現行スバルに搭載されているボクサーエンジンは、それぞれなにが違うのか?

ボクサーエンジン FA20

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スバルといえば、水平対向のボクサーエンジンを思い浮かべる方は多いでしょう。 1966年に、国内量産車初となる水平対向4気筒エンジンが『スバル1000』に搭載されてから、およそ半世紀が経過しようとしています。いまなお水平対向エンジンにこだわり続けるスバルの、ボクサーエンジンはどう進化しているのでしょうか?
Chapter
そもそも水平対向エンジンって?
水平対向エンジンのメリット・デメリット
スバルの水平対向エンジンのラインナップ

そもそも水平対向エンジンって?

エンジンには、燃焼室内の爆発エネルギーを受け止めて運動エネルギーへ変えるために、ピストンと呼ばれるパーツがシリンダー内を往復運動しています。この動きがクランクシャフトを用いて回転運動に変換されるわけですが、ここで重要なのはピストンが往復運動をする向きと数です。

通常のエンジンは、ピストンが地面に対して上下に動くようにレイアウトされている場合が多いのですが、水平対向エンジンは地面に対して水平に動くようにレイアウトされています。

しかも、単に横に寝かせているわけではなく、偶数気筒の向かい合うピストンそれぞれが反対側に動くように配されています。

こちらの動画では水平対向エンジンの動く様子が分かりやすくアニメーションで表現されています。確かに、プロボクサーが水平にパンチを繰り出すような動きですね。別名ボクサーエンジンと呼ばれるのも納得できます。

水平対向エンジンのメリット・デメリット

では、まずは水平対向エンジンンのメリット・デメリットをチェックしてみましょう。

水平対向エンジンのメリット

・エンジンの全高を低くできるため、低重心の車両設計が可能
・ピストンが左右対称の動きをするおかげで、4気筒以上であれば1次振動を打ち消しあう
・エンジンの全長を短く設計できる
・ピストンのバランスウエイトが不要なため、クランクシャフトにかかる負担が小さい

重心を低くできることは、スポーツカーとしてはとても大きなメリットですね。

水平対向エンジンのデメリット

デメリットは主に、エンジンの全幅が大きくなるために起こる弊害が目立ちます。

・エンジン幅が広くなるため、設計時に車体側、エンジン側ともに大きな制約を受ける
・上記の理由から、ロングストロークのエンジンは設計し難い
・吸気、排気のラインの取り回しが複雑になる
・ピストン下部は、常に重力にさらされているため、上部との摩耗スピードが異なる

他にも、吸排気ポートの設計に大きな制限があるので、左右のピストンをバラつきなく動かすのは、高度な技術と経験が必要となります。

スバルの水平対向エンジンのラインナップ

FB16“DIT”

レヴォーグ 1.6GT系に搭載されている、スバル初のダウンサイジングエンジン。街乗りから、長距離クルージングまで走りを妥協せずにエコに走れる万能エンジンです。

排気量は1.6Lですが、高効率の小型タービンを採用することで、低回転から高トルクを発生します。また、筒内直接噴射により空燃比を細かく制御。燃費性能も秀逸で、レギュラーガソリン仕様なのでお財布にもやさしいです。

最高出力 :125kW(170ps)/4,800~5,600rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1,800~4,800rpm
ボア×ストローク:78.8×82.0mm
採用車種:レヴォーグ 1.6GT系

FA20“DIT”

レヴォーグ 2.0GT系、WRX S4、フォレスター 2.0XT系に搭載されているスバル初の2,000㏄直噴ターボエンジンです。

全幅を広げることが難しい水平対向エンジンを直噴化して、可変吸気ポートを装着、それをツインスクロールターボで武装しています。

2017年現在考えられる、燃焼効率を上げるための全ての機能を導入したハイテクエンジンです。そのスペックは、2.0Lの範疇を大きく超えています。

最高出力:レヴォーグ、WRX S4…221kW(300ps)/5,600rpm
               フォレスター…206kW(280ps)/5,700rpm
最大トルク:レヴォーグ、WRX S4…400Nm(40.8kgm)/2,000~4,800rpm
      フォレスター…350Nm(35.7kgm)/2,000~5,600rpm
ボア×ストローク:86.0×86.0mm
採用車種:レヴォーグ 2.0GT系、WRX S4、フォレスター 2.0XT系

FA20

BRZとトヨタ 86に搭載されている、これら2車種のために専用開発されたNAスポーツエンジンです。

7,000rpmまでスムースに吹け上がるそれは、高出力だけを追求したのではなく、ライトウエイトスポーツカーの楽しさや扱いやすさにこだわっています。

また、水平対向エンジンのメリットを生かした、かなり全高が低いデザインとなっています。偶然なのかは定かではありませんが、ボア×ストロークがトヨタの車名と同じ86㎜×86㎜となっています。

最高出力:147kW(200ps)/7,000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/6,400~6,600rpm
ボア×ストローク:86.0×86.0mm
採用車種:BRZ(トヨタ 86)

FB16/FB20/FB25

最近、ほぼすべての基本設計をリニューアルしたスバルの新型BOXERエンジンです。排気量は、1.6、2.0L、2.5Lをラインナップ。

水平対向エンジンには難しいとされるロングストローク化を実現し、低回転から高トルクを発生。可変バルブ機構により燃焼効率をUPさせ、ワンランク上の高出力と低燃費性能も両立しています。スバルで最も汎用性の高いシリーズです。

■FB20
最高出力:フォレスター…109kW(148ps)/6,200rpm
               インプレッサ/SUBARU XV…110kW(150ps)/6,200rpm
               SUBARU XV ハイブリッド…110kW(150ps)/6,000rpm
最大トルク:196Nm(20.0kgm)/4,200rpm
ボア×ストローク:84.0×90.0mm
採用車種:フォレスター 2.0i系、インプレッサ SPORT/G4 2.0i系、SUBARU XV/ハイブリッド

EJ20

スバルといえばWRX。その心臓部にあたるのが、スバルの技術の粋を集めたこのエンジンです。1989年に初代レガシィに搭載されて以来、基本はそのままで改良を重ね続けられました。その結果、2.0エンジンながら300psを超えるパフォーマンスをたたき出しています。

パワー、トルク、レスポンス、冷却性そのどれをとっても、2017年現在スバルの最高峰。これこそがスバルが誇る、究極の水平対向エンジンといえます。

最高出力:227kW(308ps)/6,400rpm
最大トルク:422Nm(43.0kgm)/4,400rpm
ボア×ストローク:92.0×75.0mm
採用車種:WRX STI


現在、自動車メーカーで水平対向エンジンを量産しているのは、ポルシェとスバルのみです。このエンジンの開発がいかに難しいかを物語っています。

しかし、ポルシェとスバルは両社ともレース界では大きな功績を上げています。これは、同時に他のエンジンでは得られない価値があることを証明しています。

そんな素晴らしいエンジンを作っているメーカーが身近にある私たちは、とても幸運かもしれません。ぜひ一度、スバル車を試乗してみてはいかがでしょうか?
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