターと言ったローター数の増加で排気量を拡大していますが、それでは出力を増強しても燃費は稼げません。

そのため、ロータリーの将来としては、高回転でのトルク変動や振動の少なさを生かし、レンジエクステンダーEVの発電用エンジン(アウディやマツダが提案と)する方法が現在は有力かと思われます。

また、水素燃料の「水素ロータリーエンジン」も以前からマツダによる開発が進んでいますが、水素インフラの解決にはFCV(燃料電池車)の普及を待つしか無いので、もう少し先の未来になると思います。

次世代のロータリーエンジンはスポーツEV用の発電用ロータリーとなり、「高回転でのフィーリングが最高」と言われたロータリーエンジンとは別物になる可能性も多いにあると言えるでしょう。

Source: www.mazda.com | minkara.carview.co.jp | ja.wikipedia.org | flog2000.blogspot.jp | recharge.jp |

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事