フォルクスワーゲン パサート TDIをご紹介
更新日:2024.09.09
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本当なら、もっと早い時期に味わうことができるはずだった……。フォルクスワーゲン パサートに追加設定されたディーゼル版「TDI」の素晴らしい出来ばえに触れた瞬間から、そんな思いが脳裏をよぎってしまった。
文・武田公実/Takeda Hiromi
文・武田公実/Takeda Hiromi
パサート TDIは2年越しの導入
2015年7月、第8世代に当たる現行型パサートが発表された際には、「近い将来、クリーンディーゼル版も日本国内市場に投入する」との発表もなされた。
ところが同じ年の9月にアメリカで発覚したフォルクスワーゲン社のディーゼル排ガス不正問題、世にいう「ディーゼルゲート」によって、日本国内での導入計画は一時凍結となってしまうのだ。
一方筆者は思うことがあって、昨年11月から約3ヶ月かけてフォルクスワーゲンの現行各モデルの広報車を順番に拝借。それぞれ平素の生活環境にて使用してみたのだが、結果として「フォルクスワーゲンの創るクルマには、依然として技術的良心がある」という結論に到達した。
そんな折、長らくペンディングとなっていたパサートTDIの正規導入が今年2月になって約2年遅れでアナウンス。さらに3月を迎えて、初めてテストドライブの機会を得ることになったのである。
ところが同じ年の9月にアメリカで発覚したフォルクスワーゲン社のディーゼル排ガス不正問題、世にいう「ディーゼルゲート」によって、日本国内での導入計画は一時凍結となってしまうのだ。
一方筆者は思うことがあって、昨年11月から約3ヶ月かけてフォルクスワーゲンの現行各モデルの広報車を順番に拝借。それぞれ平素の生活環境にて使用してみたのだが、結果として「フォルクスワーゲンの創るクルマには、依然として技術的良心がある」という結論に到達した。
そんな折、長らくペンディングとなっていたパサートTDIの正規導入が今年2月になって約2年遅れでアナウンス。さらに3月を迎えて、初めてテストドライブの機会を得ることになったのである。
8代目パサート TDIは最新世代のクリーンディーゼル搭載
日本では初お目見えとなる8代目パサート TDIは、2015年の登場の段階から「EA288」と名づけられた最新世代のクリーンディーゼルを搭載する。
これは「ディーゼルゲート」の当事者となってしまった旧世代ユニット「EA189」とはボア×ストロークやボアピッチの数値が同じだけで、シリンダーブロックも別モノ。低圧/高圧のEGR(排気ガス還流システム)に酸化触媒、SCR(尿素式選択還元触媒)、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)という当代最新のテクノロジーを併用することで、世界でも最も厳しいとされている日本の「ポスト新長期排ガス規制」をクリアしたという。
このように、かつての失態を完全に拭い去る進化を遂げたフォルクスワーゲンのクリーンディーゼルだが、その進化はあくまで環境性能についてのもの。ことフィーリングに関して正直に言ってしまうならば、2010年代以降のディーゼルエンジンの進化は、ある意味飽和状態に達しているとも言えなくもない。
これは「ディーゼルゲート」の当事者となってしまった旧世代ユニット「EA189」とはボア×ストロークやボアピッチの数値が同じだけで、シリンダーブロックも別モノ。低圧/高圧のEGR(排気ガス還流システム)に酸化触媒、SCR(尿素式選択還元触媒)、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)という当代最新のテクノロジーを併用することで、世界でも最も厳しいとされている日本の「ポスト新長期排ガス規制」をクリアしたという。
このように、かつての失態を完全に拭い去る進化を遂げたフォルクスワーゲンのクリーンディーゼルだが、その進化はあくまで環境性能についてのもの。ことフィーリングに関して正直に言ってしまうならば、2010年代以降のディーゼルエンジンの進化は、ある意味飽和状態に達しているとも言えなくもない。
パサート TDIは、充分以上のプレミアム感を味合わせてくれる
たしかにアイドリングでは、かつてのディーゼルのような「カラカラ」音ではなく、ガソリン直噴ユニットと聞き違えかねない、かすかな「コロコロ」音に抑えられている。また、加速時のノイズや振動などについても非常に洗練されてはいるのだが、いずれもメルセデス・ベンツなどに代表される近年のディーゼルエンジン搭載車と大きな違いは感じられない。
しかし、ここで浮き彫りになってくるのが現行パサート生来の「素性の良さ」である。現行のVW/アウディにドラスティックな革新をもたらしたモジュラー式プラットフォーム「MQB」は、いかにも現代的な高い剛性を示す一方で軽量。それゆえ、比較的サイズの大きなパサートに使用する際にはサスペンションチューンの自由度が高い上に、遮音材などをしっかりと奢るだけの余地もある。
その結果、乗り心地や路面からの透過音の遮断能力も、同じミドル級に属するセダン/ワゴン、いわゆる「セグメントD」を構成するメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズなどの強力なライバルたちにも決して負けてはいない。
しかし、ここで浮き彫りになってくるのが現行パサート生来の「素性の良さ」である。現行のVW/アウディにドラスティックな革新をもたらしたモジュラー式プラットフォーム「MQB」は、いかにも現代的な高い剛性を示す一方で軽量。それゆえ、比較的サイズの大きなパサートに使用する際にはサスペンションチューンの自由度が高い上に、遮音材などをしっかりと奢るだけの余地もある。
その結果、乗り心地や路面からの透過音の遮断能力も、同じミドル級に属するセダン/ワゴン、いわゆる「セグメントD」を構成するメルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズなどの強力なライバルたちにも決して負けてはいない。
ターボディーゼル生来の特質である圧倒的なトルクは、以前よりもスムーズさを増した7速DSGと相まって小気味よいドライブを可能とする傍ら、特に高速道路などでは秀逸な制御能力を示す追尾式のクルーズコントロールも任せて、ロードノイズ以外はほぼ無音に近いクルージングが実現される。身内にプレミアムブランドであるアウディを持ちながらも、パサートは充分という以上のプレミアム感を味合わせてくれるのだ。
1.4リッター+ターボ/2リッター+ターボのガソリンモデルに加えて、プラグインハイブリッドの「GTE」、そして新たにTDIクリーンディーゼルが投入されたパサートは、これまで以上に要注目と言えるだろう。そして、この3つの原動機の中から筆者が個人的に選ぶなら、断然TDIであることも記しておきたい。燃費や環境性能もさることながら、乗っていて最も心地よく感じられたからである。
1.4リッター+ターボ/2リッター+ターボのガソリンモデルに加えて、プラグインハイブリッドの「GTE」、そして新たにTDIクリーンディーゼルが投入されたパサートは、これまで以上に要注目と言えるだろう。そして、この3つの原動機の中から筆者が個人的に選ぶなら、断然TDIであることも記しておきたい。燃費や環境性能もさることながら、乗っていて最も心地よく感じられたからである。
武田公実|Takeda Hiromi
かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッドで営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、クラシックカー専門店などで勤務ののち、自動車ライターおよびイタリア語翻訳者として活動。また「東京コンクール・デレガンス」、「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントにも参画したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム」ではキュレーションを担当している。