【冬キャンプの防寒マニュアル:個人装備編】極寒のアウトドアでも寒さを克服

ランタン 冬キャンプ

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防寒を制する者は冬キャンプを制する。釣りと山岳、そして幾多の野宿経験から得たノウハウをベースに、冬の厳しい環境下で自由を手にする防寒マニュアル【個人装備編】をお届けします。

文・アウトドアライター&クリエイター夏野 栄
Chapter
防寒のキモは“3首”にあり
太い血管が走る首回りを温める
手首は袖を塞ぎ外気をカット、同時に暖める
足首を温めればツマ先の冷えも阻止
レイヤリングは空気の層と軽さがポイント
寒さを制する者はキャンプを制する

防寒のキモは“3首”にあり

「どんな高性能防寒ウェアを着てもココを冷やしたらアウト」

それが首、手首、足首の3首。中学生まで釣りや野宿では自己流の防寒方法で乗り切っていましたが、山岳部に入って教わった防寒方法がこの3首でした。

3首を守る理由は太い血管やリンパ管が外気の影響をうけやすい位置にあるから。一度血液やリンパが冷やされると、冷えた血液やリンパが身体を巡り結果的に全体の冷えにつながります。車で言うところのクーラントみたいなことですね。パソコンで言うなら水冷式CPUクーラー。そうなれば防寒ウェアも意味なし。確実な防寒は血管やリンパ管をガードすることが基本。

太い血管が走る首回りを温める

首には頸動脈はじめ主要な血管やリンパ管が皮膚に近い場所にあります。まさに防寒の要所、「ここを攻め落とされたら負け」な勝たなくてはいけないあれです。フィールドではマフラーはリスクにもつながるので、ネックウォーマーやバラクラバが理想。

カイロポケットがついたネックウォーマーを使うか、カイロをDIYで好みのネックウォーマーにマウントする方法で異次元の暖かさが手に入ります。冷えで悩んでいた方、まずはこれをお試しください。

カイロの位置は首の後ろあたりに1枚が良バランス。圧迫されないようにきつめのネックウォーマーは避けましょう。

手首は袖を塞ぎ外気をカット、同時に暖める

手首も太い管が外気に近い部分、しっかり保温して守らねばならないポイント。同時に手首の場合は、袖からの冷えの侵入を防ぐことが重要です。高機能防寒着でも袖がズレたり隙間があったりすると保温力が大幅に落ちるリスクがあります。

ウォーム効果のあるリストバンドを使って袖を固定することで外気の侵入を防ぎ、同時に血管を保温することで手首リスクは解決します。ここでも血流を阻害しないよう血管の圧迫には細心の注意を。

足首を温めればツマ先の冷えも阻止

「どうやっても足のつま先が冷える」

足先の冷えは諦めている方も多いのでは?方法はあります。直前の管が外気の影響を受けやすい足首を温めることでかなり解消できます。具体的にはカイロポケットつきの足首バンドを巻くと効果大。冷え症の方でもつま先まで温まります。ブーツ等の筒高の靴を履く際には、薄型のカイロをブーツインする等工夫してマッチした方法を模索してみてください。

レイヤリングは空気の層と軽さがポイント

レイヤリングという言葉がかなり一般的になっている昨今ですが、各レイヤーの意味はあまり浸透していない感もあります。アメリカ陸軍が開発したECWCS『拡張式寒冷地被服システム』は最大7レイヤーから成るレイヤリング防寒着ですが、レイヤー1からレイヤー7までにはただの重ね着ではなくそれぞれに機能があります。登山でも同様です。各レイヤーに何を着ればいいのか、意識的にチョイスすることで防寒効果が変わります。

1枚目は機能性インナー(ヒートテック)

ヒートテックや機能性インナーの下に綿のTシャツを着る方がいるようですがこれはNG。普段着のクセかもしれませんが、一番下にはヒートテックをはじめとした機能性インナーを着るのが正解。肌と接する部分に綿等の汗を吸収する肌着を入れると冷えに繋がります。また機能性インナーは地肌の上に着て本来のスペックが出るよう設計されています。1枚目はタイトなサイズを選ぶのもポイント。

2枚目には起毛系やウール

2枚目には着るのは起毛系やウールのインナー。なるべくタイトなサイズで、若干機能性インナーとの隙間ができる程度のサイズを選びます。レイヤリングのポイントは魔法瓶のように空気の層を作りながら保温力を高めること。2枚目から空気の層を意識します。

3枚目はニットやフリース

3枚目は空気の層を含みやすいニットやフリースを選びます。きつすぎると空気の層を潰すことになるのでタイト過ぎないサイズを選びます。またウェアの「軽さ」もレイヤリングでは重要なポイント。ウェアが重いと下の空気の層を潰すと同時に血流を阻害する危険に繋がります。できるだけ軽いウェアが理想です。

ウィンドストッパーで風の侵入をカット

マストではありませんが、1枚ウィンドストッパーを挟むと風があるシーンでは段違いに効きます。ウィンドストッパーは通年活躍するので良いものを一着購入しておくと捗りますよ。とにかく薄く軽いものがベター。

例えばまだ肌寒い春頃、ウィンドストッパーを外套にして、軽装インナーという装備で自転車やバイクのような風を受ける状況を体感すると、その凄さが解ります。全く寒くないのに暑くないし動きやすいという不思議な超快適装備になります。

アウター

アウターに関しては、ハードシェルなのかダウンなのか、シーンや標高、環境に合わせてセレクトします。ただ共通して抑えたいポイントはゆったりサイズであることとできるだけ軽いこと。サイズが小さいとレイヤリングを締め付けることになります。

また重いアウターもやはり圧迫につながります。血流が悪くなればせっかくの「3首ガード」も台無し。さらに冷えのぼせや貧血というリスクも発生します。ウェアによる締めつけは厳禁なのです。

極寒時は五本指ソックスをインナーに

それでも“足が心配”な方、厚手靴下のインナーに五本指靴下という靴下レイヤリングを試してみてください。ただの靴下2枚重ねの場合、靴の中で滑ったり踏ん張りが弱くなったり、靴擦れしたりと弊害が発生します。

僕自身登山やナイトサーフのランガン中等、幾度となくそんなことがありいい方法がないかと模索してたどり着いたのがインナー五本指。ただの2枚重ねよりもかなり快適です。五本指靴下2枚だと締め付けが強すぎるので、インナー五本指、アウターはノーマル靴下という組み合わせがベターです。

ホットコーヒーよりもホットココア

「もう本当に寒い!」、もしくは「本当に完璧に寒さを克服したい!」そこまでソリッドに寒さをコントロールするならホットコーヒーではなくホットココアを選びましょう。

一見熱いコーヒーは身体を温めてくれそうですが、カフェインは血管収縮作用があります。実際に血管収縮効果を利用して解熱や鎮痛に使われることも。一方ココアはノンカフェインな上に、テオブロミンという血管拡張作用のある成分が入っています。防寒対策の基礎は血流を良くすること。最善を尽くしたい方はホットココアで温まってみてください。

寒さを制する者はキャンプを制する

防寒を制する者は冬のフィールドを制する。防寒は必要にかられた対策ですが、違う側面から見ればエンタメにもなります。「寒いフィールドでいかに快適に過ごすか」。これはキャンプというか、野宿や登山、アウトドア本来の「自然を克服する」楽しみそのもの。

いるだけで寒かったフィールドで防寒装備を施し、ぬくぬく行動できるようになった時のあの無敵感、ステージクリアの感覚はまさにアウトドアの醍醐味の一つではないでしょうか。レッツエンジョイ防寒!

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文・アウトドアライター&クリエイター夏野 栄
山岳部出身のアウトドアライター。数多くの紙面やWEBなどの媒体で活躍。湘南の牛舎ガレージのアートディレクション廉プロデュース担当も務める。自転車ビルダーでもある。

(提供元:LANTERN
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