かつて存在したR30スカイラインの5ドアセダン…現代にも続く5扉スカイラインとは?

日産 スカイライン 2000GT-X

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R30型スカイラインは特にFJ20型4気筒DOHCエンジンを搭載した「RS」シリーズの人気が高く、知名度もこのRSを中心に広がっていっているようなところがありますよね。しかしその反面、当時、バリエーションとしては思いのほか幅広く設定されていたR30スカイライン。ほとんど人気は出ませんでしたがそれ故にレアな5ドアセダンがありました。
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ちょっと都会的な雰囲気のハッチバック?「5ドアセダンGT-E・X」
今では考えられないスカイラインの商用バン
その後の5ドアスカイラインはこのように変遷

ちょっと都会的な雰囲気のハッチバック?「5ドアセダンGT-E・X」

※ 画像は通常のR30 スカイライン

5ドアハッチバックというと日本でもようやく市民権を得たようなところがあって、このR30スカイラインの当時はまだまだ人気、知名度とも低空飛行といった印象でした。そのためか、同じR30でありながらこのハッチバックボディには4気筒の強力エンジン、FJ20が搭載されることがなく、L20ET型直列6気筒SOHCターボが最上級でした。その上でハッチバックという名称を用いず「5ドアセダン」という呼び方をしていたのでもあります。

スカイラインはそれまで、やや土着的でドメスティックな印象のスポーティカーというキャラクターがあり、それはそれで人気を得ていたわけなのですが、しかし時代の変化とともに新しいキャラクターを模索し、都会的で大人も楽しめるスポーツセダンという方向性を定めることになります。

その結果がこのハッチバックボディであるところの、「5ドアセダン」に現れていると考えていいと思います。あえて台数が出ることを期待できない車型ではあるものの、それでも設定して売り出したのにはスカイライン全体のイメージを新しいものに、新しい風を取り入れたいという意思の証だったのではないでしょうか。
いかがでしょう。まごうかたなきR30スカイラインでありながら、トランクリッドではなくCピラー頂点からなだらかに後方へ下がるラインとシックスライトがちょっと新鮮に思えます。明るく広い車室をイメージさせて、一般的なR30スカイラインの持つイメージとはちょっと違って見えます。

また、この5ドアセダンはスカイラインとしては初めて、スペアタイヤにテンパータイヤを採用。しかもその空気圧の減少を警告等で知らせるというシステムまで備わっていたのも特徴のひとつです。
※ 画像は2000ターボRS

インテリアの居住スペースは基本的に4ドアセダンに準じています。カラーリングやシートもGT系と同じものですが、メーターパネルに目をやるとなにやらアンバー色のレタリングがスポーツ心を忘れていない、そんな雰囲気を感じますよね。

しかしながら当時はまったくの不人気グレード。今も生き残っているとしたらかなりのレア車にまちがいありません。ちょっとお目にかかってみたい一台です。

R30スカイラインはこうしてセダンや2ドアの人気に隠れたレアモデルも存在する、いうなればそれだけワイドなバリエーションを設定していたということになりますが、このR30スカイラインには忘れてはならないもう一車型が存在しますよね。

今では考えられないスカイラインの商用バン

※ 画像は2000GT-X

スカイラインのバン、ワゴンボディはじつは二代目から七代目まで存在していましたが、もはや今では忘れられた存在に近いかもしれませんね。当時はやはり、まだステーションワゴンは商用バンとあまり区別されていなかったようなところがあって、はっきりと乗用ワゴンという車型が認知されるようになったのは、スバル・レガシィの功績が大きかったといえるでしょう。

そんな時代の「エステート」ですから、どちらかというと商用ユース、ビジネスカーとして用いられるケースがほとんどで、ボディのサイドには企業の名前がレタリングされていたスカイラインバンが昭和後期の世の中を忙しそうに走っていたものでした。

ゆえにエンジンもハイパワータイプの搭載はされず、もっぱらZ18型4気筒エンジンのおとなしい自然吸気仕様で、スポーティイメージのスカイラインからはちょっと想像のできない庶民的なクルマになっていたというわけです。
商用車を示す「4」ナンバー、そしてドアに書き込まれた社名看板…スカイラインエステートの多くはこのようなスタイルで使われていたものです。そしてある程度の需要もあったことからこのモデルは1990年2月まで生産され、その後をアベニールにバトンタッチすることになります。R30のあとのR31にもワゴン、バンともにありましたが、ややサイズアップし、荷室容量などは増えたものの扱いやすさはこちらのほうが上、という判断だったものと思われます。

しかしいかがでしょう。ルーフまで高く伸びたリアサイドウインドウや傾斜させたリアゲートなど、なかなかのデザイン性があるようにも見えます。これは世が世なら、ワゴンブームに乗じてけっこうな人気が出ることになったかもしれませんよね。

なんていうことを考えている人は筆者だけではなかったようでして…。
※ 画像は通常の鉄仮面

R30型スカイライン・エステートには本来存在しない鉄仮面マスクの仕様にしているオーナーさんなどがいるようです。そして中には外観だけではなく、エンジンまでRSのFJ20ターボエンジンに載せ変えてしまうというツワモノまで存在するようです。

こうして見ると、ますますサマになってしまうスカイラインエステートのRS仕様。こうした仕様が考えられる、あるいは受け入れられるのもワゴンボディが広く認知されるようになったから、という面が大きいですよね。あの頃にはちょっと考えにくかったことです。

この後のR31型ワゴンボディにもRB26などを積み込んでしまうスワップも存在したりして、レア系ボディにハイパワーエンジンという組み合わせはチューニングマニアにとっては恰好のターゲットとなっているようです。

その後の5ドアスカイラインはこのように変遷

※ 画像はR31 スカイライン GTS-R

R31型スカイラインのステーションワゴンが産まれ、グレードの高いGTパサージュターボという仕様では、RB20ET型という珍しいSOHC直列6気筒ターボエンジンを搭載しています。このエンジン、意外にもターボラグが少ないと当時は言われていて、素直な性格と評価が高いものがありました。ちなみに4段オートマチックのみの設定です。

これを5段マニュアルに換装したり、RB20DETに載せ変えたり、RB26にしてしまったりと、かなり幅広くチューニングされています。しかし原型はウッドのデコレーションなどが施された豪華仕様というのが本来の姿。当時の7thスカイラインのややハイソカー寄りの性格が見えてくる部分です。
その後、クーペ、セダンのみのR32、R33の時代は、じつはアベニールがスカイラインの5ドアセダンやエステートの代役という位置づけでした。しかしレガシィなどの台頭、折からのRVブームもあって、このクラスにもしっかりとしたステーションワゴンが求められるようになります。

そこで日産が送り出したのがスカイラインをベースに作った「ステージア」でした。スカイラインというよりローレルにも近くて型式も「C34」が割り振られていました。しかし走りのイメージも強く、実際にハイパワーエンジンを搭載し、また、RB26を搭載するモデルも設定されるなど、明らかに「スカイライン・ワゴン」という性質が与えられていたことがわかります。

二代目のステージアには同時期のV35型スカイラインには存在しなかった2.5リッターツインカムターボが設定されるなど、むしろこちらのほうがスポーティ、というキャラクターだったりもしました。
そして、現代のスカイラインにもリアゲートを備えるモデルが存在します。それは「スカイライン・クロスオーバー」。もはやセダンより一つ前の世代になってしまってはいますが、2015年12月現在立派なカタログモデルです…なんていう言い方をしなければならないくらい、これもまたちょっとレアなモデルになってしまいましたよね。

ハッチバック、エステートというより、これはリアゲート付のSUVという性格が正しいですよね。トランクルームも必ずしも広さや積載量を重要視したものではなく、居住空間やシートもまた同様。どちらかというとパーソナルカーにちかい性格です。

しかし通常のスカイライン・セダンと比べて、やはり個性的で独特のキャラクターを持つというところは、かつての5ドアセダンやエステートにも通ずる部分なのかもしれません。
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