車高調とダウンサスの違いとは?

車高調

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車のローダウンに必要なパーツとして、まず挙がるのが「車高調」そして「ダウンサス」。どちらも車高を下げる役割を持ちますが、モノ自体はまったく異なります。この2つのパーツは、どう違っているのでしょう。
Chapter
本来はテスト用やレース用パーツだった車高調
手軽にスプリング交換可能になって増えたダウンサス
車高調とダウンサス、機能的に大きく異なるその違い
どちらを選ぶと良いかは、予算以外にカスタムのこだわり次第

本来はテスト用やレース用パーツだった車高調

「車高調」とは車高調整式サスペンションのことで、ショックアブソーバーのロワシート(車体を支えるスプリング下部の皿)の位置を上下させてバネを縮めるネジ式か、ショックアブソーバー自体の長さを伸縮させる全長調整式の2種類があります。

ショックアブソーバーとスプリングが同軸線上ではなく別体の場合には、スプリングシートに車高調整機能がある場合もあります。

そもそもなぜこのようなパーツが存在するのかといえば、ひとつは新車開発時に車高を変更してその適正値を見る必要があるため。そしてもうひとつが、レースや競技などモータースポーツ用に、路面や天候、コースに合わせて車高を変更する必要があるためです。

1980年代の規制緩和によって改造制限がだいぶ緩くなるまでは、サスペンションのスプリングを交換するだけでも構造変更申請が必要でしたから、ユーザーが自由に車高を変更できる車高調など取り付けは許されません。

現在はそうした規制が緩和され、プラスマイナス40mmまでの範囲であれば、車高の変更が認められるようになりました。そのため、現在ではアフターパーツとして車高調はごく一般的な存在になっています。

手軽にスプリング交換可能になって増えたダウンサス

一方のダウンサスは、車高調とは違ってあくまでスプリングそのものです。車体を支えているバネの長さが変われば車高も変わるので、短いものに交換するだけでローダウンできます。

一般向けパーツとしての歴史はむしろ車高調より長いと考えるべきで、販売されているものだけではなく、ノーマルバネを切断して長さを変えるだけで良かったので、規制緩和前から既製品・自作を含めダウンサスは存在しました。

いわゆるグルグル巻きのコイルスプリング以外はもっと簡単で、リーフスプリング(板バネ)の場合は、枚数を減らせばローダウン、上下逆に取り付ければリフトアップもできます。

また、トーションバー(ねじり棒バネ)の場合は、根元にあるカムという部品を回転させるだけで車高を変えられるため、スバル360などは純正で調整式ダウンサスになっていたと言えるでしょう。

そして、スプリングそのものを外してしまう「アブノミ」(ショックアブソーバーのみ)という乱暴なローダウンまでありました。もちろん、スプリング無しでは乗り心地は最悪でしたが、とにかくローダウンできれば良かったのです。

規制緩和後は、車高調同様ローダウン用アフターパーツとして車種ごと専用の既製品が広く出回るようになったり、いざという時にガッチリ下げたければエアサスというパーツも出てきたので、自作で切断したカットバネやアブノミは急速に廃れました。

車高調とダウンサス、機能的に大きく異なるその違い

このように「車高調」とは主にショックアブソーバーによる車高調整機構つきサスペンション、ダウンサスとは単に短いスプリングを指します。厳密に言えば、車高調のネジ式と全長調整式は、車高調整時に性能に与える影響が異なる別種のパーツです。

また、ダウンサスも単なる車高を下げるためなのか、性能アップまで考えたものかでは、これも別種と言えますし、さらに車高調に使う直巻バネと純正形状ショックアブソーバー用のバネも別物です。その詳細な説明はここでは省きます。

話をもとに戻すと、車高調とダウンサスの違いは、車高を含め性能調整に使うため、下がるとは限らないのが車高調であり、基本的に車高を下がるだけなのがダウンサスと考えればいいでしょう。

どちらを選ぶと良いかは、予算以外にカスタムのこだわり次第

ダウンサスは車種、ショックアブソーバー(純正とは限らない)ごとに対応した製品を使わなければ、乗り心地だけでなく性能悪化にもつながりますし、ショックアブソーバーが伸びた際にスプリングが皿から外れて遊ぶようでは車検に通りません。

そうした注意点さえ抑えて、単に車高を下げるだけで良いならば、ダウンサスはリーズナブルなパーツといえます。

後から調整するかどうかはともかく、交換することで乗り心地やハンドリングなどの性能アップを求める場合は、車高調のほうが優れているといえそうです。
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