マニュアル車だと踏み間違い事故は本当に起こらないのか?

追突事故

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最近、ペダルの踏み間違いによる自動車の暴走が頻発しています。最近発売された新車の多くには、ペダルの踏み間違いによる暴走を抑制する機能が、前進時だけでなく、後退時にも採用されています。暴走を起こしている多くのクルマは、ペダルを踏むだけで走行可能なAT車(CVT)です。

それでは、アクセル・ブレーキ・クラッチの3つのペダルで操作するMT車は、踏み間違いによる暴走事故は防げるのかを検証してみました。

文・萩原 文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
踏み間違い事故のメカニズムとは?
なぜMT(マニュアル)だと踏み間違い事故が発生しにくいのか?

踏み間違い事故のメカニズムとは?

高齢者による踏み間違い事故が多く発生していますが、最も発生しやすい場所が駐車場です。前向きに駐車していて、発進時にシフトポジションを間違えているにも関わらずアクセルを踏んでしまう。駐車する際に後ろからクルマが来て、焦ってしまい操作ミス。

さらに駐車スペースから後退する際に体をひねった時にペダルを踏み間違えてしまう、といったことが事故のパターンとしてあげられます。ペダル操作とハンドル操作、そして周囲の確認といった、ドライバーが一度に複数の操作を行うときにペダルの踏み間違い事故は多くなるようです。

公益財団法人交通事故総合分析センター(通称:ITARDA)のレポートによると、高齢ドライバーの着座姿勢とペダル操作に言及されていました。高齢者の股関節の可動角度は、加齢により小さくなるそうです。

したがって、高齢ドライバーが運転中に上半身を右方向にひねるような姿勢を取った状態で、ブレーキペダルを踏もうとした際には、無意識にペダルを踏む足先が、右方向へ移動し、ブレーキを踏むつもりでアクセルペダルを踏んでしまうということが考えられるようです。

これは、後退時に窓から右後方を確認しているシーンが考えられます。こうした駐車場などでの運転は、AT車ならば、アクセルペダルを踏まずに、クリープ現象を活用すれば暴走事故を防げる可能性は高くなります。

なぜMT(マニュアル)だと踏み間違い事故が発生しにくいのか?

ペダルの踏み間違い事故は、アクセルとブレーキ操作だけで走行できるAT(CVT)車だからこそ発生する事象と言えるのかも知れません。では、もしMT(マニュアルトランスミッション)車ならばこういった事故は発生しにくいのでしょうか。

MT車は右足でアクセルとブレーキの操作をするのはAT(CVT)車と変わりませんが、左足でクラッチを操作する必要があります。クラッチの役割は、エンジンの動力をトランスミッションに接続するというもので、停車時やギアを変える際にはクラッチペダルを踏み動力の伝達を切って操作します。

アクセルの回転数が低い状態でクラッチを操作するとエンストというエンジンが止まってしまう状態になります。確かに、ペダルを踏みかえるだけで走行可能なAT(CVT)よりも、両足でペダル操作しないと走行できないうえ、ミスをするとエンストしてしまうMTのほうがペダルの踏み間違い事故は発生しにくいと言えます。

ですが、なかなか発進しなかったり、操作が複雑なため、駐車場などで後続車に気を遣ったりすることを考えると、AT(CVT)車からMT車に乗り替えれば現在の問題を全てクリアできるわけではありません。それよりは、踏み間違い防止機能が装着されたクルマを選ぶほうが解決策としては正しいと言えるでしょう。
MT車は、踏み間違い事故の発生率は抑えられるものの、新たな運転トラブルの引き金にもなってしまいかねません。なので、こういった事故を減らすには、誤発進抑制機能を備えたクルマに乗り換えるなどの対策を施すのが良さそうです。

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