RRレイアウトのビートルを作ったのはポルシェだった!?
更新日:2024.09.09
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フォルクスワーゲン・ビートルのデザインモチーフとなっているのが、第二次大戦後すぐに本格生産が始まったフォルクスワーゲン・タイプ1(初代ビートルのこと。実はタイプ1というのが正式名称で、ビートルはあくまで愛称)です。
ポルシェがつくった
このタイプ1、ある有名なクルマと共通点があるのはご存知でしょうか。そう、それはあのポルシェです。実はタイプ1を設計したのは、ポルシェ社の創業者であるポルシェ博士なんですね。「庶民にも移動の自由を」というコンセプトの下、高性能で安価な小型車の設計を依頼されたポルシェ博士は、シンプルで故障の少ない空冷エンジン、ドライブシャフトが不要でパワーユニットがコンパクトなため室内が広くとれるという合理的なパッケージとなるリヤエンジンを採用。空気抵抗が小さく強度を確保しやすい丸みを帯びたデザインのタイプ1を生み出します。
時代を超越した人気
タイプ1は安価で高性能、かつ実用的で故障も少ないということで、ドイツだけではなく世界中で大人気となります。さすがに20年もの間、基本設計を変えずに造り続けたため、60年代後半になると基本設計の古さが目立つようになってきましたが、それでも初代タイプ1はメキシコに生産拠点を移し、南米を中心とした新興市場で人気を博します。もはや時代を超越した存在、ひとつのアイコンとして君臨し続けたのです。
ファッションアイコンにもなったビートル
またこの頃からアメリカ西海岸を中心に、タイプ1はファッションアイテムとして人気を集めはじめました。クルマを自分たちの感性で自由にいじって楽しむ、そんな西海岸の若者たちには、あの可愛らしいスタイルと、シンプルで改造がしやすかったことが魅力的だったのでしょう。必然から生まれたスタイルが、時代を経て思わぬ場所で人気となったというわけです。この西海岸スタイルはカリフォルニア仕様を意味する「キャル・ルック」と呼ばれ、日本にも広まりました。
ビートルはスピリットだ!
現在のフォルクスワーゲン・The Beetle(3代目。これは正式名称です)は、Golfをベースとしているので、RRではなくFFを採用しています。ハッチ式のリヤゲートを開ければ広いラゲージルームも存在し使い勝手には定評があります。かつて、ボンネット内はスペアタイヤに占領されてほとんど荷物スペースがなかったタイプ1と比べれば格段の進化といえるでしょう。それでいて、タイプ1が持っていた自由な雰囲気はそのまま。いまだに、世界中で個性的なライフスタイルを象徴する存在として支持されているのも、タイプ1と同じ。The Beetleはデザインだけでなく、そのスピリットをも現代に甦らせているのです。