小沢コージのものくろメッセ その24 私はなぜインドでスッキリしてしまうのか

その24 私はなぜインドでスッキリしてしまうのか

アヘッド ものくろメッセ

とにかくハンパじゃない。常識がアタマから外れてアゴから飛び出てしまうようで、中央分離帯で見る牛は減った気がするが、そこら中で野良犬から赤ちゃんまでが歩道で寝ていて、歩行者、自転車、バイク、自動車の混沌具合ったらない。

中国でも交差点にガンガン自動車が入ってくるので、歩行者はドライバーとのアイコンタクトが欠かせないが、インドでの緊張感はそれ以上。

渋滞すればすかさず人が横断してくるし、前より減ったがバイクのノーヘルも当たり前、1時間に1回は平気で自動車の逆走を見かける。日本で人にその状況を話すと「警察はいないの?」といかにも日本人的なことを言われてしまうが、警察? 何それ? ってぐらいの無法地帯。

たまに交差点で人を整理している人を見かけるが警察というよりイベント関係者っぽいし、少なくともパトカーや白バイは一度も見かけなかった。実は警察って西洋の独特の文化なんじゃないの? とすら思う。

とはいえ、もちろんコチラでも交通事故は社会問題化していて、2013年のデータだがインドの交通事故死者数は13万7000人以上。これは中国の9万6000人をラクに越えてダントツ世界ナンバーワン。そりゃそうだ。人口12億人と言われ、中国に唯一張り合える世界の超大国。事故が起こらぬわけがない。

だが、現場では「交通事故? 何それ」という勢いで人々は自動車を使い、自動車に憧れ、自動車に群がっていて、小沢がいた数日中、事故らしい事故は見かけなかった。なにより東京から約6000㎞離れているとはいえ、同じ2016年に、同じ世界を生きる、同じ人間として「この生々しさの違いは何?」と感じてしまう。

街を走れば絶えず警察が見ていて、シートベルトはもちろん、携帯をちょっと見ると捕まってポイント取られて、凹む毎日。もちろんいい事だ。日本は厳格な交通ルールと規制により、今や死亡者数は年間5000人を切り、世界に驚かれる国になった。

いいことだ、確かに素晴らしいことだ。しかしこのインドでの開放感って何なんだろう。

言葉が通じぬ違いもあるが、日本ではタレントの不倫だの解散問題だの、どうでもいいニュースがオオゲサに報じられ、人々がまたそれを面白おかしく、さぞかし悪いことのように伝聞し合う。電車内では携帯を使うとすぐ白い目で見られ、必死に「迷惑をかけない」ことを競い合う。

どっちがラクなのか? もちろん日本だ。お前インドに行ってクルマに轢かれたら絶対後悔するぞ! という批判がネットからすぐに聞こえてきそうだが、ふとアマノジャクな小沢は「インドも悪くないかも?」という妙な妄想も消しきれない。人はいったいどちらがシアワセなんだろうか。一体。

-------------------------------------------
text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の“バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。10月よりTBSラジオ(AM954/FM90.5)にて、辛口の自動車番組『週刊自動車批評』(月曜17:50〜18:00/)が放送中。 www.tbsradio.jp/car

アヘッド ロゴ

この記事をシェアする

関連する記事

最新記事