信号機の色が「赤・黄・青」の理由とは?明日から使える豆知識!
更新日:2025.08.05

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私たちが日々目にする信号機の色は「赤・黄・青」の3色ですが、なぜこの3色なのでしょうか。また、青信号は見た目は緑色なのに、どうして「青」と呼ぶのでしょうか。実は、この身近な疑問には歴史的・文化的な背景や科学的な理由があります。本記事では、信号機の色が3色である意味と役割、「青信号」が緑色なのに青と呼ばれる理由、日本と海外の信号機ルールの違い、色覚バリアフリー(色弱者への配慮)やデザイン上の工夫、そして交通安全や教育の観点からの意義まで、幅広く解説します。
- Chapter
- 赤・黄・青の3色が選ばれた理由とそれぞれの意味
- 赤色(レッド)
- 黄色(イエロー)
- 青色(グリーン)
- 「青信号」はなぜ緑色なのか? – 日本の文化と言葉の背景
- 日本語における「青」と「緑」の境界線
- 最初は「緑信号」だった!?名称が変わった経緯
- 青と呼び続けるための工夫 – 「青に近い緑」採用
- 日本と海外で異なる点:色の呼称・信号ルールの違い
- 呼び方の違い:Green Light と Blue Signal
- 運用ルールの違い:赤+黄で準備、青点滅など
- 赤信号での右折など交通ルール差
- 色覚バリアフリーと信号機のデザイン工夫
- 信号機の配置と光の特性
- ユニバーサルデザイン信号への進化
- 青信号の色味調整と見分けやすさ
- 交通安全・教育の観点から見た信号機の意義
- 世界共通の「交通の言語」
- 青信号は「進め」ではなく「進んでも良い」
- 信号無視のリスクと教育効果
- まとめ
赤・黄・青の3色が選ばれた理由とそれぞれの意味
赤色(レッド)
「止まれ」を意味する色。古くから血や火を連想させる赤は「危険」を警告する色として定着しており、鉄道信号でも停止・危険のシンボルに採用されました。
また赤系統(赤やオレンジ)の光は波長が長く遠方からでも視認しやすいため、最も重要な「停止」の信号に適しています。そのため緊急車両のランプやハザードランプ、方向指示器(ウインカー)にも赤やオレンジが使われているのです。
また赤系統(赤やオレンジ)の光は波長が長く遠方からでも視認しやすいため、最も重要な「停止」の信号に適しています。そのため緊急車両のランプやハザードランプ、方向指示器(ウインカー)にも赤やオレンジが使われているのです。
黄色(イエロー)
「注意」や「準備」を意味する色。黄色は人の目に付きやすく注意喚起に向いた色です。
黒との組み合わせが警戒色として用いられることも多いように、黄色単独でも非常に目立ちます。信号では赤と緑の中間の色として採用され、「まもなく信号が変わる」という警告や準備の意味を持たせています。
雨や霧など視界が悪い状況でも比較的判別しやすいことも、黄色が選ばれた一因とされています。
黒との組み合わせが警戒色として用いられることも多いように、黄色単独でも非常に目立ちます。信号では赤と緑の中間の色として採用され、「まもなく信号が変わる」という警告や準備の意味を持たせています。
雨や霧など視界が悪い状況でも比較的判別しやすいことも、黄色が選ばれた一因とされています。
青色(グリーン)
「進んでも良い」を意味する色。赤・黄と比べ心理的に安全・平和なイメージがあり、鉄道信号では「進行(進め)」を示す色として採用されました。
日本語では昔から若々しさや新しさを表す色でもあり(例:「青春」「青二才」)、前に進んで良いという肯定的なメッセージに適した色と言えます。
なお英語では“Green Light”(グリーンライト)と呼ばれるように、海外では一般に「緑」が進行を表します(日本だけが文化的に「青」と表現している点については後述します)。
日本語では昔から若々しさや新しさを表す色でもあり(例:「青春」「青二才」)、前に進んで良いという肯定的なメッセージに適した色と言えます。
なお英語では“Green Light”(グリーンライト)と呼ばれるように、海外では一般に「緑」が進行を表します(日本だけが文化的に「青」と表現している点については後述します)。
「青信号」はなぜ緑色なのか? – 日本の文化と言葉の背景
日本語における「青」と「緑」の境界線
日本語の古典的な色分類では、青と緑を厳密に区別せずに「青(あお)」の一語で指していました。
例えば「青菜(あおな)」は緑色の野菜、「青りんご」は緑色のりんご、「青葉」は青々と茂る緑の葉、という具合に、緑色のものも日常的に「青」と表現していたのです。
実際、奈良時代の『万葉集』の時代には「青」には現在でいう青と緑の両方の意味が含まれていたとされ、平安末期~鎌倉時代頃になってようやく「緑(みどり)」という語が色名として意識され始めたという研究もあります。
それほど日本人にとって「青」の範囲は広く、緑色も含めて違和感なく「青」と認識されてきた背景があります。
例えば「青菜(あおな)」は緑色の野菜、「青りんご」は緑色のりんご、「青葉」は青々と茂る緑の葉、という具合に、緑色のものも日常的に「青」と表現していたのです。
実際、奈良時代の『万葉集』の時代には「青」には現在でいう青と緑の両方の意味が含まれていたとされ、平安末期~鎌倉時代頃になってようやく「緑(みどり)」という語が色名として意識され始めたという研究もあります。
それほど日本人にとって「青」の範囲は広く、緑色も含めて違和感なく「青」と認識されてきた背景があります。
最初は「緑信号」だった!?名称が変わった経緯
日本に初めて自動交通信号機が設置されたのは1930年(昭和5年)、東京の日比谷交差点でした。
当時、この新しい信号機を紹介する新聞記事で色表示が「赤・黄・青」と書かれ、多くの人々はそれを読んで緑のライトを「青」と認識したと言われます。
実際には当初の法令用語では「緑色信号」と定められていましたが、世間で「青信号」という呼称が定着したため、1947年には法律の表記も正式に「青色」に改められました。
現在の道路交通法施行令第2条でも、進行を示す灯火は「青色の灯火」と記載されています。
当時、この新しい信号機を紹介する新聞記事で色表示が「赤・黄・青」と書かれ、多くの人々はそれを読んで緑のライトを「青」と認識したと言われます。
実際には当初の法令用語では「緑色信号」と定められていましたが、世間で「青信号」という呼称が定着したため、1947年には法律の表記も正式に「青色」に改められました。
現在の道路交通法施行令第2条でも、進行を示す灯火は「青色の灯火」と記載されています。
青と呼び続けるための工夫 – 「青に近い緑」採用
1973年の内閣府令で「できるだけ青に近い緑色の光」を採用するよう定められています。つまり、緑と認められるギリギリで最も青寄りの色調にすることで、「青信号」という名前にふさわしい見た目に近づけたわけです。
実際、国際照明委員会(CIE)が定める緑信号の色度範囲の中でも、日本の信号機の緑は特に青みの強い青緑色が採用されています。
なお、近年導入が進んだLED式の信号機では発光色がより純粋な単色になったため、旧来の電球式に比べて青信号の色味が変化しています。
LED信号では緑の光が以前より青みに見えるという指摘もありますが、一方でLEDは明るく鮮やかであるがゆえに「昔の信号に比べ色の手掛かりが減り、天候や背景次第では青か黄か見分けにくい」と感じる色覚異常者の声もあります。
いずれにせよ、日本では「進行信号=青」という呼称は今も根強く、生まれたときから青信号と言われて育った多くの人にとって、ごく自然な言葉として定着しています。
これは日本の言語文化の名残であり、世界的に見てもユニークな現象と言えるでしょう。
実際、国際照明委員会(CIE)が定める緑信号の色度範囲の中でも、日本の信号機の緑は特に青みの強い青緑色が採用されています。
なお、近年導入が進んだLED式の信号機では発光色がより純粋な単色になったため、旧来の電球式に比べて青信号の色味が変化しています。
LED信号では緑の光が以前より青みに見えるという指摘もありますが、一方でLEDは明るく鮮やかであるがゆえに「昔の信号に比べ色の手掛かりが減り、天候や背景次第では青か黄か見分けにくい」と感じる色覚異常者の声もあります。
いずれにせよ、日本では「進行信号=青」という呼称は今も根強く、生まれたときから青信号と言われて育った多くの人にとって、ごく自然な言葉として定着しています。
これは日本の言語文化の名残であり、世界的に見てもユニークな現象と言えるでしょう。
日本と海外で異なる点:色の呼称・信号ルールの違い
呼び方の違い:Green Light と Blue Signal
基本的な交通信号の約束事(赤=停止・黄=注意・緑=進行)は世界共通ですが、日本では進行信号を「青信号」と呼ぶ一方、英語では“Green Light”(グリーンライト)と呼ばれるように海外では一般に「緑」が進行を表します。
日本の「青信号」という呼び方は、日本語独自の文化に由来するもので、他国から見ると少し不思議に映るかもしれません。
日本の「青信号」という呼び方は、日本語独自の文化に由来するもので、他国から見ると少し不思議に映るかもしれません。
運用ルールの違い:赤+黄で準備、青点滅など
日本では赤→青への切り替わりは直接行われますが、海外では中間段階として赤と黄の同時点灯を挟む国があります。
例えばイギリスやドイツでは、赤信号の後に赤+黄が点灯し「まもなく青(緑)になる」という合図を出してから全て青に変わります。
一方、日本にはこの段階はなく赤から直接青に変わるため、青信号が点灯しても発進前に一拍おいて安全確認する慎重さが求められます。
逆に青から黄への切替タイミングについては、国によっては青信号が点滅して運転者に事前に警告を与えるケースもあります。
日本では車両用信号の青点滅は採用されていませんが、歩行者信号では青点滅で「もうすぐ赤になるから渡り始めないで」という表示をしています。
例えばイギリスやドイツでは、赤信号の後に赤+黄が点灯し「まもなく青(緑)になる」という合図を出してから全て青に変わります。
一方、日本にはこの段階はなく赤から直接青に変わるため、青信号が点灯しても発進前に一拍おいて安全確認する慎重さが求められます。
逆に青から黄への切替タイミングについては、国によっては青信号が点滅して運転者に事前に警告を与えるケースもあります。
日本では車両用信号の青点滅は採用されていませんが、歩行者信号では青点滅で「もうすぐ赤になるから渡り始めないで」という表示をしています。
赤信号での右折など交通ルール差
アメリカやカナダの多くの地域では「赤信号でも停止した上で右折可」(日本の左折に相当)というルールがあります。こ
れは信号機の色そのものの意味と言うより交通規則の違いですが、海外で運転する際には戸惑いやすいポイントでしょう。
また、一部の国では信号機にデジタルの残り時間表示(カウントダウンタイマー)を付けて、次の信号変更までの秒数を教えてくれるところもあります。
例えば台湾や中国の都市部では赤信号や緑信号の横に残り○秒といった数字表示があり、運転者が発進や停止の準備をしやすくする工夫が見られます。
れは信号機の色そのものの意味と言うより交通規則の違いですが、海外で運転する際には戸惑いやすいポイントでしょう。
また、一部の国では信号機にデジタルの残り時間表示(カウントダウンタイマー)を付けて、次の信号変更までの秒数を教えてくれるところもあります。
例えば台湾や中国の都市部では赤信号や緑信号の横に残り○秒といった数字表示があり、運転者が発進や停止の準備をしやすくする工夫が見られます。
色覚バリアフリーと信号機のデザイン工夫
信号機の配置と光の特性
日本の車両用信号機は、縦型の場合は上から赤・黄・青の順、横型の場合は左から青・黄・赤の順にランプが配置されています。
これは色だけでなくランプの位置でも識別できるようにするためで、どの色覚の人にも情報が伝わるよう配慮された仕組みです。
旧来の電球式信号機では、赤色のランプは黄色より暗めに発光させるなど、色弱者でも明るさの違いで区別しやすい工夫もされていました。
実際、色覚異常のある方からは「昔の信号は色の明るさやくすみ具合で見分けられたが、LED信号はヒントがなく区別しづらい」という声も聞かれます。
これは色だけでなくランプの位置でも識別できるようにするためで、どの色覚の人にも情報が伝わるよう配慮された仕組みです。
旧来の電球式信号機では、赤色のランプは黄色より暗めに発光させるなど、色弱者でも明るさの違いで区別しやすい工夫もされていました。
実際、色覚異常のある方からは「昔の信号は色の明るさやくすみ具合で見分けられたが、LED信号はヒントがなく区別しづらい」という声も聞かれます。
ユニバーサルデザイン信号への進化
技術の進歩に伴い、信号機にもより積極的なユニバーサルデザインの導入が進んでいます。例えば2011年には「色覚異常者に優しいユニバーサルデザインLED信号灯」がグッドデザイン賞を受賞しました。
この信号機では、色覚異常の人に見えづらいとされる赤信号に特殊な“×印”の模様を入れています。遠くからでは健常者には見えない微妙な印ですが、赤と緑の識別が苦手な人にははっきりと浮かび上がって見えるという不思議な効果があり、これによって赤と黄の混同による見間違い事故のリスク低減が期待されています。
また、国際的にも評価されたデザイン案として、信号灯に形状を組み合わせる「ユニシグナル(UniSignal)」というコンセプトがあります。これは赤を△(三角)、黄を〇(丸)、青を□(四角)といった異なる図形で表示することで、色が判別しにくい人でも形の違いで意味を理解できるようにする提案です。
この信号機では、色覚異常の人に見えづらいとされる赤信号に特殊な“×印”の模様を入れています。遠くからでは健常者には見えない微妙な印ですが、赤と緑の識別が苦手な人にははっきりと浮かび上がって見えるという不思議な効果があり、これによって赤と黄の混同による見間違い事故のリスク低減が期待されています。
また、国際的にも評価されたデザイン案として、信号灯に形状を組み合わせる「ユニシグナル(UniSignal)」というコンセプトがあります。これは赤を△(三角)、黄を〇(丸)、青を□(四角)といった異なる図形で表示することで、色が判別しにくい人でも形の違いで意味を理解できるようにする提案です。
青信号の色味調整と見分けやすさ
青信号には通常より青みが強い青緑色が採用されており、P型(赤を見る力が弱いタイプ)やD型(緑を見る力が弱いタイプ)の色覚でも黄や赤との違いを認識しやすくする効果があります。
このように、人によって異なる「色の見え方」に配慮し、「色に頼りすぎないデザイン」や「識別しやすい色選び」が信号機には追求されています。
このように、人によって異なる「色の見え方」に配慮し、「色に頼りすぎないデザイン」や「識別しやすい色選び」が信号機には追求されています。
交通安全・教育の観点から見た信号機の意義
世界共通の「交通の言語」
信号機の色が赤・黄・青の3色であることには、明確な理由と意味があり、その背景には言語や文化の歴史、科学的根拠、そして誰もが安全に利用できるよう配慮するデザインの知恵が詰まっています。
赤・黄・青のシンプルな3色信号は、言葉を介さずとも一瞬でドライバーや歩行者に行動指示を与える世界共通のルールです。
赤・黄・青のシンプルな3色信号は、言葉を介さずとも一瞬でドライバーや歩行者に行動指示を与える世界共通のルールです。
青信号は「進め」ではなく「進んでも良い」
青(緑)の灯火はあくまで「進行して差し支えない」という許可を示すもので、決して「今すぐ進め!」という命令ではありません。
例えば青信号でも、横断歩道上に歩行者がいる場合や、交差点内が渋滞で詰まっている場合は進行せず待つ必要があります。
交通事故防止の観点から、運転免許の教本にも「青信号は進行して良いという意味であり、安全を確認して進むこと」と明記されています。
例えば青信号でも、横断歩道上に歩行者がいる場合や、交差点内が渋滞で詰まっている場合は進行せず待つ必要があります。
交通事故防止の観点から、運転免許の教本にも「青信号は進行して良いという意味であり、安全を確認して進むこと」と明記されています。
信号無視のリスクと教育効果
信号無視(特に赤信号無視)は重大な交通違反として厳しい罰則が科せられます。これは信号無視がそれだけ事故に直結しやすく、信号を守ることが社会全体の安全に直結するからにほかなりません。
また、幼稚園や小学校の交通安全教育でも「赤信号では止まる」「青信号でもすぐ渡らず左右を確認」といった基本が繰り返し教えられます。こうした教育のおかげで、幼い子どもでも信号の色=行動ルールを早期に身につけることができます。
また、幼稚園や小学校の交通安全教育でも「赤信号では止まる」「青信号でもすぐ渡らず左右を確認」といった基本が繰り返し教えられます。こうした教育のおかげで、幼い子どもでも信号の色=行動ルールを早期に身につけることができます。
まとめ
信号機の色が赤・黄・青の3色であることには、以上のように明確な理由と意味があり、その背景には言語や文化の歴史、科学的根拠、そして誰もが安全に利用できるよう配慮するデザインの知恵が詰まっています。日本で暮らす私たちにとっては当たり前の「青信号」も、世界的に見ればユニークな文化の一端です。普段は何気なく見ている信号機も、こうして紐解いてみるととても奥深い存在です。