ダウンサイジングターボのフェラーリ488GTBは、どんな乗り味?
更新日:2024.09.09
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458イタリアの後継として2015年にデビューした488GTB。スタイリングや内装に458のイメージを残しているものの、ミドに搭載されるV8エンジンはダウンサイジングされた3.9Lターボ。現代の環境問題は、名門ブランドであるフェラーリといえども許してはくれないようです。自然吸気を諦めたスモールフェラーリの乗り味は?
ダウンサイジングターボで、新たなトライとなった488GTB
俗に“スペチアーレ”と呼ばれる限定車を除けば、488GTBは現行フェラーリのなかでもピュアスポーツ濃度がひときわ高いモデルです。
V8エンジンをリアミドに搭載する、という意味ではスーパーカー世代とって懐かしい308シリーズ、あるいは創業者であるエンツォ・フェラーリの愛息の名を冠したディーノに源流を求めることができますが、その設計思想は完全な別モノ。
絶対的パフォーマンスを追求する姿勢は、いまやフェラーリを象徴するV12エンジン搭載車をも凌ぐほどです。
デビューしたのは2015年ですが、完全なブランニューではなくベースとなっているのは2009年に登場した458イタリア。
当然、スタイリングやインターフェイスをはじめとする内装の作りは、458のイメージを色濃く残していますが、全長と全幅は若干ながら拡大。走行条件に応じてダウンフォースをアクティブに制御するなど、空力性能も大幅に進化しています。
そして、もっとも大きな変更点は搭載するV8エンジンが4.5リッターの自然吸気から3.9Lターボにダウンサイジングされたこと。このユニットは、フロントエンジン・フェラーリのベーシックであるカリフォルニアTに搭載されている3.8リッターのストロークを延長したものです。
気筒当たりの排気量を車名の由来である488㏄としながら専用チューニングを施したもので、最高出力は492kW(670ps)、最大トルクは760Nmを発揮。この数値は458に対して出力が100ps、トルクは230Nmもの上乗せとなっていて、0~100㎞/h加速は458を0.4秒上回る3秒ジャスト。最高速度は325㎞/h以上という、途方もないパフォーマンスをこのクルマにもたらしています。
V8エンジンをリアミドに搭載する、という意味ではスーパーカー世代とって懐かしい308シリーズ、あるいは創業者であるエンツォ・フェラーリの愛息の名を冠したディーノに源流を求めることができますが、その設計思想は完全な別モノ。
絶対的パフォーマンスを追求する姿勢は、いまやフェラーリを象徴するV12エンジン搭載車をも凌ぐほどです。
デビューしたのは2015年ですが、完全なブランニューではなくベースとなっているのは2009年に登場した458イタリア。
当然、スタイリングやインターフェイスをはじめとする内装の作りは、458のイメージを色濃く残していますが、全長と全幅は若干ながら拡大。走行条件に応じてダウンフォースをアクティブに制御するなど、空力性能も大幅に進化しています。
そして、もっとも大きな変更点は搭載するV8エンジンが4.5リッターの自然吸気から3.9Lターボにダウンサイジングされたこと。このユニットは、フロントエンジン・フェラーリのベーシックであるカリフォルニアTに搭載されている3.8リッターのストロークを延長したものです。
気筒当たりの排気量を車名の由来である488㏄としながら専用チューニングを施したもので、最高出力は492kW(670ps)、最大トルクは760Nmを発揮。この数値は458に対して出力が100ps、トルクは230Nmもの上乗せとなっていて、0~100㎞/h加速は458を0.4秒上回る3秒ジャスト。最高速度は325㎞/h以上という、途方もないパフォーマンスをこのクルマにもたらしています。
ピュアスポーツ度を増したスモールフェラーリ。問題はサウンドか…
とはいえ、実際に走らせてみれば現代のフェラーリらしく日常域で気むずかしい部分などありません。アクセル回度の小さい領域ならエンジンは拍子抜けするほど静かで、スポーツカーだと思えば乗り心地は快適と表現できるほど。
その一方、スポーツカーらしく走らせれば身のこなしは本格派のミッドシップならではの切れ味を披露します。
アルミ製モノコックを筆頭とする各部の剛性感が高いこともあって、ステアリングを筆頭とした乗り手の操作に対するフィードバックは正確そのもの。多少路面が濡れている程度なら、昔日のフェラーリのように神経をピリピリと尖らせる必要すらありません。
もちろん、限界域に達すればシビアな特性が顔を出すことは想像に難くありませんが、それを一般路で試すには別の意味でのリスクを冒す蛮勇が必要になるでしょう。
8,000rpm以上という高回転を許容するエンジンにしても、リミットにいたる爆発的加速を堪能する機会は限られてしまうのが実際のところ。その意味で残念なのは、ターボ化によってフェラーリらしいエンジン音が少なからずスポイルされていることでしょうか。
室内にいる限り、音のチューニングが入念に行なわれていることは理解できるのですが、「ミュージック」とも称される自然吸気ユニットの美声と一線を画するものであることは否定のしようがないのです。
これを是とするか、否とするかは、ユーザー次第ですね。
その一方、スポーツカーらしく走らせれば身のこなしは本格派のミッドシップならではの切れ味を披露します。
アルミ製モノコックを筆頭とする各部の剛性感が高いこともあって、ステアリングを筆頭とした乗り手の操作に対するフィードバックは正確そのもの。多少路面が濡れている程度なら、昔日のフェラーリのように神経をピリピリと尖らせる必要すらありません。
もちろん、限界域に達すればシビアな特性が顔を出すことは想像に難くありませんが、それを一般路で試すには別の意味でのリスクを冒す蛮勇が必要になるでしょう。
8,000rpm以上という高回転を許容するエンジンにしても、リミットにいたる爆発的加速を堪能する機会は限られてしまうのが実際のところ。その意味で残念なのは、ターボ化によってフェラーリらしいエンジン音が少なからずスポイルされていることでしょうか。
室内にいる限り、音のチューニングが入念に行なわれていることは理解できるのですが、「ミュージック」とも称される自然吸気ユニットの美声と一線を画するものであることは否定のしようがないのです。
これを是とするか、否とするかは、ユーザー次第ですね。
小野泰治
某自動車専門誌の副編集長を務めた後、フリーランスに転身。国産コンパクトカーから輸入車の大型セダンまで、マルチに乗りこなすが、じつは尖ったキャラクターが大好きというマニアな一面も。現在は、自動車専門誌のほか一般情報誌でも活躍中。愛車はメルセデス・ベンツ W126。