2017年発売?!最新技術の結晶、レクサス LF-FCは何がすごいのか?

LF-FCは次期レクサスLSのデザインステディ?

レクサス LF-FC

2006年の登場から既に9年が経過している現行のF40型LSは早急なモデルチェンジを迫られている事もあり、東京モーターショーで公開されたLF-FCそのものではなく、デザインやレイアウトを流用した、ガソリンエンジン、またはハイブリッドモデルとして早ければ来年、遅くとも再来年には発売される事が予想されます。

市販モデルのデビュー時には、既に2015年10月1日に「クラウン」のマイナーチェンジで設定された運転支援システム、またはその発展型が搭載されるのは間違いないところです。また、燃料電池を搭載したFCVモデルも、まずは官公庁や法人向けの限定モデルとして市販が開始されるのではと思われます(一般販売が時期尚早と思う理由は後述)。

まず一般向けとしては、LF-FCそのものは現行LSのマイナーチェンジ時に導入されたフロントのスピンドル・グリルをさらに強調したデザインで次期LSの方向性を示唆した、デザインステティモデルと言っていいでしょう。特に2000mmに達する全幅は日本では大きすぎる(現行で1875mm)ので、特にホイールアーチの張り出しや、フロントエンドのデザイン処理は市販モデルではだいぶ抑えられると思います。

“LF-FC”に見る、「TNGA」の成果

さて、公開されたLF-FCの内部デザインモデルについて、展示車の仔細な画像が紹介された記事を見ると、ドライブトレーンは後輪駆動ベースのFCVとして理想的な重量配分を追い求めているのが伺えます。

前輪車軸上には燃料電池とパワーコントロールユニットを収め、4WDとしてフロントの駆動力を担うインホイールモーターを前輪に配置、前後輪の間には大重量の高圧水素タンクを車体中央部の低い位置に収めるため、左右中心線、および後輪手前床下左右に伸ばしたT字型に配置しています。

後輪車軸上の床下に大重量のモーターを、そしてその上にはおそらく実用型ではニッケル水素式になるであろうバッテリーが搭載。

恐らく、通常のガソリンエンジンやハイブリッドのモデルでは、フロントにガソリンエンジンが置かれるのはもちろんですが、FCVモデルで水素タンクがある後部座席床下や、モーターがある後部床下には、大容量のニッケル水素バッテリーが置かれる事になります。

そして、水素高圧タンクが中心線上に置かれている以上、リア2名乗車の4人乗りにならざるをえないFCVモデルに対し、ガソリンエンジンとハイブリッドモデルでは左右中心線上の水素燃料タンクを省略し、リア3名乗車の5人乗りも設定されると思われます。

FCVにせよ通常モデルにせよ、トヨタの新設計アーキテクチャ「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)に基づき、可能な限りの低重心化と、車体中心に近く、オーバーハングを極力軽くする重量物配置により、走行性能を相当に向上させる努力が払われている事が、このコンセプトモデルからも伺えるのです。

おそらく次期LSは、従来通り高い上質感を持つ高級ラグジュアリーセダンであると同時に、優れた走行性能をもつスポーティセダンとしても知られるようになるでしょう。

FCVとしてのMIRAIとの違い

FCV(燃料電池車)として見た場合には、トヨタには既に比較対象として”MIRAI”が存在しますが、LF-FCとは駆動方式に起因するレイアウトの大きな差異だけでなく、「TNGA」導入前に開発された事による設計思想の違いも見受けられます。

まず“LF-FC”ではリア床下にマウントされたモーターが、FFのMIRAIではフロントのエンジンルームに収まります。駆動伝達ロスや、駆動系をコンパクトに収める事を考えれば当然ですが、そこから先がLF-LCと異なるところです。“LF-FC”ではリアに配置したモーターとは逆に、フロントへ燃料電池スタックとパワーコントロールユニットを搭載し、前後重量配分の最適化を行いました。

しかしMIRAIではパワーコントロールユニットはモーター併設でエンジンルームに、燃料電池スタックは前部座席の床下に搭載しており、重量物を前部に集める傾向があります。さすがに水素タンクは車両後部床下に収めていますが、前述のMONOistの記事によれば、それでも前後重量配分は52:48と悪くは無いものの、若干フロント寄りになっている他、ラゲッジ容量もやや犠牲になっています(基準となるゴルフバッグが定員の4人分ではなく、3人分の積載にとどまる)。

もし「TNGA」でMIRAIが開発されていたら

トヨタとしてはMIRAIは十分な走行性能を持つと考えているようですが、「TNGA」導入後の設計であれば、後部の水素タンクをLF-LC同様に前後輪間へ配置したかもしれません。

その場合、後部に水素タンクよりはコンパクトな燃料電池スタックやパワーコントロールユニットを前部から移設し、前後重量配分をさらに適正化すると共に、ラゲッジ容量の確保まで狙えたかもしれないのです(あるいは、MIRAIのサイズでは自由度に限界があったのかもしれませんが)。

MIRAIは「TNGA」以前の古い設計アーキテクチャの末期に設計されたものであるため、“LF-LC”と比較した場合は、まだ若干ながら熟成不足の感があります。対してLF-LCには、FCVでも走行性能を追求していくトヨタの決意が伺えると言えるでしょう。

ただ、前項でも触れたGIGAZINEの記事にある、LF-FCのパワートレーン画像を見ると、床下のモーター上にあるバッテリーが、その配置や大きさから、4人の定員分のゴルフバックを積載するのに必要なラゲッジスペースを圧迫する事は容易に想像がつきます。この面をクリアするまで、FCV版の次期“LS”の一般向け販売には、まだ少し猶予が必要かもしれません。

自動運転技術の一部「ITS Connect」は、実用化済

LF-FC

LF-FCの展示では自動運転システムの詳細までは掲載されていませんでしたが、トヨタによると、そのコンセプトは以下4点。
「高度認識・予測判断機能付き運転知能」
「車車間・路車間通信」
「ドライバー状態認識」
「ドライバーと車がチームメイトのように助けあう協調性」

このうち「車車間・路車間通信」については、10月1日にマイナーチェンジを受けた“クラウン”にオプション設定された、「ITS Connect」で既に実用化が始まっています。

「ITS Connect」とは、道路と車、あるいは車同士の直接通信により、見通し外の車や人など、車のセンサーでは捉えきれない情報信号情報をドライバーに知らせる安全運転支援システム」です。道路インフラ側にもセンサー(感知器)や無線装置を搭載する事により、「車車間・路車間通信」を実現しており、次期LSにもこの「ITS Connect」そのもの、またはその発展系が搭載されるのは間違いないでしょう。

トヨタが目指す、2020年頃の自動運転実用化

「高度認識・予測判断機能付き運転知能」「ドライバー状態認識」「ドライバーと車がチームメイトのように助けあう協調性」についても、トヨタは「Mobility Teammate Concept」として発表しています。

トヨタによると、「Mobility Teammate Concept」を実現する重要な技術の柱とは、
①自動運転時に予測判断を行い、高度な認識技術を持つ「運転知能」
②安全運転を支援するITS Connectなどで車車間・路車間通信を活用していく「つながる」
③ドライバーとクルマが協調し、ドライバーの状態認識を取り入れながら運転の受け渡しなどを行う「人とクルマの協調」
の3つで、これはそのまま“LF-FC”の自動運転コンセプトそのものです。

このコンセプトに基づいて開発された、高速道路自動運転車「Highway Teammate」は既に2015年10月にはメディア各社も招いて行われたデモ走行も行われており、着々と実用化に進んでいます。このコンセプトの中で「ITS Connect」も含めた細かい技術を統合していく事で、2020年には高速道路での自動運転の実用化を、その後一般公道(いわゆる下道)での実用化を進めていくものと思われます。

「ITS Connect」については、プリウスにも搭載が予定されており、MIRAIにもいずれ搭載されるでしょう。ただし、車輌側のシステムは搭載されるだけで済みますが、今後は道路側のインフラの整備も含めた官民による努力が必要です。

LF-FCは僅か数年後には実現する新技術の結晶

LF-FC

一見、展示車両を見ると実走しない「ハリボテ」のように見えるLF-FCですが、MIRAIとの比較に見る設計アーキテクチャの進化や、トヨタの目指す自動運転システムを深く掘り下げる事で、実に魅力的な提案である事が伺えます。

その「TNGA」アーキテクチャによる実用車は次期“プリウス”から市販が始まりますし、「ITS Connect」も既に市販モデルへの設定が始まっているので、次世代というより、トヨタにとっては既に実用化した技術なのです。もちろんコスト面やインフラ面で普及には時間がかかりますが、初期の電気自動車が発売された2010年に比べ、たった5年であちこちで充電ステーションを見かけるようになった事を考えると、水素ステーションや自動運転のためのセンサーや通信システムの整備も意外と早く進むのかもしれません。特に2020年の東京オリンピックに向け、まずは首都圏や東名阪での整備が急ピッチで進むでしょう。

車両側のFCVや自動運転システムの技術も、フラッグシップモデルとしてある程度コストを度外視できる次期“LS”が市販された時に、どこまで盛り込まれるか、あるいは発展しているのか、期待して待ってみましょう。

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