水平対向エンジンのドロドロ音とは何だったのか?なぜ消えた?

特殊なレイアウト故の副産物だった「独特のサウンド」

一般的なエンジンは、上下にピストンが動くわけですが、水平対向エンジンは文字通り、水平に、そして向かい合うピストン同士が左右に動いています。そのために向かいあうピストンが慣性力を「打ち消す」作用が生まれ、振動の少ない独特のフィーリングが得られているわけです。

その一方で、「ボボボボボ…」といった独特の排気音があった事も知られています。この排気音の原因というのが、「不等長の排気管による排気干渉」のノイズであったとされています。

ある意味では構造上の「デメリット」であるこの排気ノイズですが、その音も愛すべきボクサーサウンドとして好まれており、ボクサーエンジンとスバルというメーカーの特殊な立ち位置があるのかな、とも考えるところですね。

【動画】インプレッサのボクサーサウンド

消えた!?ボクサーサウンドの理由

水平対向の構造から、排気管を左側の2シリンダー、右側の2シリンダー、片側ずつでひとつにまとめ後方に排気するレイアウトをとっています。こうすると、どうしても全シリンダーで同じ長さの配管取り回しがどうしてもできず、結果不等長になってしまう、という事があります。そのためにエキマニの集合部で、ぶつかり互いに抵抗となってしまう排気干渉が発生します。この干渉こそが、独特の「ボボボボ…」という音の原因なのです。

デメリットとしては、排気抵抗が大きくなるという事で、エンジンが回りにくくりなり、出力が落ちてしまう事が挙げられます。これを解決するためには、エキマニの長さを均等に近づける事が必要です。しかし排ガス規制を通過させるために必要な触媒が大きかった事や、エンジン内のレイアウトから等長化はなかなか難しかった事から、ボクサーサウンドは確立されていました。

SUBARUテクノロジームービー 「水平対向エンジン篇」

しかし、エンジンの構造を見直すことによって、それまでかさばっていた補器類をより小さくする事が出来た、また触媒の排ガスの浄化性能が向上させることが可能になったことで、エキマニのとり回しが、レシプロエンジン並みに均一化する事ができるようになったそうです。そのお陰で前述の排気抵抗が小さくなり、独特のボクサーサウンドが消えた、というわけです。

また排気効率も上がった事からレスポンスも向上しているといえるでしょう。

しかし根強い人気のボクサーサウンド…

先に、ある意味では構造上の欠陥から生まれたのが「ボクサーサウンド」であるということに言及しました。しかし、長年ボクサーエンジンに親しんだ方にとっては「トレードマーク」ともいえる排気音であり、なんとか復活させたい、という声も少なからずあったようです。

なんとこの声に応えたのが、チューニングメーカー「HKS」です。

BRZ(FT86)に採用されているエキマニも前述の技術革新で、等長化されており、排気音は従前のレシプロエンジンと変わらないものです。これをわざわざ「不等長」にカスタムするマフラーを製造したそうなのです。

【動画】HKSが再現、あのボクサーサウンド…

排気効率を「敢えて」落とすわけですから、チューニングとしては合理的でない部分もあるカスタムですが、しかし「あのサウンド」を復活させることでドライビングプレジャーに繋がるといえますし、マフラーカスタムの楽しみ方のひとつ、サウンドの変化を楽しむという部分もあろうと思います。HKSとしてもノーマルよりスペックは上がる、としていますし、非常に興味深いチューニングの方向性といえますね。

また排気抵抗を増やす、という事で低速トルクが若干太くなる、という事もあろうと思います。

 いずれにしてもボクサーサウンドに関しては、「技術の進化・快適性の追求」=ユーザーの満足…に必ずしも繋がらないことがわかる稀有な例かもしれません。

それだけ愛されているのがスバルのボクサーエンジンといえそうです。

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