道路の一般的重量制限値|車両総重量・軸重の基準一覧

重量標識

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  • 車両総重量の上限(GVW) 
    20tまで(※高速自動車、国道や重さ指定道路では25tまで。ただし、軸距等によりさらに緩和される場合や、逆に厳しい制限がある場合もあります
  • 軸重の上限 
    1軸あたり10tまで
  • 隣接2軸の合計重量基準 
    最大で18〜20tまで(※車軸間距離が短い場合は18t、十分に離れていれば合計20tまで。具体的な数値は軸距に応じて細かく規定されています)
  • 輪荷重の上限|タイヤ1輪あたりの基準 
    5tまで
上記は車両制限令(道路法に基づく政令)で規定された「一般的制限値」と呼ばれる基準です。
これらの値を一つでも超える車両は「特殊車両」とみなされ、原則としてそのままでは公道を走行できません。例えば大型トラックや特殊な作業車両などで総重量が20tを超える場合は、後述する「特殊車両通行許可」を取得して走行する必要があります。

なお、一部の道路は「重さ指定道路」に指定されており、道路管理者が構造上支障がないと認めた区間では車両総重量25t(条件によってはそれ以上)までの車両が、特殊車両通行許可なしで通行可能です。重さ指定道路以外では、基本的に車両総重量20tが許可なしで通行できる上限の一つと覚えておきましょう。

CarMe編集部

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Chapter
重量制限標識の読み方|数字の意味を正しく理解する
重量制限違反の罰則とペナルティ
道路標識による重量制限違反(道路交通法違反)
車両の一般的制限値超過(道路法違反)
重量オーバー時の対処法|特殊車両通行許可の取得手順
道路重量制限に関するよくある質問
安全運行のためのポイント
重量制限超過時の対応策

重量制限標識の読み方|数字の意味を正しく理解する

道路には「〇〇t」と書かれた重量制限標識(規制標識「重量制限」)が設置されていることがあります。この標識が示す重量以上の車両総重量をもつ車両は、その区間を通行できないことを意味します。

例えば「5t」の標識なら、車両総重量5t以上の車は進入禁止です。ここでいう車両総重量とは、車両本体の重さに乗車定員分の乗員(一人55kgとして計算)や積載可能な最大積載量を加えた、その車両が構造上持ちうる最大の重さを指しており、実際に積んでいる積荷だけの重さ(最大積載量)ではありません。

ご自身の車両の車両総重量が分からない場合は、車検証(自動車検査証)に記載されている車両重量と最大積載量、乗車定員から算出できます(車両総重量 = 車両重量 + (乗車定員 × 55kg) + 最大積載量)。重量制限標識による規制は、トラックなど貨物車だけでなく、大型の乗用車やバスなど、全ての車種が対象となります。標識を見落とさず、自車の車両総重量が制限内か常に意識して運転しましょう。

重量制限違反の罰則とペナルティ

道路の重量制限に違反して走行した場合、根拠となる法律や違反の態様によって異なる罰則が科されます。

道路標識による重量制限違反(道路交通法違反)

道路標識(例:「5.5t」など)によって車両総重量などが制限されている区間を、その制限を超過して通行した場合、道路交通法の「通行禁止違反」などに該当します。この場合、違反点数と反則金が科されます。

例えば、普通車の場合、通行禁止違反(重量制限等)の違反点数は2点反則金は7,000円です(2025年6月現在)。

車両の一般的制限値超過(道路法違反)

特殊車両通行許可を得ずに、車両制限令で定められた一般的制限値(車両総重量20t、軸重10tなど)を超える車両を公道で通行させた場合(いわゆる無許可通行)、道路法違反となり、100万円以下の罰金が科される可能性があります。

これは運転者だけでなく、運送事業者に対しても適用されることがあります。 道路管理者(国土交通省の職員や地方公共団体の職員など)や警察官は、主要な道路や高速道路のインターチェンジ付近などで移動式の重量計(ポータブルスケール)などを用いて車両の重量を測定し、取締りを行っています。

特に悪質な重量超過(例えば、許可基準の2倍を超えるなど、道路構造への影響が大きいと判断される場合)や常習的な違反が確認された場合には、即時告発され、より厳しい行政処分(例:事業許可の取消しなど)や罰則が科されることもあります。

なお、積載物の重量が車両の最大積載量を超過する「過積載」も、道路交通法で別途厳しく罰せられます。過積載は、車両の制動距離の増大や操縦性の悪化を招き、重大事故に直結する危険な行為です。こちらは車両総重量の制限とは別に、積荷の重さに関する規制です。
重量制限違反は、道路の構造物を早期に損傷させたり、交通の危険を生じさせたりする重大な違反行為です。ドライバーおよび運送事業者は、日頃から車両の重量管理を徹底し、法令で定められた範囲内で安全に運行することが極めて重要です。

重量オーバー時の対処法|特殊車両通行許可の取得手順

どうしても道路の一般的制限値を超える重量の車両を走行させる必要がある場合は、事前に特殊車両通行許可を申請して許可を受ける必要があります。

特殊車両通行許可とは、道路管理者(国が管理する国道であれば国土交通省の地方整備局、都道府県道であれば都道府県、市町村道であれば市町村など)が、道路の構造への影響や交通の安全性を個別に審査し、「この経路なら、この条件の下で、その重量(または寸法)の車両でも通行してよい」と認めた場合に発行される許可です。

申請時には、車両の諸元(寸法、重量、軸重など)、積載物の内容、通行を希望する経路(出発地から目的地までの具体的な道路名や区間)、通行希望日時などを詳細に記載した書類を提出します。許可された場合、車両は許可証に記載された指定経路、指定期間、通行条件(例:徐行、誘導車の配置など)の下で通行が可能となります。

例えば、大型建設機械や橋桁などを運搬する大型トレーラー車両などは、この特殊車両通行許可を取得し、許可証に記載された内容に従って安全に輸送が行われます。 許可証は、当該車両が走行する際には必ず携行し、道路管理者や警察官から提示を求められた場合は速やかに示せるようにしておかなければなりません(電子化された許可証の場合は、そのデータを表示できる端末を携行)。

近年は、特殊車両通行許可の申請手続きをオンラインで行えるシステム(特殊車両通行確認システムなど)も整備されており、手続きの効率化が進んでいます。特殊車両通行許可制度を適切に利用することで、社会経済活動に必要な重量物輸送と、道路保全および交通安全確保の両立が図られています。

道路重量制限に関するよくある質問

Q: 重量制限標識に表示されている「〇〇t」とは積載物の重さのことですか? 

  • A:  いいえ、標識の「〇〇t」は車両総重量(GVW)を指しています。車両総重量とは「車両本体の重量+乗っている人(乗車定員×55kgで計算)+積載物すべて」の合計重量です。
    したがって標識が5tなら、トラックそのものと荷物・乗員を含めて5t以上になる車は通行できません。「最大積載量(積み荷だけの重量)5tまで」という意味ではないので注意してください。
    ご自身の車両の車両総重量は、車検証に記載されている「車両重量」、「最大積載量」(貨物車の場合)、そして「乗車定員」(1人あたり55kgとして計算)から算出できます。一部のトラックなどでは車検証に車両総重量が直接記載されている場合もありますので、事前に確認しておきましょう。


Q: 道路に重量制限の標識がない場合、どれくらいの重量まで走行できますか? 

  • A:  標識がない道路でも法律上の一般的制限値は適用されます。基本的には車両総重量20t、軸重10tなど前述の制限が上限です(これらの数値は車両制限令で定められています)。高速自動車国道や一部の「重さ指定道路」では車両総重量25t(条件によってはそれ以上)まで認められる区間もありますが、それ以上の重量で走行する場合や、一般的制限値を超える車両で指定道路以外を通行する場合は、重量制限標識の有無に関わらず特殊車両通行許可が必要になります。
    したがって標識が無いからといって無制限に重い車両を走らせて良いわけではありません。大型トラックなどを運行する際は、自車の重量と通行道路の条件を正確に把握し、必要に応じて許可を取得してください。


Q: 特殊車両通行許可は誰でも申請できますか?取得の手続きは難しいですか? 

  • A:  特殊車両通行許可は、その車両を使用して運送事業を行う者や、車両の所有者または使用者(運行管理者など)であれば申請可能です。手続きとしては、所定の申請書類に車両の諸元(寸法、重量、軸重など)や積載物の情報、通行させたい経路(出発地から目的地までの具体的な道路)、通行希望日時などを記入し、通行する道路の管理者(国道なら国土交通省の地方整備局、都道府県道なら都道府県、市町村道なら市町村など)へ提出します。
    現在ではインターネット上の「特殊車両通行許可オンライン申請システム」を利用して申請する方法が普及しており、初めての方でもシステムや窓口の案内に従って情報を入力すれば、比較的スムーズに申請を進めることができます。

    ただし、審査には通常、申請内容や経路にもよりますが数日から数週間、場合によっては1ヶ月程度かかることもあるため、重量物を運搬する予定がある場合は早めに手続きを開始することが重要です。許可がおりたら発行された許可証(電子的なものを含む)を車両に備え付け、指定されたルート・期間・条件(徐行、誘導車の配置など)を遵守して走行すれば大丈夫です。もし手続きに不安がある場合は、申請代行を専門とする行政書士などに相談することもできます。自社の安全運行と法令順守のため、必要な許可は確実に取得してください。

安全運行のためのポイント

  • 車両総重量・積載量の事前管理 
車両総重量や軸重、輪荷重、そして積荷の最大積載量を常に意識し、出発前に荷物の重さを正確に計量するなどして、これらの制限値や許可条件を超過していないかを確認しましょう。

  • 過積載依頼を断る勇気 
荷主から法律で定められた制限を超えるような無理な積載依頼を受けた場合は、安全運行の責任と法令順守の観点から、毅然として断る勇気も必要です。


  • 重さ指定道路や特殊車両通行許可ルートの活用と計画 
事前に運行ルートを計画し、途中に重量制限のある道路や橋梁がないか、地図や専門のウェブサイト(国土交通省や各自治体が公開している重さ指定道路のルートマップなど)で確認してください。特殊車両通行許可を得ている場合は、許可された経路を厳守します。


  • トラック専用ナビアプリなどによる重量制限ルート検索の活用
 最近はトラック向けのカーナビゲーションシステムやスマートフォンアプリも充実しており、車両の高さ、幅、長さ、重量などを設定することで、通行可能な経路を検索し、重量制限のある区間を避けるルート案内をしてくれるものもあります。



  • 無理のない運行スケジュールの作成 
これらの情報を活用しながら、時間に余裕を持った、無理のない運行計画を立てることが、結果として重量制限違反やその他の交通違反の防止につながります。

重量制限超過時の対応策

万一、出発前や積込み時に自車が車両総重量や軸重などの制限値を超過することが判明した場合は、まず荷物を分割して別便で輸送する、積載量を減らす、あるいは積載方法を見直すなどして、制限値内に収める対応が必要です。

どうしても制限値を超過する車両を運行する必要がある場合は、必ず運行前に、時間に余裕をもって特殊車両通行許可を申請し、許可を得てから運行してください。走行中に重量制限を超過していることが発覚した場合は、速やかに安全な場所に車両を停車させ、荷物の調整を行うか、運行を中止し、事業所や荷主と連絡を取り適切な指示を仰ぎましょう。

無許可での超過走行は絶対に避け、安全と法令順守を最優先に、適切な対策を講じて運行しましょう。
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