自動車メーカーのテストドライバーってなにをする人??
更新日:2024.09.09
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クルマを開発するうえで、欠かせないものといえば?人、モノ、金、情報?もちろんどれも必要ですが、そのクルマを評価するテストドライバーは、とても貴重な存在であり、メーカーにとっては、ヘッドハンティングしてでも手に入れたい人財なのです。今回は、そんなテストドライバーのお仕事について紹介していきます。
テストドライバーとは何者か?
自動車メーカーのテストドライバーの仕事というと、あなたはどういった仕事をイメージしますか?毎日、テストサーキットを限界付近のスピードで走り、タイヤをキーキー鳴らしながら、ああでもない、こうでもないと話をしている姿?世界中を飛び回り、ニュルブルクリンク北コースをアタックしたり、海外のサーキットを走ったりするようイメージ?確かに当たってはいますが、それらは彼らの仕事のほんの一部でしかありません。
某日本車メーカーのテストドライバーから、実際にヒアリングした内容も合わせて紹介しましょう。
まずメーカーのテストドライバーは、車両実験部というところに所属するサラリーマンです。実験部と聞くと真っ先に走行実験をイメージするかも知れませんが、実際に走行実験を担当するチームは、実験部のうちほんのわずか。実験部の半分以上はクルマを走らせないで実験を行います。
たとえば、ナビやエアコン、ウィンドウといった電装系の配線が設計通りになっているかを調べる信頼性実験、空気抵抗値やリフト係数が、設計値通りになっているかを確認する風洞実験、車体を冶具で固定してねじる力や曲げの力を加えて剛性値を測る車体静剛性実験、クルマを台の上に載せて上下方向に振動させその時の車体の振動の大きさを測定する台上加振実験、など。
実験部ではこのように、一般ではめったに見ることができないさまざまな実験を行っています。こういった実験をすべて合格したうえで、ようやく走行実験を担当するテストドライバーの出番になります。
某日本車メーカーのテストドライバーから、実際にヒアリングした内容も合わせて紹介しましょう。
まずメーカーのテストドライバーは、車両実験部というところに所属するサラリーマンです。実験部と聞くと真っ先に走行実験をイメージするかも知れませんが、実際に走行実験を担当するチームは、実験部のうちほんのわずか。実験部の半分以上はクルマを走らせないで実験を行います。
たとえば、ナビやエアコン、ウィンドウといった電装系の配線が設計通りになっているかを調べる信頼性実験、空気抵抗値やリフト係数が、設計値通りになっているかを確認する風洞実験、車体を冶具で固定してねじる力や曲げの力を加えて剛性値を測る車体静剛性実験、クルマを台の上に載せて上下方向に振動させその時の車体の振動の大きさを測定する台上加振実験、など。
実験部ではこのように、一般ではめったに見ることができないさまざまな実験を行っています。こういった実験をすべて合格したうえで、ようやく走行実験を担当するテストドライバーの出番になります。
テストドライバーはなにをする人?
走行試験を担当するテストドライバーのもっとも大切な仕事は、「判断に必要なデータをそろえる」ことです。それは、走行中の振動や、ロードノイズ、前後加速度や横加速度など、設計値通りに性能が発揮されているか、期待に外れた動きをしていないかを、定量的(数値)に示し、わかりやすく伝えることが求められます。
設計値通りに車の性能が発揮されていなければ、クルマのどこかにおかしな部分(トラブルにつながるかもしれない前兆)が起きているはず。そのおかしな部分を、五感を使って発見しデータで示すことが、テストドライバーに求められるスキルなのです。
設計値通りに車の性能が発揮されていなければ、クルマのどこかにおかしな部分(トラブルにつながるかもしれない前兆)が起きているはず。そのおかしな部分を、五感を使って発見しデータで示すことが、テストドライバーに求められるスキルなのです。
テストドライバーの恐るべきスキルの数々
テストドライバーは、世界中の顧客にもなりきります。アメリカ人ならこう感じるはず、中国人ならこう感じるはず、ターゲットの立場になりきり、クルマを語ります。
また、限られたメーカーのテストコースを走っていても、世界の道路を走った時にどういう結果になるのか、想像を膨らませます。海外の道を走った時にこういった乗り心地になる(その道に実際にある突起まで想像する)、というのを、五感で感じ取り、瞬時に言葉とデータにして発信をします。実際に海外で走行実験ができるのは、クルマの最終チェックの段階なのです。
さらに彼らは、車体を固定しているネジ1本の締めこみが弱いことですら見抜きます。ステアリングホイールを、ほんの少し切ったときの、クルマの鼻先の動きを感じ取り、動きが鈍くなったと指摘します。彼らは、とんでもない性能のセンサーを持ち合わせているというわけです。
もちろん、サーキットを走ったり、時速200kmの一定速度で何時間も走ったり、といったドライビングスキルは一級品ですが、こういった”繊細なセンサー”を持ち合わせていることがテストドライバーには求められています。
また、限られたメーカーのテストコースを走っていても、世界の道路を走った時にどういう結果になるのか、想像を膨らませます。海外の道を走った時にこういった乗り心地になる(その道に実際にある突起まで想像する)、というのを、五感で感じ取り、瞬時に言葉とデータにして発信をします。実際に海外で走行実験ができるのは、クルマの最終チェックの段階なのです。
さらに彼らは、車体を固定しているネジ1本の締めこみが弱いことですら見抜きます。ステアリングホイールを、ほんの少し切ったときの、クルマの鼻先の動きを感じ取り、動きが鈍くなったと指摘します。彼らは、とんでもない性能のセンサーを持ち合わせているというわけです。
もちろん、サーキットを走ったり、時速200kmの一定速度で何時間も走ったり、といったドライビングスキルは一級品ですが、こういった”繊細なセンサー”を持ち合わせていることがテストドライバーには求められています。
クルマ作りは、良い部品を集めて合わせれば良いクルマができる、なんてカンタンにはいきません。自動運転が全盛期になっても、クルマの性能にトラブルが起きていないか、指摘することが出来るテストドライバーは、そのメーカーの人財として重宝される存在であり続けるでしょう。
吉川賢一
モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。