トヨタ、ソフトバンクらが Uber の自動運転開発部門に1,100億円を出資

自動運転ライドシェア車両の実用化へ向けた布石と言えます。
Uberのアドバンスト・テクノロジーズ・グループへ出資
トヨタ自動車、デンソーおよびソフトバンクグループのソフトバンク・ビジョン・ファンドは、自動運転ライドシェア車両の開発と実用化を加速するため、Uberのアドバンスト・テクノロジーズ・グループへ合計10億ドル(約1,100億円)の出資を行うと発表しました。
トヨタとデンソーは6億6,700万ドル(約720億円)を、ソフトバンク・ヴィジョン・ファンドは3億3,300万ドル(約360億円)をアドバンスト・テクノロジーズ・グループが基となる新会社に出資し、自動運転ライドシェア車両の開発と実用化を加速させます。
トヨタは2018年8月にUberに5億ドル(約560億円)を出資。トヨタのミニバンであるシエナをベースに、同社の運転支援システム「Guardian」とUberの自動運転システムを連携させた自動運転ライドシェア車両を、Uberのライドシェアネットワークに導入することを目指し共同開発を進めてきました。
今回の出資によりトヨタは、Uberとのこれまでの共同開発を継続しつつ、次世代自動運転キットの設計と開発を共同で行い、車両の本格的な量産とサービスの実用化の目処を狙いに。さらにトヨタは、今後3年間で最大3億ドル(約330億円)の開発費を負担するとしています。
トヨタの友山茂樹副社長は「今回の新会社は、Uberグループで培われたテクノロジーとサービスネットワークに、トヨタグループの車両制御技術と量産ノウハウ、また、ガーディアンシステムに代表される高度安全運転支援機能を融合させ、より安全かつ高品質で低コストの自動運転ライドシェア車両の実用化を目指すものです。
新会社による次世代自動運転キットの共同開発は、その実現を大きく加速させるでしょう。トヨタは今後も安全で安心なモビリティー社会の実現に取り組んでいきます」と述べました。
なぜ、日本企業が海外企業に投資するのか?
現在の自動車産業の世界的なトレンドは、自動運転やコネクテッド、シェアリングエコノミーと言ったいわゆる「MaaS」領域です。しかしものづくりを重視してきた日系企業は、そうしたサービス領域への投資開発が遅れています。一方、欧州ブランドはそうした領域の投資開発に積極的で、日系企業も対応を迫られていました。
そうした中でトヨタは、アメリカの西海岸を中心とした世界中のスタートアップへの投資を進めており、ほかにも中国の配車サービス「DiDi」などへの出資や宅配ピザ大手の「ピザハット」とも提携。今回の取り組みもそのような流れの一環だと考えられます。