なぜBMW 1シリーズには「M1」が無いのか?

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BMWのセダンとクーペには、1シリーズから6シリーズまで全てに、「BMW M」が開発したハイフォーマンスバージョン「M」が設定されています。

ラグジュアリーな大型高級セダン「7シリーズ」は運転手付きのショーファードリブン的要素も強いので「M」が設定されていますが、それ以外は「M2」から「M6」まで。あれ…「M1」は無いのでしょうか?
Chapter
BMWの「M」たち
実は存在した1シリーズの「M」
その昔に存在した「M1」はBMWの黒歴史?!
そして「1シリーズMクーペ」の後継は舞い降りた!

BMWの「M」たち

BMWのモータースポーツ/ハイパフォーマンスカー部門「BMW M」が開発した市販乗用セダンとクーペには、ほぼ例外なく「M」から始まる、ハイパフォーマンスカーが存在します。

「6シリーズ」と「5シリーズ」なら560~600馬力の4.4リッターV8ツインターボ搭載の「M6」と「M5」。「4シリーズ」と「3シリーズ」なら431馬力の3リッターV6ツインターボ搭載の「M4」と「M3」。そして来年2016年1月のデトロイトショーが正式デビューとなる、370馬力の3リッター直6ターボ搭載の「M2」が「2シリーズ」のMです。

オープンスポーツのZ4や、SUVのXシリーズ、FFの2シリーズツアラー/グランツアラーには「M」が無いので(かつてのZ3とZ4にはMがありましたが)、FRの一般乗用モデルで「M」が無いのは1シリーズだけになりました。…本当にそうでしょうか?

実は存在した1シリーズの「M」

日本で販売されている「1シリーズ」の最上級モデルは、326馬力の3リッター直6ツインターボを搭載したM135i、「BMW M」がエンジンチューニングを施した、立派なハイパフォーマンスモデルです。

しかし、それが1シリーズの「M」…ではありません。「M135i」は確かに頭に「M」がつきますし、「BMW M」が関わっているには違いありません。1シリーズ以外にも頭に「M」をつけたモデルは存在し、それらは「M Performance」と呼ばれる、通常モデルとMモデルの間を埋める「Mテイストなモデル」に過ぎないのです。

実は1シリーズの「M」として、初代の1シリーズクーペをベースに、340馬力を誇る3リッター直6ツインターボ搭載モデルが存在しました。日本には未導入だった、その名も「1シリーズMクーペ」(写真)。

「M1」という名前こそつかないものの、「BMW M」がエンジンだけでなく足回りやブレーキ、ハンドリングもチューンした、れっきとした「M」です。日本未導入の理由については諸説ありますが、「1シリーズMクーペ」には6MTしか設定が無く、8ATか7速DCTしか売れない日本市場での需要が見込めない、という理由が有力です。

あるいは「M1」と名乗っていれば許された可能性もありますが、それをしなかったのはなぜでしょう?

その昔に存在した「M1」はBMWの黒歴史?!

大昔の話で言えば、40年近く前に「M1」はありました。

まだ「BMW M」が「BMWモータースポーツ」と名乗っていた頃、グループ4レースでポルシェ934に、グループ5シルエット・フォーミュラレースでポルシェ935に勝つために作ったBMW初のスーパーカーとして1978年にデビューしたのが「M1」です。

このM1がまた「栄光なき転落人生」を歩んだ車で、最初はスーパーカーにふさわしい4,5リッターV12エンジンを用意したものの、オイルショックであえなくボツになったのがケチのつき始め。歴史こそ長いもののミッドシップ・スポーツなど作った事が無いBMWは、とんでもないパートナーを連れてきます。

創業者はモータースポーツ嫌い、当時はとにかくスペックやスタイルの派手さだけが売りだった…イタリアのランボルギーニ!当初は順調に開発が進みました。

問題は生産工場に入ってから…。グループ4レースへの出走条件は「連続する12ヶ月に400台を生産」だったのですが、生産台数とても追いつかず、焦ったBMWはランボルギーニごと買収して事態解決を図るも頓挫し、ほどなく提携解消。イタリアでは外板の取り付けと塗装だけ行い、後はBMWモータースポーツで組み立てと残りの仕上げをする羽目に。

結局M1のデビューから2年後、1980年にようやく目標の生産台数を達成!しかしグループ4は1981年で終わって新しい「グループCレース」が始まる事になったので、「M1」はポルシェ934とロクに戦う事も無く、ただドタバタしただけの数年間で終わったのでした。

なぜか1982年と83年のツール・ド・コルスに、フランスのBMWディーラーがラリー仕様の「M1」を走らせたそうですが(写真)、レースで大活躍するはずだったM1の戦績はそれが最後です。

そんなわけで、BMWとしても1シリーズのハイパフォーマンス版として「M1」を考えなかった事は無いと思うのですが、当時のM1の歴史を鑑みて登場していないのかもしれません。

そして「1シリーズMクーペ」の後継は舞い降りた!

結局世に出る事の無かった新「M1」ですが、「1シリーズMクーペ」の後継車は既に登場しています。

そう、2015年10月発表、2016年1月デトロイトショーデビュー予定の「M2」が「1シリーズMクーペ」の後継です!そもそも「1シリーズ」が2代目になる時にクーペモデルを分割したのが「2シリーズ」なので、「M2」は「1シリーズMクーペ」の直系なのでした。「M2」には日本導入時期こそ未定なものの、6MTだけでなく7速DCTが準備されているようなので、今度こそ日本導入が期待されます。

そして、ハッチバックだけ残った「1シリーズ」にも、いつの日か「M1」が登場する…かどうかは、今はまだ誰にもわかりません。マクラーレンと共同開発しているというスーパーカーに「M1」の名が準備されているという噂もありますが…。
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Source:
www.bmw.co.jp
ja.wikipedia.org
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