日本の交差点がすべてランドアバウトになったらどうなる?

環状交差点 ラウンドアバウト

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ヨーロッパでは、広く取り入れられているラウンドアバウト(環状交差点)。日本においては、ようやく徐々に増えつつあります。しかし、もし日本の交差点が、すべてラウンドアバウトになったらどうなるのでしょうか?検討してみましょう。

文・吉川賢一
Chapter
ラウンドアバウトとは、なにか?
ラウンドアバウトの通行ルールは?
もし日本の交差点がすべてラウンドアバウトになったらどうなる?
海外でも起きているラウンドアバウトの課題

ラウンドアバウトとは、なにか?

ラウンドアバウト(roundabout)とは交差点の一種で、3本以上の道路を円形のスペースを介して接続した環状交差点のことです。

円の中央は通行することが出来ず、クルマは必然的に周回路(環道)に速度を落として侵入することになります。2014年9月に道路交通法の改正によって運用が開始され、2016年3月時点では17都道府県55か所に設置されており、現在も増加しています。

国土交通省の定義では、

1)円形の平面交差のうち、環道の交通が優先されるもの
2)環道の交通が時計回りの一方通行で、信号や一時停止の規制を受けないもの
3)車は徐行で環道へ進入、環道の通行車両がなければ一時停止なしに進入可能なもの

としています。

ちなみに、現在日本でもっともラウンドアバウトが多い県は、大震災のあった宮城県。新たに道路を作る際に導入されることが多いようです。

ラウンドアバウトの通行ルールは?

日本でのラウンドアバウトでの通行ルールは、

1)環道へは左折で進入し、左折で流出する(左ウインカー点滅必須)
2)環道内は時計回りで進む
3)環道内を走行している車が優先
4)環道へは徐行で進入

原則、一時停止は不要となっています。

メリットは、環道に車がいなければ減速のみで通過できるため渋滞が起きにくく、ストップ&ゴーが少なくなり燃費が向上すること、信号待ちがないこと、優先車は常に片側(左側通行では右側)からしか来ないので安全確認が容易であること、信号がいらないので停電にも強いことなどが挙げられます。

ランドアバウトでは環道内を走っている車が優先です。侵入する車両は、場合によって停止することも必要ですが、原則は、一時停止することなく進入して構いません。

環道に入るときには、大きくハンドルを切る必要があり、自然と車速が落ちるため、副産物として、仮に衝突事故が起きても大事故にはならないこともメリットです。

もし日本の交差点がすべてラウンドアバウトになったらどうなる?

日本人は、普段の運転で一時停止をするシーンが多いため、環道に侵入する際に一時停止をせずに飛び込むのには、心理的な抵抗感があります。ドライバーによって、ラウンドアバウトでの行動の違いが起きることも想定されますので、慣れるまでに注意が必要です。

また、日本のような交通量の多い道路や車線数の多い道路では、ラウンドアバウトを導入すると信号付き交差点より、かえって渋滞しやすくなることが考えられます。国土交通省は、ラウンドアバウト導入の目安は、1日の交通量が1万台未満としており、比較的交通量も歩行者も少ない交差点でないと導入は難しそうです。

また、環道を作るには、それだけ広い土地が必要になりますが、土地が狭く、買収も難しい日本では、新たに土地を確保することは困難です。また、歩行者の多い都市部において、歩行者を優先すればクルマは止まる必要があるため、その結果、環道がクルマで埋まってしまうことも考えられます。かといって信号を作るといつでも進入可能というメリットが失われてしまいます。

このように、都市部への導入には、多くの課題があります。

海外でも起きているラウンドアバウトの課題

ロンドンに住んでいた知人によると、ラウンドアバウトは、クルマがいない際には一時停止なく通過できるので、おおいにメリットを感じたそうですが、交通量の多いラウンドアバウトでは、車の隙間に入り込むために、一瞬の判断力が必要なので、慣れるまでは大変だったそうです。

また、流出のタイミングを逃し、グルグルと何周も回ることになることもあり、都市部の大きなラウンドアバウトでは、歩行者を通過させるために、信号が付けられているものも見かけたそうです。

メリットの多いラウンドアバウトですが、日本の交差点がすべてラウンドアバウトになったとしたら、しばらくは慣れない通行方法により、混乱が生じるかもしれません。交通ルールも一種の文化ですので、異なる文化が定着するには、いくら順応性の高い日本人であっても一定の時間がかかるでしょう。
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